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クールな顔の裏で

===転送===>観客席


「ただいま戻りました」


試合が終わり、観客席まで戻ってくると・・・私以外の全員が戻っていました。


「よう、お疲れさん・・・フィオレもな」


「ピュイ♪」


第一回戦でアウル君がそうだったように、フィオレも【幼体】化して一緒に観客席に戻ってきました。フィオレも頑張ってくれたのでご褒美を上げようと思っています。


「それにしても、大分手こずっていたじゃないか」


「ええ、さすがに本選の二回戦まで進んできた相手だけありましたね」


・・・エロ爺でしたが。


・・・それはともかくアルクさん以外、皆さん引いてるような気がするのですがどうしたのでしょう?


クックックと笑いながらアルクさんが教えてくれました。


「そりゃあ、な? 試合内容を振り返ってみれば、敵のジジイに近寄らせることなく、かといって自身は一歩も動かず、冷静に冷酷に【魔法】を打ち込み、フィオレも召喚して追い詰めた後、サクっとヤっちまったからな。正直、皆怖気づいてるんだよ」


・・・成程、皆さんを怖がらせてしまったようですね。ただ私としてはエロ爺に近づかれたくなかったので割りと必死に【魔法】を使っていただけなのですが・・・特に若作りになった後に接近戦に持ち込まれていたら・・・どうなっていたか分かっていた物ではありません。


「それはそうなんだろうが・・・無表情で淡々と追い詰めていってたからな。どこの処刑人だと思ったぞ・・・アルマって怒ると逆に冷静になるタイプだったんだな」


・・・処刑人って・・・確かにあのエロ爺を断罪したい気持ちではあったのですが・・・そんなに怖かったのでしょうか?


直接的な被害がなかった以上、やりすぎたかもしれないとは自分でも思いましたが・・・戦場では情け容赦無用、というのもアルクさんの教えでしたし、ね。


「まあ、俺の教えを忠実に守って勝ったんだ。これで【アークガルド】の恐ろしさも知れ渡っただろう、グッジョブ!!」


アルクさんは愉快でたまらない、という顔をしています。少なくとも今の試合で恐怖を感じたプレイヤーはエロ爺のような視線を向けてくる事は無いと思いますが・・・必要以上に怖がられてもどうかと思います。


しかし、アルクさん的にはそれでOKなんですね。器が広いというか、頭のネジが一本外れているというか・・・とにかく楽しそうです。


本当にアルクさんは心からこのゲームを楽しんでいますね。


・・・まあ、それは私もそうですが。


【アークガルド】というクランは私にとっても大切な場所です。


そして【アークガルド】のメンバーは一人の例外もなくどんどん強くなっていきます。


私も遅れをとらないよう、もっと精進しなければいけません。


・・・何より、私はまだ一度もアルクさんに勝ったことがありませんし、ね。


・・・ここまで勝ち負けに拘るようになったのも、きっとアルクさんたちの影響なんでしょうね。


私はクスリと笑ってしまいました。


===視点切替===アルク


アルマの奴が頑張ったご褒美にとフィオレに焼きトウモロコシをあげている。


・・・フィオレのくちばしでトウモロコシを食べるのはきついんじゃないかと思ったが、フィオレは器用に一粒一粒美味しそうに食べている。


・・・高速でくちばしを動かす様はまるでキツツキのようだ。


「ピュイ!?」


今、失礼な事考えなかった!? と言わんばかりにフィオレの奴が俺を見た。


・・・とうとう、フィオレにまで心が読まれるようになったのか。どんだけ心の声が駄々漏れなんだ、俺は。


「それにしてもアスター、やっぱりお前もトーナメントに参加してれば良かったんじゃないか? 【超能力】スキルの持ち主がここまで勝ち残ってたんだし」


俺はフィオレの視線から逃れるようにアスターに話を振る。


「・・・できれば一緒にされたくないんですが・・・どうでしょうかね? 少なくとも僕はあんな風に若返ったりマッチョになったりしたりしませんよ」


確かにあれは驚いたな。あれはもう若返りとかじゃなくて変身だろ。


「確か【エイジア】っていう種族だって言っていたね。・・・多分、あの若返りも【種族スキル】なんだろうけど・・・僕も知らなかったよ」


情報クラン【インフォガルド】のリーダーであるラングも知らなかったとなると・・・相当レアな種族なんだろうな。


・・・そもそも何でアバターを老人の姿にしたのか?っていう疑問もあるがな。


このゲームは外見も性別も変更可能なんだし、最初から若い姿でアバターを作っていれば良かったんじゃないだろうか? ・・・リアルとゲームで差異を作るのが嫌だったんだろうか?


「案外、あの老人の姿は本来の姿じゃないかもしれないよ? 若返りができるのなら、反対に年老いた姿になる事もできるのかもしれないしね」


・・・なるほど。相手の油断を誘うためにあえて老人の姿をしていた可能性もあるのか。


「しかし、あのご老体は時間切れで元に戻ったというような発言をしていましたよ?」


ここで直接戦ったアルマ本人からの証言が。


「そうなのかい? となるとやっぱり老人の姿が元々の姿で、制限時間付きで若返る事ができる、ということかな。・・・どちらにせよ興味深いし【エイジア】という種族の事も調べてみるよ」


・・・正直、面白いとは思うが、戦いにそこまで有効か、と言われればそうでもないような気がするが・・・まあ、戦いだけが全てじゃないからな、このゲーム。・・・若返ったり年老いたりするのにどんな有用性があるのかは不明だが。


「それにしても珍しく怒ってたわね、アルマ」


今度はアテナがアルマに水を向ける。この中で一番付き合いの長い・・・二重人格なんだから当然なんだが・・・アテナでもアルマが怒っているのは珍しかったらしい。


「・・・視線が卑猥でしたからね。あの目はどさくさにまぎれてお触りとか考えてる目でしたよ」


・・・うーん、アルマの目から見ても相当なスケベ爺だったようだ。まあ被害がなかったから良かったが。


「女の敵は悪・即・斬っすよ! もっと痛めつけても良かったんじゃないっすかね?」


アシュラ・・・老体にあれ以上に鞭を打てと? なんかエロ爺に恨みでもあんのか、お前?


「そうですか? ・・・なら()()はそうしますね」


普通に了承しちゃったよ、アルマ。


って今度?


「・・・他にも私の胸を見てくる人がいらっしゃいますので」ボソッ


・・・アルマが小声で呟いた言葉が・・・なぜか聞こえてしまった。


・・・え? もしかしてそれって俺のこと?


確かにアルマが水着を着たときなんかは見ちゃったりしたこともあったが・・・そんなご立派な物をぶら下げてたらつい見ちゃうよね?


そんな卑猥な視線なんて・・・なんかあのエロ爺も同じ言い訳をしそうだな。


・・・自重しよう。


そしてアルマとトーナメントで当たらないことを祈ろう。


作者のやる気とテンションを上げる為に


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