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鬼を従える者

「まずは挨拶だな。【ジェットソニック・ラッシュパンチ】!」


もはやお決まりになった開幕パンチである。


「物騒な挨拶だ」


そう言うと坊さん・・・ナユタは懐から・・・お札を取り出した。


そしてそのお札を自身の前に投げる。


するとお札が弾け、透明な壁が出現。俺のパンチは全てその壁によって阻まれた。


「・・・お札でパンチを防がれたのは初めてだ」


「【障壁符】・・・これはこれで貴重なアイテムなのだがな」


「そーかい。【ジェットブラスト・ラッシュパンチ】!」


今度はパワー重視の拳を放つ。案の定、障壁にヒビが入る。便利なアイテムだが、やはり耐久力には限界があるようだな。もう一発食らわせれば砕けるだろう。


「無論、こんな物でそなたの攻撃を防ぎきれるとは思っていない」


そう言うとまたしてもナユタは懐からお札を取り出した。今度は二枚のようだ。それらを地面に放り投げる。


「オン! おい出ませ、【前鬼】!【後鬼】!」


「なに!?」


ナユタが叫ぶとお札が浮かび上がり、光と共に現れたのは・・・二匹の巨大な【鬼】。


3メートル近い巨体に、一匹は赤い肌に2本の角で金棒を携えている。もう一匹の鬼は青い肌に角は1本で刺又(刃先は2本に分かれた槍のような武器)を持っている。二匹ともシルエットこそ人型だが、その巨体、ありえないほど盛り上がった筋肉、そして鋭い牙が見える獰猛な顔つき・・・人間離れしている。


「これが拙僧の【式鬼】・・・赤い鬼が【前鬼】、青い鬼が【後鬼】だ」


【式鬼】・・・お札が生物の形になるあれか、【式神】とも言うが・・・じゃあ、あの鬼達はさっきのお札で出来たもので【眷属】ではないのか。


語弊があるかもしれないが、【ビートル君】のような自立稼動型のロボットみたいなもんだと思っておけばいいかな。


にしても・・・


「【式鬼】を出すのは【陰陽師】だろう。アンタ、仏に仕える坊さんじゃないの?」


俺も詳しくは知らないが、【陰陽師】は陰陽道、坊さんは仏教なんじゃないのか?


「だから破戒僧だと言っただろう」


ナユタが俺を指差しながら言ったと同時に


「ガァアアアアアア!!」


赤い鬼・・・【前鬼】が襲い掛かってきた。・・・叫び声がうるさい。


【前鬼】は金棒を大きく振りかざし、俺目掛けて振り下ろしてくるが・・・


「遅い」


当然、俺が棒立ちでそんな物を受けるはずがなく、金棒を避ける。・・・空振った金棒が地面をえぐっている。パワーは中々の物だな。


「【ブラストパンチ】!!」


避けざまにパンチを食らわせる。体格差のために【前鬼】の足に攻撃したのだが・・・大したダメージは無いようだな。


「ガァアアアアアア!!」


「おっと!」


反撃と言わんばかりに金棒を振り回してくる【前鬼】。


だがそんな大振りの攻撃なんて当たらんよ。その攻撃の隙間に、お返しとばかりにこちらからも攻撃を食らわせるが・・・イマイチ効果がない。・・・大した防御力だ。


「・・・やはり【前鬼】だけでは厳しいか・・・【後鬼】!!」


「グゥオオオオオオ!!」


ナユタの指示の元、今度は【後鬼】も攻撃に参加してくる。・・・こっちもうるさいな。


【後鬼】の持っている刺又は武器ではあるのだが、槍のように突き刺す物ではなく、U字形をした穂先で相手を捉える捕具としての役割の方が大きい。


現に【後鬼】はその刺又を、俺を捉えるように突き出してくる。・・・さしずめ、あの刺又で捉えて金棒でぺしゃんこにするといった所か。・・・おっかないな。


とはいえ、素手ではきついな。


俺は【霊刀ムラクモ】を取り出す。


俺にしては珍しく二刀流ではなく一刀流だ。


「鬼退治は武士の勤めってね。【ハイジャンプ】!!」


【霊刀ムラクモ】を鞘に収めたまま構える。


目指すは【前鬼】の・・・首!


「【居合い・一文字斬り】!!」


【前鬼】の顔面まで急接近したと同時に抜刀。


俺の刀が一直線に【前鬼】の首に向かう・・・が・・・


ガキンッ!!


すんでの所で【後鬼】の刺又に阻まれる。


「ガァアアア!!」


そこですかさず【前鬼】が金棒を振り降ろしてくる。


「【ガードアーマー】!!」


防御スキルを使用し、腕で金棒を受け止める。


「うおっと!?」


攻撃を受け止めはしたものの、さすがのパワーで吹っ飛ばされる俺。


・・・幸い、防御スキルのおかげかダメージはそれほどない。


スタッと鬼達から離れた場所で着地する。


それにしても中々のコンビネーションじゃないか。


【前鬼】【後鬼】といえば役小角が従えていたという夫婦鬼。息ぴったりなのは当然なのかもしれないな。・・・もっとも目の前の【前鬼】【後鬼】は肌の色と角の数以外は瓜二つで男女の性別があるようには見えないが。


「・・・【前鬼】と【後鬼】、二匹がかりでも厳しいか・・・これは拙僧も手を出さざるをえんな」


一方で二匹の鬼を従えているナユタがないやらブツブツ言っている。


・・・まだ何かあるのか。しかも俺にとって未知の何か・・・


受けに回るのは危険だな。


速攻でケリをつけるとしよう。


「【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


俺は加速して【前鬼】に近づく。


「ガァア!!」


【前鬼】が俺を迎撃しようと金棒を振り上げるが・・・残念、俺の狙いはお前じゃない。


「【フラッシュ】!!」


【前鬼】の手前で【光魔法】を発動。とはいえ、これは単なる目くらましだ。


「ガ!?」


だが予想以上に効果があったらしい。【前鬼】は金棒を離し、目を押さえた。


この隙に俺は移動し、本来の標的・・・【後鬼】に近づく。


「グゥオオ!!」


【後鬼】は刺又を突き出してくるが・・・加速中の俺を捉えることが出来ないようだ。


刺又を避けつつ、なおも近づく。


「もらった!【一刀突き】!!」


【霊刀ムラクモ】を【後鬼】の首目掛けて突き入れようとする。


まずは一匹、と思ったのだが・・・


「【オン・インドラヤ・ソワカ】!!」


「ぐあっ!?」


その攻撃が届く事はなかった。


ナユタから飛んできた()()が原因だ。


ナユタは手を何かの形に結んでいて、そこから雷撃によって体が一瞬硬直してしまったのだ。


・・・今のはまさか・・・


ナユタは更に何か言いながら手の形を変えている。


・・・まずい!


「【ナウマク・サンマンダ・ボダナン・インドラヤ・ソワカ】!!」


「【マジックアーマー】!!」


俺とナユタがほぼ同時に叫ぶと、今度は俺に向かって空から雷が落ちてきた。


咄嗟に防御スキルでガードしたが・・・痺れたぜ。


「ガァア!!」


「グゥオ!!」


と、そこへ間髪いれず【前鬼】【後鬼】から攻撃を受け・・・また吹っ飛ばされた。


「クッ!!」


幸い、まだ【ガードアーマー】の効果が残っていたようで深刻なダメージは受けなかったが・・・今のは効いたぜ。


「【ヒール】」


【回復魔法】で回復はしたが・・・全快じゃないな。だが、ただでさえ【俊天の疾走(アーク・アクセル)】でMPを消費しているからな。これ以上の消耗は避けたい。


それにしても今のナユタの言葉・・・それに手の形は・・・


「【帝釈天】の【真言】と【印】か・・・」


「ほほう、よく知っているな。拙僧の【法力】により、仏の力をお借りするスキルだ」


・・・破戒僧のくせに仏から力を借りるとかありなのかよ。


作者のやる気とテンションを上げる為に


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