ぶつかり合う兵器たち
【兵器】の利点は何か、と言われれば・・・安定性だろう。
このゲームはよくできていてパンチ一発とっても、腰が入っていなかったり、握りが甘かったりすると途端に威力が低くなる。まあ、そこまで精密にできているおかげで手加減したり、逆に相手の攻撃を防いだりできるわけだ。
【魔法】に関しても同様だ。詠唱が中断させられたり、イメージがちゃんとできていなかったりすると途端に威力が低下したり、発動しなかったりする。
だが【兵器】は違う。
例えば銃なんかは引き金を引くだけで、弾丸の威力が変わったりなんかはしない。まあ、当たるかどうかは別問題だが。
安定した威力を出せる、という意味では【兵器】は優秀な武器でもなる。
ただし、その安定性と引き換えに【武術】や【魔法】スキルなんかと比べて総じて威力が低い。
そのため、メインの武器というよりもサブの武器として使うやつが多い。俺だってそうだ。
だがヴァラットは明らかに【兵器】をメイン武器としている。・・・まあ、ヴァラットに【武術】や【魔法】を隠し玉を持ってる可能性はあるが・・・まあ、今はそれは良いとして。
何が言いたいかというと、【兵器】と【兵器】のぶつかり合いの場合、勝敗を決めるのは、どちらの【兵器】の方が性能が高いか、あとは使い手の技量が問題となる。
俺が使ってるアヴァン作の【兵器】とヴァラットが使っている本人作・・・いや、【ヴァーミリオン】作か・・・の【兵器】。
少なくともアヴァンの【兵器】が劣ってるとは思わないが、【兵器】の性能が互角となると・・・あとは使い手、つまり俺次第というわけか。
「・・・大した物だな」
【堅牢の鉄盾】を間に挟み、にらみ合う俺とヴァラット。
そのヴァラットが俺に話しかけてきた。
「・・・何がだ?」
話が通じるとは思ってはいなかったが、時間を稼ぐためにもここは乗っておきたい。
「お前が使用している【兵器】だ。その一つ一つが完成度が高い。間近で見るとなおさらそう感じる」
・・・おおう。まさかの誉め言葉である。
「・・・そこは、お前の【兵器】はその程度か!?・・・っていうところじゃないのか?」
よくある、いかにも三下っぽいセリフで馬鹿にしてくるのかと思った。
「そんな調子に乗った三下のようなことは言わん」
・・・考えることは一緒だったらしい。
「科学者に必要な事は主観的に客観的に、そして論理的に物事を冷静に分析することだ。ありとあらゆる事象と知識を吸収し、昇華し、己の手で作り出す。それが科学者だ」
・・・なんか科学者の哲学みたいなものを語られてしまった。いや、哲学というよりヴァラットのモットーみたいな?
まあ、よくあるマッドサイエンティストみたいに人の話も聞かず、倫理観の破綻したサイコ野郎より大分マシだなが。
「故にお前にはもっと私に見せる義務がある。さあ、もっと見せろ!お前の力の全てを!!まだあるだろう?まだ使っていない【兵器】もあるはずだ。さあ、もっともっともっと!!!」
「・・・」
・・・訂正。コイツも結構やばい奴な気がする。探求心が過剰というか暴走気味というか・・・自分の研究欲に忠実っていうことなのかもな。
・・・アヴァンがまともな人間性で本当に感謝だな。
「・・・なら、その要望に応えてやる」
言うと同時に俺は【堅牢の鉄盾】から飛び出した。
ただし、自分の足で走っているわけではない。
「・・・【フロートボード】か」
そう、俺が今乗ってるのはアヴァン作成、絶賛売り出し中の空飛ぶボード・・・【フロートボード】だ。
バランス取るのが少し難しいが、慣れれば結構便利だ。ただ俺の場合、アーテルがいるから使う機会がほぼ無い。スピードはアーテルの方が断然上だしね。・・・だが、ご要望とあれば期待に応えねばなるまい。
俺は【フロートボード】に乗りながら高速でヴァラットの周囲を一定距離を保ちながら移動する。
さらに【グランディスマグナム】を構える。
さっきのバスターは効かなかったが、これはどうかな。アヴァンが改造し、追加した【グランディスマグナム】の新モード!
「【グランディスマグナム】レールガンモード」
【グランディスマグナム】がバチバチ音を立てている。
・・・充電完了。
「シュート!!」
ドゴォォォン!!
爆音とともに発射される弾丸。
「ぬ!? 【エナジーフィールド】【アブソーブハンド】!!」
それを見たヴァラットは片方の腕で【エナジーフィールド】を、もう片方の腕で【アブソーブハンド】を発動させた。
ドゴッッッ!!!
雷をまとった弾丸がヴァラットのシールドにぶち当たる。
レールガン・・・電磁投射砲や電磁加速砲とも呼ばれる【兵器】だ。知っている人もいるだろうが、一応説明すると・・・長くなるので省略。電気の力で速度と威力を増加させる【兵器】だと思ってくれ。
俺もアヴァンが作ったこれを初めて試したときは驚いた。
威力からして銃なんて規模ではなく、もはや小規模のミサイルだった。
しかも、レールガンは物理攻撃判定になる。
あの【アブソーブハンド】とやらはエナジー系の攻撃を吸収する【兵器】だろう。ヴァラットはバチバチ雷をまとっているからエナジー系かもと【アブソーブハンド】を使ったようだが効果はない。
故にあとは【エナジーフィールド】さえ破ることができれば・・・
「・・・グオッ!?」
・・・貫いた!
【エナジーフィールド】を破った弾丸がヴァラットの肩部分に命中した!!
やはりヴァラットの【エナジーフィールド】も耐久力・・・限界がある。限界以上の力をぶつければ破ることができる!!
「・・・やるな」
・・・着弾点から煙が出ているが・・・やはり装甲が厚いな。【対ショック装甲】だったか?装甲は対物理攻撃用か・・・【エナジーフィールド】を破れるとなると今度は【対ショック装甲】を破る必要があるわけだ。
・・・本当にめんどくさい奴だ。
とりあえず今は・・・
「攻撃あるのみだな」
今度は両手に持った【グランディスマグナム】の両方をレールガンモードにする。
レールガンモードの弱点は充電・・・つまりチャージ時間が必要になる。だから連射することができない。高威力ゆえの欠点だな。
当然、ヴァラットもそんな隙を逃すはずがない。
「やらせん!!」
そういうとヴァラットの背中・・・【ヴァールハイト】の背中が展開し、そこから光の・・・エナジーの翼が展開させる。
「なに!?」
宙に浮かぶと共にヴァラットは再度、指先から大量の弾丸を撃ちだした!
「・・・【エナジーフェザー】か・・・」
「その通り」
俺も【エナジーフェザーマント】があるから同じ物を出せる。そして【エナジーフェザー】は別にアヴァンの専売特許であるわけではない。確かアヴァンに聞いた話では【兵器】のレシピの中にあったものだったらしい。故にヴァラットが・・・【ヴァーミリオン】が同じ物を開発していても不思議ではない。
ないのだが・・・
「・・・速い!!」
俺の【エナジーフェザーマント】よりも速いと思うんだが・・・負けてないかアヴァン?
ドドドドドドドッ!!
ドォォォンッ!!
空中での激しい銃撃戦となった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




