新兵器には新兵器を
俺は【フロートボード】で、ヴァラットは【エナジーフェザー】を使った空中での銃撃戦を繰り広げる。
・・・が、実際の所、俺が大分不利だ。
「・・・クッ!?」
第一にこっちが放つ通常弾はヴァラットが着込んでいる【ヴァールハイト】の【対ショック装甲】には通用しない。エナジー弾やバスターは【アブソーブハンド】で吸収される。レールガンはそこそこいけるが連射が出来ない上に【対ショック装甲】は抜けていない。
第二に飛行スピードが負けている。はっきり言って俺が使用している【フロートボード】よりもヴァラットの【エナジーフェザー】の方がスピードが上だ。引き離す事が出来ない。
第三にこの状況が悪い。現在、逃げる俺を追いかけるヴァラット、という図になっている。こっちが追いかけられている側だ。だが、スピードで負けている以上、追いかけっこになっていない。ヴァラットはあえてつかず離れずの距離を保っていて、こっちの出方を見ている。
こっちの手を見た上で対応できる自信があるのだろう。
と、言う事は既にばれている俺の【眷属】のアーテルやアウルを召喚するのは危険という事だ。少なくともこのシチュエーションは駄目だ。召喚した途端狙い撃ちされるのが目に見えている。召喚するにしてもヴァラットの隙を作らなければ・・・
「どうした!こっちは容赦しないぞ!!【ラピッドミサイル】!!」
そう言うと、ヴァラットが身に纏っている【ヴァールハイト】の全身各所がカパッと開いたと思うと・・・小型のミサイルが!?
「おいおい、冗談だろう!?」
即座に【グランディスマグナム】の実弾モードで迎撃するが・・・数が多い!!しかも【フィンガーガトリング】による弾幕も継続中だ。・・・鬼畜か!!
まずいまずいまずい!!
このままじゃジリ貧だ。
なんとか打開策を考えなきゃいけないが・・・仕方が無い。
こうなったら腹をくくろう。
俺は左手に持っていた【グランディスマグナム】を【閃槍アーディボルグ】に持ちかえる。
そして・・・反転。
ヴァラットに向かって特攻を仕掛けた。
「正気か!? それともとうとう観念したのか!?」
ヴァラットは構わず苛烈に攻撃を続ける。
「【スピンガード】!!」
俺は左手一本で【閃槍アーディボルグ】を回転させ、弾丸を防ぐ。さらに右手に持ったままの【グランディスマグナム】で飛んでくるミサイルを打ち落としていった。
「・・・貴様、本当に人間か!? そんな離れ業をやってのけるとは!?」
「当たり前だバカ野郎!!」
はい、とってもとっても大変です。
当たり前だがこんな付け焼刃の防御じゃ防ぎきれません。
現に何発も着弾しています。
だが、そこは【攻鎧アルドギア】の防御力で強引に押し切る。
幸い、俺もヴァラットもかなりのスピードを出していたため、正面衝突も直ぐだ。
そのぶつかる瞬間に・・・
「させんぞ!【ブレストノヴァ】!!」
と、思ったら【ヴァールハイト】の胸部分が開いて、そこからエナジー砲が! マジ〇ガーか、お前は!!
って突っ込んでる場合じゃねぇ。回避は間に合わない!
「・・・クソッ!【緊急加速】オン!!」
俺は【フロートボード】の【緊急加速】を入れて直ぐに飛び降りた。【緊急加速】は体当たり用にアヴァンがつけた機能だ。ただし、人が乗っていたら十分なスピードが出ないため、乗り捨てた上で特攻させる必要がある、まさに緊急時用の機能だ。
しかし、今のヴァラットに特攻させたとことで焼け石に水・・・にもならないだろう。
・・・そこでもう一つの緊急時用の機能を起動させる。
「【自爆装置】オン!!」
ヴァラットのバスター砲が【フロートボード】に着弾する直前に【フロートボード】を・・・自爆させる!!
ドッゴォォォン!!!!!
「うおっ!?」
「グアッ!?」
【フロートボード】の自爆とヴァラットのバスター砲により起こる大爆発。
あまりの衝撃に吹っ飛ばされる俺とヴァラット。
ちくしょーめ! 物を大切にする派の俺が、まさかアヴァンがおふざけでつけた【自爆装置】なんかを使わされるとは!!
この恨み、晴らさずおくべきか!!
「【限定召喚】!来い、アーテル!!」
「クルー!!」
吹っ飛ばされつつも俺はアーテルを召喚する。
「アーテル!【成体】化だ!!」
「クルッ!!」
アーテルが勇ましく声を上げると、その様相に変化が訪れる。ヌイグルミのように愛らしい姿から、大の大人が数人は乗れそうか言うほどの巨体。ドラゴンの頭部に体は天馬、全身が漆黒の鎧のような鱗を身に纏った【天龍馬】の真の姿へと。
「行け、アーテル!【レーザーダイブ】!!」
「クルー!!」
アーテルは全身に光を纏いながら、いまだ吹っ飛ばされ途中のヴァラットへと体当たりを仕掛けた。
「ぬう!?【エナジーフィールド】!!」
ヴァラットはシールドを張って防ぐも、体勢が悪く、再度吹っ飛ばされた。
「アーテル!【レーザーブレス】!【シャイニングフェザーインパクト】!!」
「クルーーーーー!!!!!」
体勢が崩れたヴァラットに向かってアーテルはブレスと光の翼の弾丸をお見舞いした。
「クッ・・・【アブソーブハンド】!!」
ヴァラットは【アブソーブハンド】とやらを使ってアーテルの攻撃を吸収し始めた。吸収できるのはエナジー系だけじゃないのか!?
対【魔法】対策も完璧か・・・だが、それも想定内!
「【グランディスチェイサー】射出!!」
続いて俺が【収納箱】から取り出したのは【空飛ぶバイク】をアヴァンが改造した【グランディスチェイサー】!!
俺は【グランディスチェイサー】にまたがり・・・
「変形完了。【グランディスバスターキャノン】!!」
【グランディスチェイサー】を変形させ巨大な砲身へと変える。
照準は勿論ヴァラット。
ヴァラットはいまだアーテルの攻撃を防ぐのに手一杯のようだ。
この機は逃さない!!
「チャージ完了!・・・発射!!!」
【グランディスマグナム】とは比べ物にならないほど強力なバスター砲がヴァラットを襲う。
ヴァラットはそれを確認するもアーテルの攻撃も無視できず・・・直撃を受けた。
・・・
「クルー・・・」
「お疲れ、アーテル」
バスター砲がヴァラットに直撃すると共に大爆発。爆煙によりヴァラットの姿が見えなくなった。
そこでアーテルを呼び戻し、爆煙の外から様子を伺いつつ今に至るというわけである。
「・・・クル」
なお、なぜかアーテルの機嫌が少し悪い。
地力でヴァラットを仕留め切れなかったから・・・ではない。
アーテルの不機嫌の矛先は・・・俺が乗っている【グランディスチェイサー】だ。
どうも【成体】化したアーテルは俺を背に乗せるのが好きな反面、他の物に俺が乗るのが嫌らしい。無機物相手にやきもち焼かれても、と思わなくもないがアーテル以上に優秀な乗り物なんかないわけで・・・アーテルの前で他の乗り物に乗るのは遠慮していた。
今は緊急時という事でどうか勘弁して欲しい。
さて、今はヴァラットだ。
試合終了のメッセージが出ない以上、ヴァラットをまだ倒せてはいない。
だが、さすがにダメージはあるはずだ。
いかに【エナジーフィールド】や【アブソーブハンド】、【対ショック装甲】とはいえ耐久力以上の力を与えればダメージは免れない・・・はずだ。
・・・これでノーダメージとか言われたら俺、泣くぞ? ついでにアヴァンも草葉の陰で泣き出すぞ?
と、祈るような気持ちでヴァラットの様子を伺っていると・・・
ブオォォォォォ!!!
・・・なんだ?この音?
「・・・!? アーテル、避けろ!!」
「クルッ!?」
ギリギリで俺たちが回避したところで巨大な何かが通り過ぎた。
・・・あぶねぇ・・・もう少しでぶつかる所だった。
・・・なんなんだ?今のは?
通り過ぎたそれに視線を向ける。
「・・・なに?」
そこにはヴァラットの姿が。
しかし、そこにいたのは本人だけじゃない。
なにかに乗っている。
その姿は・・・
「・・・F1カー?」
そう、四輪の巨体に、ヴァラットが乗り込んだそれは・・・どう見てもF1カーの形をしていた。
「・・・これぞ我ら【ヴァーミリオン】の最終兵器!【ゲイルシュヴァイツァー】だ!!」
・・・まだ隠し玉があったのか。
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