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科学の勝利

もう俺にも後がない。


故に俺も遠慮なく使わせてもらう。


アヴァンが用意した最後の【兵器】を。・・・正直使う気はなかったんだが。


俺は右手に【豪剣アディオン】を取り出す。


左手には・・・


「【グランディスDフィスト】」


俺の左手、肘から先をがっちり覆い隠すような機械の腕が現れる。武装は特に無い。見た目は俺の腕よりふたまわりほど大きい鉄の腕だ。・・・これで殴られたらかなり痛いだろう。


「・・・なんだ、それは?」


「さあ・・・なんだろうな?」


疑問を投げかけつつも指先から銃弾を撃ってくるヴァラット・・・答え聞く気ないよな? 戦闘中なんだから正しい判断だが・・・俺も答える気は無い。


迫ってくる銃弾を【豪剣アディオン】でなぎ払いつつヴァラットに斬りかかる。


「【ミーティアルスラッシュ】!!」


「【エナジーフィールド】!!」


バリアを張って防ごうとするヴァラットを、バリアごと切り裂く。


やはりヴァラットも・・・【ヴァールハイト】も弱ってるな。バリアに先ほどまでの強度が無い。


ガキンッ!!


だが【ヴァールハイト】自体はかなり堅牢だ。【豪剣アディオン】ですら容易には切り裂けない。・・・だがノーダメージでもない。少しだが確実にダメージは与えられている。


しかし・・・


「【ヒートインパクト】!!」


「おっと!?」


ヴァラットの赤く光る手が俺に伸びてくる。


・・・熱い。避けたはずなのに熱気がここまで迫ってくる。・・・あれに当たったら溶けそうだ。


「どうした!その左手の【兵器】はこけおどしか!!」


・・・どうやらヴァラットも気が付いたようだ。


俺が左手の【グランディスDフィスト】を使()()()()()()()()ことを。


残念ながら【グランディスDフィスト】は・・・()()使えない。しかもこの【グランディスDフィスト】は握り拳状態がデフォなので、剣を握ることも出来ない。・・・つまり俺は今、【豪剣アディオン】を片手で振っていることになる。・・・実はこれも使いたくなかった理由の一つだ。


勿論、理由があるのだが・・・


「・・・()()()をどう使うかは・・・見てみてからのお楽しみだ!!」


さすがに【グランディスDフィスト】は切り札中の切り札だ。しかも一回こっきりの。親切に教えてやるわけには行かない。


「ふん!ならば見せてもらおうか!【ラピッドミサイル】!!」


攻撃を繰り出しつつ、ミサイルまで撃ってくるヴァラット。この近距離でミサイルを撃ってくるとは・・・正気か? フレンドリーファイヤが無いため自身にダメージが無いが衝撃は来るはずだ。つまり自爆に近いはずなのに・・・ミサイルの爆煙で視界が鈍る。


「【ショックウェーブ】!!」


しかし、ヴァラットはお構いなしだ。爆煙を弾き飛ばしながらヴァラットの拳が迫る。・・・【ヴァールハイト】のセンサーはこの爆煙も無視できるのか?


「【ブラストキック】!!」


ヴァラットの拳を蹴り上げて回避する。


・・・【兵器】は一流だが、身体能力は俺のほうが上だな。いや、むしろ身体能力不足を補う為の【ヴァールハイト】か。


・・・()()()()()()()()()


「何を企もうが無駄だ。俺たちが作り上げた【ヴァールハイト】は破れん!!」


ヴァラットの攻撃は苛烈さを増す。向こうも後が無いのだろう。


・・・ヴァラットは自分たちの【兵器】に絶対の自信があるみたいだ。まあ、【機工士(エンジニア)】なら皆そうなのかもしれないな。アヴァンだってそうだし。


「自信を持つのは良いことだと思うが決め付けは良くないな。懐疑は発明の父、らしいぞ?」


俺は軽口のつもりだったが、ヴァラットは一瞬攻撃を緩めた。


「ガリレオ・ガリレイの言葉か。ならば俺は、責任を取れない人間は科学者であってはならない、と答えよう」


・・・それも確かガリレオ・ガリレイの言葉・・・【ヴァーミリオン】のリーダーとしての責任があるということか。


「作ったものが計画通りに機能しないからといってそれが無駄とは限らない、らしいぞ? ついでに完全に満足しきった人がいたらそれは落伍者だ、とも聞いたな」


「トーマス・エジソンの言葉か・・・随分博識じゃないか」


人の事言えるのか。お前だって良く知ってるじゃないか。ちなみに俺はアヴァンからの受け売りである。


「・・・しかし、そうだな。科学者は希望や愛情を捨てて石の心を持つべきだ、とも言うしな」


それはダーウィンの言葉・・・ってそれってつまり・・・非情になるってことか?


「【機工神レストデウスの加護】よ!!」


「なにぃ!?」


まさか・・・


「その力をもって我が【兵器】の姿を復元せよ!!」


・・・!? その言葉に・・・俺は視界の端に写る【ゲイルシュヴァイツァー】を見た。


【ゲイルシュヴァイツァー】が・・・どんどん修復されていく。


ここで神の【加護】が来たか・・・予想はしていたがタイミングが最悪だな。


あっという間に【ゲイルシュヴァイツァー】は修復され、こちらに砲身を向ける。


「リモートコントロールOK。照準固定」


・・・ヴァラットの奴・・・まさか自分ごと撃つつもりか!?


「これで終わりだ!!」


ヴァラットが叫ぶが・・・


「まだ終わってねぇ!!」


俺も叫び返す。


ガキンッ!!


すると何かがぶつかり合う音が聞こえた。


その音源は・・・【ゲイルシュヴァイツァー】・・・に体当たりを仕掛けている【グランディスチェイサー】だった。


「なに!?」


驚いた声を出すヴァラット。


甘かったな・・・【グランディスチェイサー】は確かにダメージを受けていたし、エナジーも尽きていたが・・・動かなくなったわけじゃない。エナジーを回復する時間さえ稼げれば動かす事ができる。リモートコントロールも、な。


体勢を崩した【ゲイルシュヴァイツァー】が【ゲイルブラスターキャノン】を放つが・・・【グランディスチェイサー】の捨て身の体当たりにより軌道が逸れる。代償として・・・【グランディスチェイサー】の半分が消し飛んだ。


すまない、アヴァン。


俺はお前の【兵器】を壊しっぱなしだな。


だが・・・()()()


俺の左手の【グランディスDフィスト】が光る。


同時に握り拳が・・・開く。


「!?」


【ゲイルシュヴァイツァー】に気を取られていたヴァラットの頭を・・・【ヴァールハイト】の頭部を【グランディスDフィスト】で掴む。


「ちぃ!何を!?」


【グランディスDフィスト】を引き剥がそうとするヴァラット・・・が、遅い!


「・・・最後に教えてやる!【グランディスDフィスト】のDは・・・デンジャラスのDだ!【サクリファイスフィスト】!!」


俺が言うと同時に【グランディスDフィスト】が・・・爆発した。


「ぐわあああああ!?」


同時に【ヴァールハイト】の頭部が・・・消し飛んだ。


むき出しになるヴァラットの顔。


【グランディスDフィスト】は・・・いわば局地的な自爆【兵器】だ。()()()()()()()()相手に大ダメージを与える【兵器】だ。チャージに時間がかかる上に一度使えば文字通りに消し飛んでしまうから、本当にここぞという時にしか使えないとっておき【兵器】だ。


・・・おかげで俺の左手は動かなくなってしまった。・・・だから使いたくなかったのに。


「くぅ!・・・まだだ!!【ブレストノヴァ】!!」


しかし、諦めが悪いヴァラットは【ヴァールハイト】の胸部を開いた。


・・・あれでもまだ倒せないとは・・・本当に頑丈だな。【ヴァールハイト】は。


「ふん!!」


俺は【豪剣アディオン】をヴァラットに向かって投げた。


同時に【グランディスマグナム】を右手に取り出す。


「ぐあっ!?」


【豪剣アディオン】は今にも発射されようとした【ヴァールハイト】の胸部の砲身に突き刺さった。


さらにむき出しとなったヴァラットの頭部に【グランディスマグナム】の狙いを定める。


「・・・トーナメントが終わったら是非アヴァンに会いに来てくれ。きっと話が合う」


「・・・そうさせてもらおう」


パァァァァン!!!


最後にフッと笑い合った所で・・・トドメを刺した。


勝者(ウィナー)!! アルク!!!』


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― 新着の感想 ―
[一言] いやぁ…………ヴァールハイトは真に強敵でしたね……
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