武人の一撃
「行くっすよルドラ!【精霊憑依】」
「まうー!!!」
ルドラが勇ましく叫ぶと、ボクの体の中に入ってくるっす。すると、ボクの体をオレンジ色のオーラが覆ったっす! これならあの魔人のオーラにも負けないっすよ!!
この状態になると【体術】系スキルや【格闘】系スキルの消費BPが0になって使い放題になるっす! ただし、時間制限があるっすからそれまでにベルバアルさんを倒さなきゃいけないっす!!
「・・・ほほう、【精霊】と一体化するスキルか・・・我輩の知らないスキルだ。クックック、これだからこのゲームは止められない」
「同感っすね。ボクもこんな所で【魔剣】と戦えるとは思わなかったっす」
「・・・フッ、ならば我輩の【魔剣】と貴様の【精霊】、どちらが上か白黒つけようではないか!!」
「望む所っすよ!【魔闘技:全装】!」
ボクは全身にオーラを纏いながらベルバアルさんに突撃するっす!
「【竜撃乱舞】!!」
突きや蹴りによる総攻撃っす!!
「【ミーティアルスラッシュ】!!」
対するベルバアルさんも【魔剣】で斬りかかってきたっす!!
ガキガキガキガキガキンッ!!
普通ならあんな大剣とまともにぶつかり合うなんて無理っすが・・・【武拳マルスクロス】と【武鎧マルスガイズ】のおかげで何とかかち合えてるっす!
「やるな!!」
ベルバアルさんが凶悪な笑みを浮かべながら大剣を振り回してくるっす!
「そっちこそ!!」
そういうベルバアルさんもすごい剣さばきっす!
ボクは両手足で攻撃を仕掛けてるのに、ベルバアルさんはあの【魔剣】だけで防いできてるっす!
こっちに攻撃を仕掛けつつ、あの大剣を盾にしてボクの攻撃を防いでくるっす! アニキにも匹敵するぐらいの腕前っす!
「でもこの攻撃なら、その【魔剣】の力も使えないはずっすよね!!」
攻撃を食らい、攻撃を返す【魔剣】とは言え、直接攻撃してる分には攻撃を返すなんてできないっすよね!
『ああ!? なにふざけたこと言ってんだゴラァ!!』
と思ってたらまた頭の中に声が響いてきたっす。これは【魔剣】の声っすか・・・さっき黙ってろって言われたのにまたしゃべりだしたっす。
あ、ベルバアルさんが【魔剣】を睨みつけてるっす。・・・なんでそんな剣を持ってるんすかね?
でもこれはチャンスっす!!
「【双竜撃】!!」
ベルバアルさんの気が逸れた隙を逃さずパンチを繰り出したっす!
「しまった!?」
右手パンチを顔面に。
「クッ!!」
これは避けられましたが・・・もう一つが残ってるっす!!
「!?」
左手パンチを腹に繰り出したっす。これはいつぞや見たことがある山突きっす! いつかやってみたいと思ってたっすが、ついにできたっす。
ですが・・・
「・・・!?」
確かに腹に打ち込んだはずのパンチが、弾かれたっす!
なんすか今の!?
まるでパンチを打ち返されたように変な弾かれ方をしたっす!
「・・・【魔剣グラトリオン】は物理攻撃をも食らうことができる。まあ、正確には攻撃の衝撃や圧力を、だが・・・」
ベルバアルさんが解説するように言いつつ、片手で【魔剣】を持ち、もう片方の手で握りこぶしを作ったっす!!
「そして攻撃を返すのは・・・【魔剣】からだけとは限らん!!」
ベルバアルさんはそのままパンチを繰り出してきたっす!!
なんのスキルも使っていないただのパンチっす!ですが・・・
「あぐあっ!!」
受け止めた腕に凄まじい衝撃が走ったっす!!
バキィィィンッ!!
【武拳マルスクロス】が・・・砕けたっす!!
「クッ! 【バックステップ】!!」
【武拳マルスクロス】が砕かれ、そのままボクに迫り来たパンチを間一髪で避けられたっす。
「・・・ほほう、今ので決まったかと思ったが・・・さすがだな」
対するベルバアルさんは涼しい顔でその場に立っていたっす。
・・・あれだけの攻撃ができるのならボクなんて簡単に倒せるはずっす。にも拘わらず追撃もしないということは・・・
「・・・今のパンチはボクの攻撃した分の威力を上乗せした・・・ってことっすか?」
「ご明察だ」
『ガハハハハッ!! 俺様が食らったもんは俺様自身だけじゃなく、俺様の持ち主からでも返せるんだよ!!』
・・・なるほどっす。
さっきの腹パンが効かなかったのも、ベルバアルさんが【魔剣】の力を腹から出してこっちの攻撃を相殺したからっすね。
「そう、この【魔剣グラトリオン】と相対する者はなによりも自分自身の力と向き合わねばならん。・・・だが負けたとて恥じることはない。吾輩が普段使わない【魔剣】の力を使わせたのだ。誇ってよい」
『ガハハハハッ! 俺様は最強の【魔剣】!! 誰だろうが俺様には勝てないんだよ!!』
・・・ベルバアルさんは素直に称賛してくれるっすのに【魔剣】の方はこっちを見下してくるっすね。
・・・ですがボクはどっちにも腹が立つっす!!
「・・・何を勝ち誇ってるっすか!! まだ勝負はついていないっすよ!!」
怒りに任せてボクは叫んだっす!!
「強がりはよせ。武器を失った状態で【魔剣】と渡り合う気か?」
・・・たしかに【武拳マルスクロス】は砕けてしまってもう使えないっす。・・・ですが・・・
「ボクの本気はここからっす!【竜闘気】発動!!」
ボクはさらにドラゴンのオーラを身にまとったっす!
「!? まだ力を隠していたか!!」
『ガハハハハッ!! こいつは食いでがありそうだぜ!!』
驚愕するベルバアルさんと興奮気味の【魔剣】を無視して・・・
「【竜迅速】!!」
加速しながらベルバアルさんに突撃したっす!!
「速い!!」
目にもとまらぬ速さにベルバアルさんに近づき・・・
「【竜撃掌】!!」
【魔剣】を避けてベルバアルさん本人だけを攻撃するっす!!
「グッ・・・ぬぅぅぅん!!」
ベルバアルさんは【魔剣】を振り回してくるっすが、ボクはそれを受け止めず、避けつつ攻撃を繰り返していったっす。
「【双竜撃】!【竜翔撃】!!【竜槌撃】!!!」
「ぬぅ・・・」
『逃げんなゴラァ!!』
一つ一つ確実に、着実に、攻撃を与えていくっす。しかし、ベルバアルさんもさるもの。体を逸らしたり、防御スキルを使ったり、中々攻撃が通らないっす!
『まうー!!』
・・・まずいっす。ボクの中にいるルドラから、危険信号が出てきてるっす!
・・・もうすぐ【精霊憑依】が解けるっす。早く決めないとまずいっす!!
「【竜震脚】!!」
ボクは思いっきり地面を踏みぬいたっす!!
「ぬおっ!?」
それにより揺れた地面に足を取られ、体勢が崩れたっす!!
・・・チャンス!!
「ハァァァ!【双竜滅殺撃】!!!」
ボクの全パワーを乗せた両手パンチをお見舞いしたっす!!
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