上を目指す者たち
===視点切替===>アシュラ
アニキたちに見送られて試合会場まで転送されてきたっす!
ボクの試合が始まるまでに、既にアニキは勿論の事、アテナとアルマの姉御たちも勝ち残りが決まったっす。ここはボクも勝ってアニキたちに追いついて見せるっす!
さてさて、今度の対戦相手は誰っすかね~・・・アニキたちも見てるし、歯ごたえのある相手だと嬉しいっす!
「ダーッハッハッハ!! 小娘! お前が我輩の対戦相手か!?」
その相手は現れるなりボクを指差して高らかに叫んだっす!!
「あ、アンタは・・・!?」
そう言うボクも思わず相手を指差してしまったっす!
「おや? どこぞで見た顔ではないか、小娘」
「そ、そういうアンタは・・・!?」
わなわなと指が震えるっす・・・
「ククク、貴様も知っていよう、そう我輩こそは!?」
「・・・誰でしたっけ?」
偉そうにふんぞり返っていたその男は、そのまま背中から後ろに倒れこんだっす。・・・というか今、頭も打たなかったっすか? すごく痛そうっす!
「【ディアボロス】のリーダー、ベルバアルだ! 【精霊界】での緊急クエストの後に自己紹介したであろう!!」
・・・ああ! 確かに緊急クエストの後になんだか強そうな人たちがぞろぞろと絡んできてたっす!でも・・・
「確かに顔は見た事はあったっすが・・・自己紹介はしてなかったっすよね?」
「・・・」
確かあの時、勢いよくやってきて勢いよく去っていったのは覚えてるんすが結局自己紹介もしないままだったはずっす。ベルバアルって名前もアニキが言ってたのを聞いたくらいっす。
「・・・すいません、僕の勘違いでした」
「急に物腰低くなったっす!」
さっきまでとは別人のようっす! 実は二重人格だったりするっすか!?
「アルクさんにも言われたけど僕は【魔王】目指してるから。だから偉そうに振舞ってるだけだから」
「ええー・・・」
なんか・・・残念な人っすね・・・そういえばアニキも残念魔王候補とか言ってたような気がするっす。
でもアニキから実力は本物だって聞いてるっす! 特に【ディアボロス】のリーダーには気をつけるように言ってたっす!
相手にとって不足はないっす!!
ボクは【武拳マルスクロス】を取り出し、【武鎧マルスガイズ】を装備したっす。これがボクの最強装備っす!!
「・・・フハハハ! これまでの試合では隠していた装備を出してきたか! これは光栄だな!!」
あ、元の口調に戻ったっす。メンタル強いっていうか立ち直り早いっすねー。
「アニキから【ディアボロス】相手には手加減無用容赦無用、ボロボロのボコボコにしてやれって言われてたっす!!」
「・・・君たちのリーダーは僕たちに何か恨みでもあるのかな?」
あ、またヘタレたっす。
目の前のベルバアルさんは見た目、黒と紫の入り混じった厳つい鎧を身にまとって、背中に禍々しい大剣を背負ったいかにも【魔王】っぽい出で立ちなのに・・・本当に残念な人っす。
『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』
「あ、カウントダウンが始まったっす」
「あ、本当だ。じゃあ気を取り直して・・・フハハハ、小娘! 我輩の恐ろしさ、身を以て味あわせてやろう!!」
お、良いっすね。いかにも【魔王】っぽいセリフっす。・・・最初からそれをやってれば良いのに、と思わなくもないっすが・・・
『3・・・2・・・1・・・試合開始!!』
「じゃあ、その恐ろしさ、教えてくださいっす!!」
試合開始と同時にボクはベルバアルさんに突撃をかけたっす!
アニキには負けるけど素早さには自信があるっす!
そして目の前に迫ったベルバアルに向かって・・・
「チェストォォオ!!」
正拳突きをかましてやったっす! と言ってもスキルを使っていないただのパンチなんすがね。ボクの種族、【竜人】は力も強いっすから、普通のパンチでも並大抵の威力じゃないっす!
・・・そのはずっすのに・・・
「・・・うむ、腰の入った良い拳だ」
当のベルバアルさんは・・・ボクのパンチを受けても微動だにせず、その場に仁王立ちしていたっす。
・・・ボクの攻撃が効かない・・・? 何かの防御スキルっすか? それともあの鎧の防御力・・・?
「だが、その程度では我輩には傷一つ付けられん!!」
今度はベルバアルさんがパンチを繰り出してきたっす。
避けられないスピードじゃないっすが・・・ここはあえて受けるっす!!
「・・・あぐっ!!」
・・・【武鎧マルスガイズ】の手甲部分で受けたっすが・・・吹っ飛ばされてしまったっす。
・・・今の一撃でわかったっす。
これまでの相手とは格が違うっす!!
「・・・何故笑っている?」
ベルバアルさんが怪訝な顔で聞いてきたっす。
・・・そうっすか。ボクは笑ってるっすか。
「・・・ボクは強い奴と戦いたくてトーナメントに参加したっす。強くなってアニキに追いつくっす! だからベルバアルさんのように強い奴と戦えるのが嬉しいんす!!」
「・・・生粋の戦闘狂か・・・しかし、嫌いではない。そして上を目指すのは我輩も同じだ。・・・我も【魔王】を目指しているのだからな。・・・良いだろう。我輩の全力を以て貴様を葬ってやろう!!」
「こっちのセリフっすよ!!」
ボクはベルバアルさんに向かって大きく飛び上がり・・・
「【竜星脚】!!」
ライ○ーキックをお見舞いするっす!!
「甘いわ!!」
しかし、なんとベルバアルさんは大きく振り上げた足でボクのキックを受け止めてしまったっす! そんな受け方、アニキだってしないっすよ!? 一体なんなんすか、この人!?
「せいやっ!!」
ベルバアルさんは足を大きく振り上げ、ボクは頭上高く持ち上げたっす。なんてパワーっすか!?
そしてベルバアルさんは昇〇拳よろしくアッパーを繰り出してきたっす!!
「舐めるなっす!!」
それに対し、ボクは振り上げられたベルバアルさんの腕を抱きつくように絡め取ったっす! このまま寝技に持ち込んで腕をへし折ってやるっすよ!!
そう思ったんすが・・・
「・・・!?」
・・・ビクともしなかったす。まるで鉄かなにかでできてるんじゃないか思えるくらいに・・・微動だにしなかったっす。
「・・・最初に断って置こう」
・・・ベルバアルさんが静かに・・・それでも力強い言葉で語りかけてきたっす。
「我輩は完全なるパワータイプだ。いかに貴様が【竜人】といえど今の我には及ばん」
・・・そんな・・・っす。
「頭が高い! ぬぅぅぅん!!」
「うわあああっす!!」
ボクはバルバアルさんが乱暴に振るう腕の前になす術もなく・・・飛ばされたっす。
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