年齢性別関係ナシ
「ただいま」
お、アテナが戻ってきた。
「おう、おかえり。どうだった早撃ち対決は?」
「きわどかったけどなんとか勝てたわ。事前に銃相手に練習してなかったら負けてたかもね」
どうやら早撃ち対決はアテナの勝ちだったようだ。
・・・よくよく考えると、銃と弓矢で早撃ち対決って意味がわからんな。普通、銃のほうが圧倒的に有利だろうに・・・弓矢のほうが勝つとは。・・・まあ、このゲームでは実弾も普通に避けられたり、弾丸より矢の方が威力が高かったりするから、結局はプレイヤーのスキルと武器のレベル次第なんだけどな。
ちなみにだが俺たち【アークガルド】の中でも銃を扱う奴は少ない。俺とカイザー、ラグマリアくらいだ。
何故かって?・・・どいつもこいつも下手くそだからだ。10m先の標的にも碌に当てられない奴ばかりでな。唯一、アテナは命中率がそれなりに高いのだが、銃は性に合わないらしく、本人は弓矢のほうが良いんだと。
「・・・普通、射撃訓練でもしていない限り、そう簡単に銃は扱えたりしないのだ」
このゲームではスキルの補正もあるが、銃を撃った反動もあるし重さもリアルに近く、そう簡単に扱えないのが普通らしい。
俺? 訓練なんてしなくても普通に使えましたが何か?・・・つまり、アヴァンは俺が普通じゃないと言いたいんだろうか?失敬な。
・・・まあ、銃が使えなくとも他の【兵器】もたくさんあるからあえて銃だけに拘る必要もないんだけどな。
「ただいまっすー!!」
おっとアシュラも帰ってきた。こっちも試合が終わったらしい。
・・・それは良いんだが・・・
「お帰り・・・お前、何やってたんだ?」
俺が見た限り、相手プレイヤーと走り回ってたようにしか見えなかったが。
「相手から、力じゃ勝てないからってスピード勝負を申し込まれたっす! いやー、あのローラースケート男、中々素早かったっすが、アニキほどじゃなかったっす! 勿論、ボクが勝って来たっす!!」
・・・結局、追いつ追われつの鬼ごっこみたいな形となり、最終的にはアシュラが相手選手に追いついてワンパン決めたらしい。
・・・なんだろう、本人達は真面目に勝負していたつもりなのかもしれないが・・・周りから見ると遊んでたようにしか見えないんじゃないだろうか。
「でもボクとしてはやっぱりガチンコ勝負がしたいっす! 次はもっと歯ごたえのある敵と戦いたいっす!!」
「アシュラ・・・」
アスターが頭を抱えてる。言いたいことは分かるんだが・・・アシュラよ、そんなこと言ってると次の試合とんでもない奴と当たるかもしれないぞ。・・・ああ、それを狙ってフラグ立てようとしてんのか。
「・・・あれ? アルマの姉御はまだなんすか?」
アシュラが珍しそうにキョロキョロしながら聞いてきた。
アルマの場合、試合開始と同時に強力な【魔法】をブッ放して一瞬で勝負を決めるから、大抵の場合、試合に行ってもすぐに戻ってくる。
だからまだ戻ってきてないのが珍しいらしい。
「ああ、アルマなら・・・ほれ、あそこで試合中だ」
「・・・本当ね。こう着状態なのかしら・・・一体何があったの?」
「・・・さあ?」
俺たちは向かいあったまま動かないアルマと対戦相手の試合を見ることにした。
===視点切替===>アルマ
時は少しさかのぼって、試合開始前。
舞台上に転送された私のまえに、対戦相手の方がいらっしゃいました。
ですが・・・
「ほっほっほ、お前さんがワシの対戦相手かい。宜しくな、お嬢ちゃん」
そう、対戦相手はご老人、でした。
着流しを来た白髪ののご老人。杖はついていませんが、猫背のように腰を曲げて、その場に立っています。
・・・見た目からは普通の【人間】のご老人としか判断出来ません。
しかし、油断はできません。
このゲームの世界では見た目の年齢や性別などは当てにはできませんからね。
男性より力が強い女性、大人より早く走る子供、そして【魔法】を扱うには年齢も性別も関係ありません。
注目しなければいけないのは相手の種族と装備、そして相手の表情です。
種族を見れば得意な分野、【武術】系、【魔法】系、【兵器】系などなど予想することが出来ます。装備も同様ですね。
そして相手が自信のある表情をしているか、どこに目線が行っているか、それを悟らせないよう表情を消しているか、などの戦いに対する姿勢などから、相手の実力を測る事ができます。
・・・というのがアルクさんからの受け売りです。
正直な所、私はそこまで相手を観察して実力を測る、などということは出来ません。あくまで何となく、といった程度です。
ただ、確かにトーナメントで実際に戦ってみると色んな表情をしている人たちがいます。
自信、不安、焦り・・・視線を逸らしたり、逆に相手を集中して見すぎていたり・・・場慣れしているかどうか、くらいはわかります。
「・・・どうも初めまして。私はアルマと申します」
予選では人数が多かったのできませんでしたが、本選では挨拶から始めるようにしています。勿論、これも相手の出方を伺うためなのですが。
「ほっほっほ、ワシの名はゲンジィじゃよ。しがない老人じゃ」
なんの迷いも無く挨拶を返されました。・・・アルクさん曰く、こういった舞台で何の緊張も無く普通に出きる奴は手ごわい、とおっしゃっていましたので、このご老体もやはり強者なのでしょう。
現に、ご老体は私から決して目を離していません。
・・・いえ、違う?
私を見ているというには視線が・・・
「・・・」ウンウン
・・・なにやらご老体はウンウン頷いていますが・・・その視線は・・・私の胸に向けられていますね。
『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』
・・・なるほど、どうやら遠慮は無用のようですね。
私は【蒼鎧ディブルー】を身に纏い、【魔杖ブルーゼブル】を相手に向けます。
『3・・・2・・・1・・・試合開始!!』
「【フローズンボム】!!」
試合開始と同時に【氷魔法】による氷の塊を相手に放ちます。この【魔法】は相手に着弾すると爆発し、相手を瞬時に凍りつかせる事ができます。
凍った所で【上級魔法】で一気に葬り去ります。
・・・ご老体に対する仕打ちとしては酷ではあると思いますが・・・エロ爺に容赦する必要はありません。
「ほっほっほ、せっかちじゃのう・・・【サイコキネシス】」
「えっ!?」
しかし、ご老体が氷の塊に手をむけると、私の【魔法】はピタリとその動きが止め、そのままあらぬ方向へと飛んでいってしまいました。
・・・今のは・・・アスター君と同じ・・・
「ほっほっほ、ワシはお嬢ちゃんの今までの試合も見て、じっくり観察させてもらったわい。【魔法】と【超能力】の勝負といこうかの?」
不敵に微笑むご老体ですが・・・その眼は常に私・・・の胸に向けられていますね。
・・・どうやらこのご老体は一度痛い目にあわなければいけないようですね。
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