魔剣の力
===視点切替===>アシュラ
・・・おおう。
ベルバアルさんが凄まじいオーラを放っているっす。
追撃かけようと思ったのに思わず足を止めてしまったっす。
これは・・・あれっすか。
ハンパに一撃入れてしまったことで却って相手を本気にしてしまったってパターンっすか?
とはいえ、ボクの攻撃もそんなにダメージを負ったようには見えないっすが・・・怒り心頭なのか背後に魔人のオーラが見えるっす。
『・・・テメェ・・・何してくれてんじゃコラァ!!!』
「・・・えぇ?」
うわぁ・・・すっごいガラが悪いっす・・・これがベルバアルさんの本性っすか? ・・・しかし甘いっすね!急に豹変するなんてアスターで慣れてるっすよ!!それぐらいで・・・
・・・ん? でも今の声、なんか変だったっすね?
耳から聞こえたっていうより、なんというか頭の中に響いてくる感じがしたっす。
なにより、今の声・・・ベルバアルさんのものじゃなかったっす!
「こら! 勝手に喋るんじゃないよ、【グラトリオン】」
・・・?
ベルバアルさんがなぜか自分の背中に向かって話しかけてるっす。
というかベルバアルさん、全然怒ってるように見えないっすよ? でも魔人のオーラは出続けてるんすが・・・もしかしてあのオーラと話してるんすか?
『ふざけんな! 俺様に土なんぞつけやがって・・・ぜってぇ許さねぇ!!』
また、声が聞こえてきたっす・・・一体どこから聞こえてくるんすかね?
「・・・やれやれ」
そう言うとベルバアルさんは・・・背中に背負っていた大剣を引き抜いたっす。
見た目にも禍々しく・・・強大なオーラを放ってるっす。
・・・オーラ?
ああ! ベルバアルさんの背中から出てた魔人のオーラ! ベルバアルさんからじゃなくってあの大剣から出ているっす!!
『グルルルルルルッ!!』
・・・なんか凶暴な獣っぽいうめき声が聞こえて・・・いえ、頭の中に聞こえてくるっす。
・・・これはもう、間違いないっすね。
「・・・その剣が喋ってる・・・っすか?」
勿論、大剣には口なんかついていないっすから、喋ってるっていうのはおかしいんすが・・・小刻みにガタガタ震えてるっす。
「ん?・・・フハハハ! いかにも! これぞ我輩の愛剣にして【魔剣グラトリオン】だ!!」
・・・ベルバアルさんが偉そうに言ってるっすが・・・今、完全にキャラ忘れてたっすね。
にしても【魔剣】っすか・・・素晴らしい響きっすね。しかも意思を持った武器・・・理知ある武器ってやつっすか・・・アニキが好きそうっすね。
『ああ!? 誰がテメェの愛剣だ!! ぶっ殺すぞゴラァ!!』
「・・・」
「・・・」
にしても口が悪い【魔剣】っすね・・・ベルバアルさん本人より魔王っぽいと思ってしまうのは気のせいなんすかね。
「・・・やっぱり【魔剣】なだけあってじゃじゃ馬なんすか?」
「・・・うん」
・・・なんというか哀愁が漂ってる気がするっす・・・苦労してるんすかね・・・なんかアスターに似ている気がするっす。
・・・あれ? ってことはアスターも何か苦労してるんすかね?(無自覚)
「・・・フハハハ! 確かにこの【魔剣】は凶暴だが、そんじゃそこらの武器とは格が違うのだよ!!」
・・・取り繕うように言われてもっすねぇ・・・イマイチ締まらない人っすねぇ・・・
『ああ!? 俺様をそんじゃそこらの武器と比べてんじゃねぇよゴラァ!!』
「・・・」
「・・・」
・・・なんでこの【魔剣】さんはいちいち持ち主に突っかかるんすかねぇ・・・今のは普通に褒め言葉だったと思うんすけど・・・
『グダグダ言ってねぇで俺様に土つけたあのクソビッチをぶっ殺せよゴラァ!!』
土つけたってボク、なんかしたっすか?・・・あ! もしかしてさっきの攻撃でベルバアルさんが仰向けに地面に倒れたらからっすか? 丁度、背中に【魔剣】を背負ってから下敷きになった感じになって・・・器ちっちゃいっすねぇ・・・あと誰がクソビッチっすか!?
「・・・【グラトリオン】」
『!?』
「・・・!?」
・・・ベルバアルさんが今まで聞いたことが無い様な低い声で【魔剣】の名前を呼んだっす。・・・同時に凄まじい殺気が放たれているっす。普段のどこか抜けた感じから想像もつかないっす!!
「・・・黙れ、と言ったはずだ。そして相手に失礼な事を言うな。戦いを汚す気か?」
・・・どうやら【魔剣】さんのクソビッチ発言に怒ってるようっすね。
『・・・チッ!!』
そう言って【魔剣】さんが黙り込んだっす。同時にベルバアルさんから殺気が消えたっす。
「・・・申し訳ない。我が【魔剣】の失言は我が謝罪しよう」
そう言ってベルバアルさんが頭を下げてきたっす。
「・・・随分、紳士的っすね。魔王っぽくないっすよ?」
「魔王とは常に正々堂々とあるべきだ。慈悲はなくとも礼を失すれば魔王もそこらのモンスターと変わらなくなる」
・・・慈悲がない時点でどうかと思うっすが・・・ベルバアルさんなりのこだわりがあるみたいっす。ならボクからとやかく言うつもりは無いっす。
「・・・ボクからは何も言う事は無いっす。・・・代わりにその【魔剣】の力を見せてもらうっすよ!!【竜飛拳】!!」
言うや否やボクはベルバアルさんにパンチを放ったっす!
それもただのパンチじゃないっす。【竜飛拳】はドラゴンのオーラを拳の形にして飛ばす遠距離攻撃っす!! しかも今は【魔闘技】の効果で火属性を纏った炎の拳っす!
アニキも同じ事ができるっすが、威力だけなら俺より上だな、とお墨付きを貰った自慢の技っす!
さあ、どうするっすか! ベルバアルさん!!
「・・・ぬん!!」
当のベルバアルさんは・・・ボクの【竜飛拳】を【魔剣】で斬ったっす。
するとフッとボクの【竜飛拳】が消えてしまったっす。
・・・なんすか、今のは? 斬ったという割りには変な消え方をしたっす。
「・・・望みどおり見せてやろう。【魔剣グラトリオン】の力を・・・ぬん!!」
ベルバアルさんはその場で【魔剣】を振り降ろしたっす。
当然、距離があるので飛ぶ斬撃でも放ってくると思ったっすが・・・違ったっす!!
「ええ!?」
ボクに向かってきたのは・・・ボクが放った【竜飛拳】だったっす!!
ボクは飛んできた拳をギリギリで避けたっす。拳とすれ違った瞬間・・・熱いと感じたっす。自分の攻撃ではダメージを受けないはずなんすが・・・今のは受けたら確実にダメージが入っていたっす!!
「・・・相手の攻撃を食らい、その攻撃を返す。それが【魔剣グラトリオン】だ」
・・・ベルバアルさんが律儀に説明してくれたっす。さっきの【魔剣】さんの失言のお詫びっすかね?
それにしても相手の攻撃を食らう、っすか。しかも相手に返せるなんて・・・厄介っすね。少なくとも遠距離攻撃は通用しそうにないっす。
・・・ならば! 本気の接近戦を仕掛けるっす!!
「【限定召喚】! 来るっすよ! ルドラ!!」
「まうー!!」
現れたのは愛らしき我が【眷属】、ルドラっす!!
さあ、ここからがボク達の全力っすよ!!
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