魔と竜と・・・
今のは掛け値なくボクにできる最高の一撃だったっす・・・いくらベルバアルさんが強くっても今の一撃を受ければただじゃすまないはずっす!
・・・なのに・・・
「・・・今のはさすがにやばかったな・・・」
・・・何時ものキャラを忘れたベルバアルさんがそんなことを呟いたっす。
でもそんな言葉とは裏腹に・・・
「・・・なんで・・・」
ベルバアルさんは涼しい顔をしていたっす。全然ダメージがあったように見えないっす。それに・・・またベルバアルさんから魔人のオーラが・・・
「ん? ダメージがなかったわけでは無いぞ? 本当に今のはギリギリだった。予めダメージを受けていなかったらやばかった」
そう言いながらもベルバアルさんはパンチを繰り出してきたっす。
「!?【竜気硬】!!」
ボクは咄嗟に防御スキルを固めて、腕で受け止めたっすが・・・
「うぐっっっ!!」
予想以上に強力なパンチで吹っ飛ばされてしまったっす!
そんな・・・どうして・・・【魔剣】には攻撃を食われていないはずっす!!
なのにこの威力・・・一体どうなってるっすか!?
「・・・フフフ、困惑しているな」
『無理もありません。私の力を使う事態など滅多にないでしょうから』
「・・・ほえ?」
また変な声が頭に響いてきたっす。でもこの声、【魔剣】とは別の声っす。
「フフフ、紹介しよう・・・我輩のもう一つの切り札・・・【魔鎧ベルゼリオン】だ」
『宜しくお願いします』
「【魔鎧】!?」
なんすかそれは!? 【魔剣】だけじゃなくって鎧まで喋り始めたっす!! あ、今度は鎧から魔人のオーラが立ち昇ってるっす!!
『ああ!? なにでしゃばってんだテメェ! 引っ込んでろ!!』
『随分な言いようですね。元はといえば貴方が無能だからでしょう?』
『なんだとテメェ!!』
「・・・」
・・・【魔剣】と【魔鎧】で喧嘩してるっす。ベルバアルさんが・・・表情が抜け落ちてるっす。・・・多分、普段からそんな感じなんすね。
ってそんな和んで(?)る場合じゃないっす!!
「じゃ、じゃあ、ボクの攻撃はその【魔鎧】とやらの力で・・・」
「クックック、その通り。我輩の【魔鎧】はHPが減るのに比例してステータスを上げる特殊能力があるのだ!!」
『ダメージを食らえば食らうほど強くなる。それが私の力です』
・・・【魔鎧】さんのほうは【魔剣】さんに比べて随分、礼儀正しいっすね・・・
・・・じゃなくて!
じゃ、じゃあ今のパンチは・・・ボクの攻撃を受けてHPが減った分、ステータスが増加した一撃ってことっすか!?
攻撃を食らって相手に返す【魔剣】と攻撃を食らえば食らうほど強くなる【魔鎧】!!
なんなんすか! その凶悪な組み合わせは!!
「ククク、絶望したか? まあ、誇って良い。我輩に【魔剣】の力のみならず【魔鎧】の力を使わせたのはお前が始めてだ。お前は我輩が過去に相手をしたプレイヤーの中でも一番強い。他ならぬ我輩が認めてやろう」
『ガハハハ、最初からテメェごときじゃ俺様にかないっこなかったんだよ!!』
『貴方は大して役に立っていないでしょう? 引っ込んでいなさい』
『なんだとゴラァ!!』
・・・【魔剣】と【魔鎧】がうるさいっすが・・・ベルバアルさんはボクのことを認めてくれたみたいっす。
でも・・・
「・・・ふざけんなっすよ! まだ試合は終わっちゃいないっす!! アンタがいかに強かろうとボクは絶対に諦めないっす!!」
アニキの教えその6! 諦めた所で勝機なんて来ない、勝機は自分で作り出せっす!!
「・・・まだあがくか! さすがは【アークガルド】の戦士!!・・・良いだろう。ならば我輩の全力を以て葬ってくれよう!!」
そう言ってベルバアルさんが【魔剣】を構えたっす。いよいよ本気で来るつもりみたいっす。
『まうー!!』
分かってるっすよ、ルドラ。
【精霊憑依】ももう限界っす。
覚悟を決めなくちゃいけないっすね。
だったら・・・最後に最高の一撃をくれてやるっすよ!!
ボクもその場で正拳突きの構えるっす。
「・・・?」
ベルバアルさんが怪訝な表情を見せたっす。
それはそうっすよね。
今のボクとベルバアルさんの距離じゃあ、正拳突きなんて当たりっこないっすからね。
でもこの技は正拳突きじゃないっす。
【武芸神ウィシャス】様から授かった技っす!!
「・・・フーッ」
ボクはゆっくり深呼吸して意識を集中させるっす。この技は構えからの動作も含めて一つのスキルっすからね。ミスったら技が発動しないっす。
・・・どうやらベルバアルさんは邪魔してくる気はないみたいっす。正面から受け止めるつもりっすか?・・・魔王らしくない騎士道精神っすが・・・今はありがたいっす。
「・・・天から地へと駆けるは黄竜、その煌きは何より早く、強く、熱く、そのあぎとは何人たりとも防ぐ術なし!!」
【武芸神の奥義書】を解読して取得した技・・・今ここで使わなきゃ何時使うっすか!!
「【黄竜雷撃覇】!!!」
技名と共に突き出した拳から雷でできた黄竜がベルバアルさんに向かって一直線に向かっていったっす!!
それを見たベルバアルさんは・・・
「・・・素晴らしい・・・素晴らしいぞ! アシュラとやら!! まさかここまでの戦士と戦うことができようとは!!」
愉悦の表情を浮かべていたっす。
「だが! なればこそ! 魔王の力がお前を打ち砕く!【魔剣技:インフェルノスラッシュ】!!!」
ベルバアルさんは全身に紫色の炎を身に纏い、それを【魔剣】に集中させて・・・振り下ろしたっす。
そして生み出された巨大な炎の斬撃。
禍々しい紫の炎の刃が黄竜に襲い掛かったっす。
ぶつかり合う雷の竜と炎の刃。二つの巨大な力が舞台の中央でうねりを上げるようにぶつかりあってるっす。
・・・互角・・・なんすか。
そう思ったボクに追い討ちをかけるように・・・
「もう一撃!【インフェルノスラッシュ】!!!」
ベルバアルさんがもう一度【魔剣】を振り下ろすと、再び生み出される炎の刃。
その炎の刃も黄竜に向かっていき、前の炎の刃とぶつかって十字の刃が・・・
黄竜を・・・切り裂いたっす。
「・・・うああ!?」
そしてそのまま十字の刃が・・・ボクを・・・
『勝者!! ベルバアル!!!』
視界が真っ黒になっていく中、そんな言葉が聞こえてきたっす。
・・・ルドラ、アスター、皆さん・・・アニキ、ゴメンっす。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




