男のロマン
ヴァラットが乗り込んだF1カーのような【兵器】・・・【ゲイルシュヴァイツァー】。
ブロロロォォ
おおう、エンジンふかして今にも迫ってきそうだ。
確かに【人間界】ではF1レースも開催されてたし、【機甲界】でも車のような近未来的な乗り物を見たことがあるが・・・まさかここで出て来るとは。
見た目はモノホンのF1カーより・・・ミニ四駆に近いかな? 人が一人乗れるくらいの巨体なのにミニとはこれいかに。中央部のむき出しの一人用コクピットにヴァラットが座っている。
・・・良く見るとヴァラットの奴、いや、ヴァラットが着込んでいる【ヴァールハイト】か・・・が所々焼け焦げてるな。さすがにあれだけの攻撃を受けて無傷とはいかなかったらしい。
致命傷とは行かなかったらしいがダメージを与えられたのは朗報だな。・・・事態は悪化しているが。
だが、今はそれよりも突っ込みたい所がある。
「おーい、司会者さーん! あれ、有りなのか?」
俺はヴァラットが乗り込んでいるF1カーを指差しながら聞いた。普通に試合中に車とか持ち出して良いのかよ。・・・バイク持ち出している俺が言えた義理でもないかもしれないが。
『・・・有りですね。事前に通達していた規定内なので』
・・・あー、そう言えばトーナメントで使用できるアイテムや【兵器】に関しての連絡があったな。回復アイテムの使用禁止もだが、【兵器】に関しても禁止事項があった。といってもある一定以上の大きさの【兵器】を持ち出さないこと、ぐらいだったが。そうでもしないと試合会場よりもでかい【兵器】を出してくる奴がいるかもしれないからな。【クランメカロイド】が禁止されてるのにそれじゃあ意味がない。
・・・そんな【兵器】を作れるかどうかは別問題だが。
有りといわれてしまっては仕方が無い。
しかし、車なんてこの場で持ち出しても・・・ああ、そういえば今日の試合会場は昨日までと比べても格段に広かったんだったな。車で走っても十分な広さがある。
確かF1カーともなると時速200kmをゆうに超えるスピードで走れるはずだ。さすがにそんなスピードで来られると・・・避けられるか?
「・・・確認は終わったか?」
律儀に待っていてくれたヴァラットだが・・・お前にも聞きたいことがある!
「お前!さっきお前が着ている【ヴァールハイト】が最高傑作だって言ってたじゃないか!!」
確か試合開始の時にそんな事言ってたぞ!!
「その通り!【ヴァールハイト】こそ我がクラン最高傑作!そして【ゲイルシュヴァイツァー】こそ我がクランの最終兵器だ!!」
最高傑作と最終兵器は違うといいたいのか?・・・ずるくね?
「この二つが揃った今!お前に勝ち目は無い!!食らえ!!」
そう言ってヴァラットは・・・何かのボタンを押した。
と同時に【ゲイルシュヴァイツァー】の各部がカパッと開いた。
「【ラピッドミサイル】一斉発射!!」
そこから大量のミサイルが!!
「避けろアーテル!!」
「クルー!!」
俺は【グランディスチェイサー】に乗ってアーテルとは別方向に回避する。
予想通り大量のミサイルが2方向に別れた。・・・それでも数十発のミサイルが迫ってくるが。
俺は【グランディスマグナム】の乱れ撃ちでミサイルを打ち落とす。アーテルも【シャイニングフェザーインパクト】でミサイルを迎撃していた。
しかし、その間に・・・ヴァラットはアーテルに迫っていた!
しまった! 二手に分かれたのが裏目に出たか!!
「逃げろ、アーテル!!」
「クルッ!!」
アーテルが空中に逃れる。
相手は地面を走る車だ。それに逃れれば・・・
「変!形!! フロートモード!!」
ガシャン!ガシャン!!
・・・と思ったら甘かった。タイヤ部分が直角に曲がり、急激に回転しながら【ゲイルシュヴァイツァー】が宙に浮く。
・・・そうだよな。ヴァラットが纏ってる【ヴァールハイト】が空を飛べるのに【ゲイルシュヴァイツァー】が空を飛べないなんてことはないよな。
とにかく今はアーテルを助けるのが先だ。
「クソッ、間に合わない!!」
【ゲイルシュヴァイツァー】の動きは予想以上に早かった。とてもじゃないがアーテルの所まで間に合わない!
「変形!【グランディスバスターキャノン】!!・・・発射!!」
【グランディスチャイサー】を変形させ、キャノンでヴァラットを狙い撃つ!
「こちらもさらに変形!! トルーパーモード!!」
「なに!?」
ヴァラットが叫ぶと【ゲイルシュヴァイツァー】が更に変形し始めた。
ガシャン!ガシャン!!
前輪部分が開き・・・腕になっただと!?
「【ビッグ・アブソーブハンド】!!」
【ゲイルシュヴァイツァー】の左腕?をキャノン砲に向けると・・・消えてしまった。
「クルッ!?」
さらに【ゲイルシュヴァイツァー】の右腕がアーテルに掴みかかる。
「【ビッグ・ヒートインパクト】!!」
さらに【ゲイルシュヴァイツァー】の右腕が赤く光りだす!
まずい!!
「アーテルを【送還】!!」
「クル・・・」
アーテルの召喚をキャンセルし、ホームに【送還】する。
すまん、アーテル。
【眷属】は【召喚】で呼び出すのと同様に【送還】で元いた場所に戻すことができる。ただし、【召喚】にも【送還】にもLPを消費する。・・・緊急事態とはいえミスったな。アーテルかアウルを再度【召喚】するにはLPが自然回復するまで時間がかかるな。
一方のヴァラットはというと・・・
ガシャン!ガシャン!!ガシャン!!!
アーテルを取り逃がし、空振りとなってしまったが、【ゲイルシュヴァイツァー】は更に変形を続けていた。
後輪部分が展開し、そのまま脚となった。
・・・おおう、車が人型に・・・ただ完全な人型ではなく車から手足が生えたような形だ。頭部に当たる部分にはヴァラットが座り込んだコクピットがそのままある。
「これが【ゲイルシュヴァイツァー】トルーパーモードだ!!」
変形完了したらしい【ゲイルシュヴァイツァー】の上に乗っかっているヴァラットが叫んだ。
「車が変形してロボット形態とか・・・」
「男のロマンだろう?」
・・・クッ! なにも言い返せない。
アークカイザーのような人型ロボットも良いが、変形ロボも・・・良い!!
「言っただろう。【ゲイルシュヴァイツァー】は我が【ヴァーミリオン】が総力を挙げて作り上げた最終兵器だと!! 我らが【兵器】の恐ろしさ、思い知るが良い!!」
・・・ああ、なるほど。あれはヴァラット一人で作ったわけじゃなくて【ヴァーミリオン】クランのメンバーで作った合作なのか。
別にそれ自体は悪い事じゃない。
他のクランにもリーダーを優勝させようと一致団結している所があるらしいし。だから最終戦はクランのリーダーばっかりが残ってるって話だしな。
しかし、クラン総出で【兵器】開発か・・・確かにそういう意味ではアヴァンより勝ってるかもな。
・・・だがヴァラットよ。
やはり俺はアヴァンが作った【兵器】がお前達の作った【兵器】より劣っているとは思えない。
今から俺がそれを証明してやる。
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