天才とは1%のひらめきと99%の努力である
===転送===>観客席
「ただい「よくやったのだ!アルク!!」・・・ま」
観客席に戻ってきた途端、アヴァンが駆け寄ってきた。
おおう、いまだかつてここまでテンションの高いアヴァンを見たことがない。ついでに見た目相応の少年らしい笑顔も初めて見た。
・・・普段から大人ぶってるからなぁ・・・実年齢は知らんけど。
「おいおい・・・ずいぶんテンションが高いな、アヴァン。・・・俺、お前の【兵器】のほとんどぶっ壊されたんだが?」
【ビートル君改】は全機撃破され、【グランディスチェイサー】は半壊、【グランディスボム】と【グランディスⅮフィスト】はそもそも使い捨てだから使ってしまった以上、手元には残らない。
俺が持っている【兵器】の半数以上を失ったわけである。
「うむ、それは残念なのだ・・・だが我の【兵器】で勝利してくれたことの方が大きいのだ。我の【兵器】の方が【ヴァーミリオン】とやらの【兵器】より優れていることが証明できたのだ!!」
・・・ふむ、単純に自分の作った【兵器】が勝ったことが嬉しいのか。意外とアヴァンも子供っぽい所がある。まあ、相手が科学者クランのリーダーだったから余計にそう思ってるのかもな。
まあ、嬉しいのはわかるし、水を差すようなことは言いたくないが・・・あんまり調子に乗りすぎるのもよくない。
「科学は絶えず進歩している。常に明日の飛躍が約束されている。・・・だろ?」
俺の言葉にピタッと動きを止めるアヴァン。ちなみに今のは湯川 秀樹さんの言葉だ。知らない人はググってみよう。
つまり、俺が言いたいのは今日の戦いを経て【ヴァーミリオン】の連中の【兵器】も進化するだろうということだ。そしてアヴァンの【兵器】もまだまだ進化できる、という意味でもある。
「・・・我としたことがはしゃぎすぎたようだ。そうなのだ・・・調子に乗っていると【ヴァーミリオン】の連中にすぐに追い抜かれてしまうのだ!」
さすがアヴァン。俺の言いたいことをすぐに理解してくれたようだ。
俺としてもアヴァンと【ヴァーミリオン】とは良いライバル関係になってくれると思うしな。特にヴァラットの奴はアヴァンとも話が合うと思うんだ。
・・・口喧嘩が絶えなくなるような気がしなくもないが。二人とも自分の【兵器】に絶対の自信を持ってるようだし。
「・・・アヴァンくんの勢いに押されてしまったわね・・・お疲れ、アルク」
「お疲れ様なのです!」
「すごかったっすよ、アニキ」
「ええ、ホントに」
アヴァンに気おされていたらしいアテナ、アーニャ、アシュラ、アスターが話しかけてくる。アルマは・・・まだ試合中か。
「大変興味深かったよ」
ラングは興味深々とした様子だ。大方俺が使った【兵器】や【ヴァーミリオン】の【兵器】に興味があるのだろう。
「ワシの渡した装備も役に立ったじゃろう!」
確かに昨日ガットから貰った大盾は役に立ったが・・・見た目から言ってアヴァンより大分年上なんだし、もうちょっと落ち着いてほしい。
とりあえず壊された【グランディスチェイサー】をアヴァンの【収納箱】に転送する。
「ふむ・・・損傷がひどいのだ。トーナメント中に修復は無理なのだ。部品も足りないのだ」
【兵器】の利点といえば部品さえあれば修理できること、欠点は部品がなかったらどうしようもないといういことだ。
「とりあえず、予備の【ビートル君】と【グランディスボム】を渡しておくのだ。あとラグマリア用の【グランディスチェイサー】も渡しておくのだ。【グランディスⅮフィスト】は・・・さすがにもう用意できないのだ」
【グランディスⅮフィスト】は部品に結構レアな素材を使っているため数が用意できなかった。おまけに使い捨てであるため、部品がもったいないので作りなおす予定もなかったのだ。
ぶっちゃけて言うと【グランディスⅮフィスト】は試作品だった。威力こそ最上級だが、一回しか使えない上に一回使うとぶっ壊れてもう使えない、装備した腕まで使えなくなるとあっては需要もないのだ。それでも何かに使えるかもしれないと思って俺が持っていた。・・・正直、俺も使う気はなかった。結果的には助かったが。
あ、左手は試合終了後にちゃんと動くようになったのでご心配なく。
「仕方ないさ。【グランディスⅮフィスト】を使ってる所は他のプレイヤーにも見られただろうから、もう通用しないだろうしな。・・・だが切り札としては十分だし、トーナメントが終わったら部品集めてくるから、また作ってもらえるか?」
「了解なのだ!」
今の試合はアヴァンにも良い刺激になっただろうし、また有用な【兵器】を作ってくれるだろう。
「にしても凄かったね。アヴァン君の【兵器】も勿論だけどヴァラット君が使っていた【兵器】・・・【ヴァールハイト】と【ゲイルシュヴァイツァー】だっけ? すごい【兵器】だったね。掲示板でもお祭り騒ぎだよ」
・・・確かに【ヴァールハイト】と【ゲイルシュヴァイツァー】は強力だし、インパクト大だったな。勝った後で言うのもなんだがよく勝てたと思う。
「うむ、おそらく【ヴァーミリオン】のクランメンバーが総出で部品を集めまくった結果だと思うのだ。でなければあれだけの【兵器】を作ることはできないと思うのだ」
確かにあれだけの【兵器】を作るのにどれだけの部品が必要になるのか・・・おそらくとんでもない数になるだろう・・・【ヴァーミリオン】の科学者たちの執念を感じるな。
俺にとって救いだったのは・・・試合が1対1形式だったことか。
仮に相手が二人組だったとして・・・一人が【ヴァールハイト】、もう一人が【ゲイルシュヴァイツァー】に乗り込んで同時に戦うなんて事態になったら・・・考えただけで恐ろしい。
・・・【ヴァーミリオン】の連中、そのうち【ヴァールハイト】軍団とか【ゲイルシュヴァイツァー】軍団とか作り上げないだろうな? ・・・部品されあれば作成できる【兵器】であることを考えるとありえそうな気がする・・・ブルブル。
そういえばヴァラットは神の【加護】も使っていたな。【機工神レストデウス】って言ってたか。アヴァンが【加護】を貰った【機械神ガルヴデウス】以外にの機械の神か。興味深い。
「・・・まあ、トーナメントが終わったら【ヴァーミリオン】のクランホームを訪ねてみるのも良いだろう。ヴァラットと話をする約束もしたしな」
「・・・それは楽しみなのだ」
【アークガルド】はどちらかと言えば内輪だけクランで交流があるのは【インフォガルド】や【アイゼンガルド】など同盟クランだけだった。だが、今回のトーナメントで他のクランと交流するのも悪くない・・・と思えるようになった。
幸いアヴァンも興味あるみたいだしな。・・・きっとメカニックでマニアックな話題で盛り上がるだろう。
「それでアルマは・・・まだ試合中か」
アルマはBグループの第一試合で戦ってるはずだ。
相手は確か【アマゾネスプリンセス】のリーダー、エルザリートだったか。
【精霊界】での緊急クエストでランキング10位だったクランのリーダーだ。油断はできないだろう。
「ええ・・・敵もさるもの、みたいね。さすがに最終戦まで残ってきただけのことはあるわ」
アテナが指さす先、Bグループの試合会場。
そこでエルザリートと対峙するアルマの姿があった。
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