頑張らないとな
『本選第二回戦は全て終了しました。一時間の休憩の後、本日最後の第三回戦を開始します!』
二回戦も終わったか・・・これで次の三回戦を勝ち残れば最終日・・・ベスト16に進めるわけだな。
「何とか勝ち残ったわね」
「・・・つらく厳しい戦いでした」
「次はもっと熱い戦いがしたいっす!」
勝ち残ったメンバーもそれぞれ感想を漏らす。・・・アルマ・・・そんなつらく厳しい戦いだったか? アシュラ・・・もう何も言うまい。
「ここまで来たら最後まで勝ち残ってほしいね」
「うむ、ワシを倒したあの男に一泡吹かせてほしいのう」
一方で負けたラングとガットも・・・負けたことは引きずってはいないようだが、どうせなら俺たちに勝ち残ってほしいらしい。勝った奴は負けた奴の分まで次の試合を頑張らないといけないっていうのがトーナメントの王道だな。
・・・にしても勝ち上がっていくほどに強い奴、というか変な奴が出てきてるような気がするが・・・厄介なことには違いないか。
他の強豪クランの強い奴とかも勝ち残ってるし・・・このまま勝ち進めばそろそろどこかで当たるだろうしな。
・・・ともあれ・・・
「まあ、次の試合も頑張るってことで・・・じゃ、次の試合に備えて英気を養うってことで自由時間だな」
いつも通り、次の試合の開始まで自由に過ごすことになった。俺もいつも通りクランホームに戻るんだが・・・
「その前に屋台に寄って行きたいんだよな」
「まだ買い食い?」
アテナが呆れたように言うが・・・美味い物への探求は止まらないのだ。
「掲示板とかで話題になってるやつとかもあるんだよな。リアルでの世界各地の地元料理も売ってたりするからホントにたくさんあるんだよなぁ」
「もう掲示板でも話題になってたんですね。トーナメントの屋台が出始めてまだ1日とちょっとしか経っていないはずですけどね」
さすが大注目イベントといったところか。
一体どれだけの人間がこのイベントにかかわってるんだろうか。
「と、言うわけで行ってきまーす!!」
すたこらさっさと俺は屋台に突撃すべき駆けだしていった。
「え?一人で行くの!?」
「おー! 皆の分も買ってくるから先に戻っててくれー!!」
後ろから声が聞こえていたのでそう答えておく。
「あ、アニキ!・・・行っちゃった。・・・言ってくれればボクが行ったのに」
「アシュラ・・・なんだか本格的にパシリみたいだよ」
「きっとアルクさんは自分で探すのも楽しみだと思っているのです!!」
「ああ、確かにアルクは自分で動くのを楽しむタイプなのだ」
「・・・それもそうっすね!!」
アシュラ、アスター、アーニャ、アヴァンはそう話していたが・・・
「・・・なんか様子がおかしかったわよね?」
「でもアルクさんのことだから何か考えがあるのでしょう」
「・・・二人もだいぶ彼のことがわかってきたね」
「うむ、アヤツのことは心配するだけ損じゃからのう」
アテナ、アルマ、ラング、ガットはそんな話をしていたとかなんとか。
===移動===>トーナメント会場周辺
「・・・さて、これだけ買えば十分だろう。もう皆ホームに戻っただろうしな
===移動===>トーナメント観客席
・・・俺がやってきたのは観客席・・・のとある場所。正確に言えば観客席の最上席、さらにその上の屋根の部分、その上だ。
・・・普通に考えればこんな所に来る理由はないのだが。
「・・・ふむふむ、粒ぞろいじゃのう」
・・・そこには屋根の上から見下ろす怪しい老人の姿が・・・
「・・・何してやがんだ、このジジイ」
俺はその怪しいジジイの後ろから容赦なく蹴りを放つ。
「うおうっ!?・・・なんじゃいお主は!?」
その老人は・・・アルマの対戦相手だったスケベジジイ・・・確かゲンジィとか名乗ってた爺さんだった。
「しらじらしいんだよジジイ。アンタ、俺たちを見てただろうが」
そう、このジジイはさっきから俺たちを見ていた。アルマのストーカーをしていた・・・とかではないはずだ。実はトーナメントが始まった時から視線は感じていた。
とはいえ、俺たちの様子を伺う視線は他にもあった。スパイ・・・というと言いすぎかもしれないが、まあ、強豪どころをチェックしていたという所だと思う。多分、ラングたち【インフォガルド】も似たようなことをしているだろう。有望株がいたらスカウトしたいとか言ってたしな。
「何じゃい、気がついとったのかい・・・やはり優秀じゃのう」
問題なのは、このジジイが気配を隠すのがうますぎる、という点だ。多分、ほとんどのプレイヤーは気が付かなったんじゃないだろうか。
かく言う俺もどこから見られているのかが分からなかった。
だがさっきのアルマの試合の間は視線が途切れていた。さらに試合が終わった途端、その視線が復活した。もうこれはビンゴだと思い、気配を目視で探してみたら、このジジイが観客席の屋根の上にいることに気が付いたというわけだ。
もう一つ、このジジイは既にアルマに敗北している。他のプレイヤーたちを見ていたのが気になる。
すでに負けた以上、他のプレイヤーに対してスパイみたいなことをする必要はないはずだ。
・・・一体どこのクランの回し者なのか、それが気になったのだ。
「・・・安心せい、ワシはソロプレイヤーという奴じゃ。誰かの回し者ではないぞい」
・・・なんで俺の周りには俺の考えがわかる奴が多いのだろうか?
「お主は昔から顔に出やすいんじゃよ」
余計なお世話だ。・・・昔から、ね。
「ジジイ、やっぱり・・・」
「おっと迂闊じゃったな・・・失言、失言」
「・・・ゲンジィなんてわかりやすいプレイヤー名をしておいて今更なに言ってやがる」
そう、俺はゲンジィという名前に身に覚えがある。・・・このゲームの中ではなくリアルのほうで、だ。
「おっと、ゲームの中でリアル事情を検索するのはマナー違反じゃぞい」
「・・・」
エロジジイの癖にいっちょ前に正論かましてくるのが腹が立つ。
「まあ、ワシはお主の邪魔なんぞせんから安心せい。このトーナメントに出たのも腕試しじゃからのう」
「・・・若い女にちょっかい出すためじゃないのか?」
「失礼なこと抜かすな!?」
・・・日頃の行いっていうのはこういう所で信頼なくすんだよな。
「腕試しっていうわりにアルマにあっさり負けたじゃないか」
「うむ、いかにリアルでは腕が立つワシでも【魔法】は専門外じゃわい」
「・・・言い訳だな」
ゲームの中で【魔法】に慣れていなかったって言われてもな。
「まあ、そこら辺も含めてワシはもう少しこのゲーム・・・この世界を楽しむつもりじゃわい。・・・気になることもあるしのう」
「・・・なんだ気になることって・・・って、あっ!?」
聞く前に消えやがった。正確には屋根の上から観客席に飛び降りやがった。あわてて後を追うも、もう影も形もない。・・・ついでに気配もない。
「・・・逃げ足の早いジジイだ」
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




