最終戦の始まり
「やっぱりクジに悪意を感じるんだが・・・」
『クジは紛れもなく公平です』
そういうと室長さんはパカッとクジが入っていた箱のフタを開いた・・・確かに何の仕掛けもないよう見えるが・・・ゲームの世界じゃどうとでもできるんじゃないのか?
『さあ、この組み合わせが今後のトーナメントにどのような影響を与えるのか!!』
『楽しみですねぇ』
司会のポロンとミューズがそう言って強引に終わらせた。・・・逃げたな。
・・・まあ、良い。文句言っても変わらなそうだし、相手が誰だろうと勝たなきゃいけないのは変わりないしな。
俺の最初の対戦相手は・・・ヴァラットとかいうやつか。【兵器】開発を主としたクラン【ヴァーミリオン】のリーダーだったな。見た目は白衣を着た科学者っぽいが・・・どんな【兵器】が出てくるか想像もできないな。
・・・そのヴァラットはなんでそんな敵意満々の目で俺を見ているのかはわからんな。俺なんかしたっけ?初対面だったはずだが・・・
『それではさっそく第一試合を開始したいと思います!!』
『Aグループの第一試合はこの舞台で。Bグループの第一試合はもう一つの舞台で行います』
『Aグループのアルク選手とヴァラット選手はこのまま待機していてくださいねぇ。Bグループのアルマ選手とエルザリート選手はもう一つの舞台に転送しま~す。その他の皆さんは観客席に出戻りで~す』
出戻りて。いや、確かにそうなのかもしれんが・・・
「アルク!アルマ!頑張ってね!!」
俺たちの中では唯一観客席に戻るアテナが俺とアルマにエールを送ってくれた。
「おう・・・アルマも頑張れよ」
「はい。アルクさんも健闘をお祈りします」
そう言って二人は転送の光に包まれていった。
アテナは観客席へ、アルマは隣の舞台へ。
他の連中も次々と消えていく。
「フハハハ、吾輩と当たるまで負けるでないぞ!!」
「貴方とは戦ってみたいですからねぇ」
「が、頑張ってください!!」
ベルバアル、ラーサー、ミーシャまで声をかけて消えていった。・・・ライバルを応援とは余裕だな。
「エルザリート!お前を倒すのはこの俺だ!俺と当たるまで負けるんじゃないぞ!!」
「フンッ、それはこちらのセリフよ!!」
マックスとエルザリートは口喧嘩をしながら消えていった。・・・悪態吐きながらも応援してるよな?案外仲が良いのか?
「諸君!ベストな試合をしよう!!」
暑苦しいヘブンは上から目線で消えていった。
他の連中も無言のままに消えていく。・・・せめてなんか言え。
最後に残ったのは・・・カオスだ。
「・・・」
チラッと俺を見るも目線を戻して消えていった。・・・なんか無視されたみたいでむかつくな。
『では10分後に開始となりますので各選手は準備を整えてください!!』
『私たちは~司会者席に戻りますね~』
『皆さん、今日がトーナメントの最終日となります。運営としても大変な盛況でありがたいばかりです。このままトラブルなく、最後まで楽しめるようご協力お願いいたします』
そう言って三人はUFO型の司会者席に乗って、ふわ~っと上空へ飛んで行った。
最後まで楽しく、ねぇ。
もちろんそのつもりだ。
結局のところ、俺たちがトーナメントに参加しているのはそのためなんだからな。
「・・・楽しめ、だってさ。だから良い加減その不景気そうなしかめっ面、やめてくれない?」
仏頂面でこちらをにらめつけてくるヴァラットに話しかける。
「・・・あいにく、これが私の素の顔だ」
おっと、無視されるかと思ったが、ちゃんと答えてくれた。・・・大人数は苦手なタイプか?1対1じゃないとしゃべれないタイプ?
「そいつは失礼・・・なんか恨みがましく睨まれているような気がしたんでね」
鋭い目つきでこっちを見ているからてっきりにらみつけているのかと思ったが・・・元々目つきが悪いのか?・・・失礼だったら謝ろう。
「・・・別に恨みがあるわけではない。・・・強いて言えば・・・お前のクランには優秀な【機工士】がいるな?」
「・・・アヴァンのことか?」
そういえばアヴァンが【フロートボード】を売り出した辺りから【ヴァーミリオンの活動が活発になったとか聞いたな。アヴァンをライバル視しているとも。
「・・・要するにお前はアヴァンの作った【兵器】に用があるってことか?」
「・・・そうだ!貴様ら【アークガルド】の【兵器】を倒し、我ら【ヴァーミリオン】の【兵器】の方が上だと証明するために私はトーナメントに参加したのだ!!」
・・・うーん、清々しいまでにシンプルな理由だな。そこまでライバル視されるとは・・・逆に言えばそれだけアヴァンが優秀だということでもあるんだが・・・
「そのアヴァンとやら本人がトーナメントに参加していないのは残念だが、これまでの試合内容を見る限り、お前はそのアヴァンが作成した【兵器】を使っているな?ならばお前を倒して我らの【兵器】が上だと証明するまで!!」
・・・なるほど、本当はアヴァンをご所望だったか。はっきりバッサリ本音を暴露するやつは嫌いじゃない。
残念ながらアヴァン本人は戦闘するタイプじゃない。主な戦闘は【眷属】であるラグマリア担当だ。このトーナメントでは【眷属】を召喚していられる時間が限られているため、トーナメントに勝ち残るのは不利として参加しなかったんだよな。
アヴァンの作った【兵器】を使いこなせているのは【アークガルド】のメンバーの中では俺とカイザー、ラグマリアだけだ。ほかの連中は・・・不器用なんだよなぁ。
そういう意味では俺に勝てばアヴァンより上、というのは間違いではない。
・・・こいつは責任重大だ。
ピコンッ!!
うん?・・・メールだ。アヴァンから?
『遠慮なくぶっ飛ばすのだ!!』
「・・・」
アヴァンも聞いてたのか・・・『ラジャー!!』と返しておく。
「アヴァンからの許可が出たからな。・・・お望み通り全力でぶっ飛ばす!アヴァンの作った【兵器】でな!!」
「望むところだ!!」
見た目に似合わず、勇ましく声を上げるとヴァラットは白衣を脱ぎ捨てた。
白衣の下は・・・真っ黒いスーツ?
「装!着!!」
ヴァラットが叫ぶ。
と同時にヴァラットが光り始めた。
ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!!
・・・何やら機械的な音が聞こえる。・・・まさか変形でもしてるんじゃないだろうな?見た目の種族は【人間】っぽかったけど。
光が止むと現れたのは・・・
全身に機械の鎧を身にまとったヴァラットの姿だった。
その見た目は完全にロボット・・・というか・・・
「・・・メタルヒ〇ロー?」
「違う!これぞ我が【ヴァーミリオン】で開発された最高傑作!メタルパワードスーツ【ヴァールハイト】だ!!」
メタルパワードスーツって・・・いや、突っ込むまい。
それよりも・・・いかにも強そうだ。
まあ、見た目そう見えるってだけだが・・・これまでの敵と違って強そうな気配がしないからいまいちどれぐらい強いのかわからないな。
相手に強さを悟らせないのも【兵器】の利点の一つだ。・・・今の俺には不利な点だが。
なんにせよ・・・楽しめそうだ。
『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』
おっといよいよ始まるのか・・・
『3・・・2・・・1・・・試合開始!!』
こうして最終戦の火ぶたが切られたのであった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




