本選第二回戦
『まもなく本選第二回戦が始まります』
『第一回戦の参加者が128人、第二回戦では勝ち残った64人、32試合が行われることになります』
『段々と~試合の数が減っていって一試合一試合の内容が濃くなっていきますね~』
『二回戦まで勝ち残った時点でベスト100位以内に入ってる猛者たちということになりますからね』
観客席まで戻ってくると司会者達がトークを繰り広げていた。
・・・そうか。何万人といたトーナメント参加者たちも、もう64人にまでなってるのか・・・・このゲームの強い奴ランキングベスト100位に入ってるって考えると、それはそれですごいことだな。
・・・おっと、まだまだ試合は続くんだから100位以内に入ったからって満足してちゃ駄目だよな。目指すは優勝なんだしな。
「ここまで人数が絞られてくると、強敵と当たる確率がどんどん高くなってくるわよね」
「そうですね。そろそろ、他の強豪クランのリーダークラスと当たってもおかしくないと思います」
「望む所っすよ! 皆蹴散らすっす!!」
俺たち【アークガルド】のメンバー・・・アテナ、アルマ、アシュラも順調に勝ち残ってる。・・・だが、この調子で行けるほど甘くはないだろうな。
「今までの試合の傾向からして強豪クランのリーダーに当たると相当厳しい戦いになると思うよ?・・・僕みたいに」
ラングの奴がまるで実際に体験したかのようにしみじみと呟く。・・・って俺のことか、それは。
「確かにのう、勝ち残った連中はワシでも知ってるような連中ばかりじゃし、油断できんぞ」
同じく、トーナメントでもトップクラスに当たってしまったガットも続く。・・・お前の場合は相手が悪すぎたと思うけどな。まあ、トーナメントでそんな言い訳は通用しないが。
「そうだな。別に運だけで勝ち残ってきたつもりは無いが・・・油断してたらあっという間にやられそうだ」
どいつもこいつもあの手この手で仕掛けてくるからな。それもほとんど俺の知らないような武器とかスキルを使ってきやがるし・・・幅広すぎ、このゲーム。
『貴方が参加する試合は本選第二回戦 第一試合です。転送開始まで08:35・・・』
おっと、何時ものアナウンスが来たな。・・・やっぱり第一試合なのはいい加減、もう突っ込まないぞ。
「あ、私の所にも来た」
「私もです」
「ボクもっす!!」
みんなの所にもアナウンスが来たらしい。
試合数が少なくなっていく分、試合開始時間が同じになってきたな。出来れば俺も生で見ながら応援したかったが・・・こればっかりは仕方が無いな。
「頑張ってくださいなのです!!」
「うむ、ここまで来たのだ。勝って次に進むのだ」
「油断しないように・・・特にアシュラ」
トーナメントに参加していないメンバー・・・アーニャ、アヴァン、アスターの声援にも力が入る。・・・その手に持ってる串焼きが無ければもっと説得力があったのにな。・・・コイツラはコイツラでトーナメントを満喫しているようで何より。
「どうせなら【アークガルド】のメンバーに優勝してもらいたいねぇ。そうすれば同盟クランとして箔がつくし・・・」
「うむ。ワシの作った装備にも箔がつくしのう」
・・・コイツラのこれは応援なのか? 欲まみれだな。言いたいことは分かるんだが・・・あ、ロゼさんとヴィオレにひっぱたかれてる。
まあ、コイツラの憎まれ口は何時もの事だが、俺たちを応援する気持ちに嘘はないだろう。・・・多分。
実際、コイツラには世話になってるわけだし、コイツラのためにも優勝したいという思いが無いわけでも無い、気がしないでもなくもない・・・ような気がする。・・・意味不明?・・・俺もだ。
まあ、俺は俺でできることをするだけだな。
丁度そこで転送の光が俺を包んだ。
===転送===>本選第二回戦 第一試合会場
と、言うわけでやってきました、試合会場。
ちなみに今回は最初から【攻鎧アルドギア】を装備した状態だ。ラングとの試合で見せてしまった以上、もう隠す理由も無いからな。武器はいつも通り持ってないが。
さて、さっそく今度の対戦相手がどんな奴なのか確認しないとな。
「・・・」
「・・・」
ぶつかり合う視線と視線。
・・・うーむ。
対戦相手を見たが・・・正直、コメントに困る。
まず、対戦相手は初見だ。正確にはアヴァンが撮影していたいくつかの試合の中で見たと思うが・・・正直名前も覚えていない。
次に相手は【マキナ族】・・・体の半分が機械の・・・ようするにアンドロイドのようだ。首から上は人間のそれ、そのままだが、服から出ている手足は生身ではなく機械のそれだ。
さらに相手は女性だ。
目つきは鋭いが、黒髪黒目に整った顔立ち・・・所謂美人に入る類だろう。体つきも細身だが・・・【マキナ族】なら見た目は当てにならないな。
そして一番の問題は・・・なぜかナース服を着ている事だ。
「・・・なんでナース?」
別に聞き出そうと思ったわけではないのだが思わず口からそんな言葉が出ていた。
「・・・フフフ、単に私の趣味よ。あとは・・・ボスの意向、かしらね?」
しかし、相手は律儀に俺の問いに答えてくれた。・・・ボス?
「【アークガルド】のリーダー、アルクね? ここで当たるなんて・・・ついてるわ」
「・・・俺のことを知ってるのか?」
まあ、今までの試合を見てたら分かり・・・いや、今までの試合で俺の名前は出てたがクラン名まで出てたっけか?
「勿論よ。貴方もまた、我がクランで注目していた要注意人物の一人だから、ね?」
妖艶に笑いかけるアンドロイドナースだが・・・なんか危ない感じだな。・・・俺が相手する女性プレイヤーってこんなんばっかりか。
「クラン・・・ねぇ。俺はアンタのことを知らないし出来れば自己紹介願いたいな」
『バトル開始まで・・・9・・・8・・・』
・・・カウントダウンが始まったが俺たちは気にせず・・・油断なく話しを続ける。
「これは失礼。私は・・・」
『3・・・2・・・1・・・試合開始!!』
「クラン【秘密結社DEATH】のボスの右腕、鮮血のレディよ!!」
と同時にアンドロイドナース・・・レディが何か投げてきた。
これは・・・メスか。ナースが投げて良いものじゃないよな。
「【ジェットソニック・ラッシュパンチ】!」
先制は取られたが、拳を放ち、飛んできたメスを弾き飛ばしてそのままレディに攻撃を仕掛ける。
「・・・お?」
俺が放った拳はレディの体を素通りした。
・・・よく見るとレディの足元で何かが光っている。・・・あれは・・・ホログラムか? 何時の間に・・・
「そこよ!!」
空中から声が聞こえた。
顔を上げるとレディが空を飛んでいた。足にスラスターのような物が付いている。・・・飛行できるタイプか。
そのレディが何かを俺に投げた。
・・・なんだ、あれ? ・・・なんかの袋?
何かは分からないが、そのままくらってやる理由は無いので【グランディスマグナム】を取り出し、撃ち落とす。
「む!?」
しかし、弾丸が袋に当たった瞬間、袋が弾けた。
弾けた袋の中から・・・粉のような物が散乱した。
・・・なんだか分からないが、あれをくらうのはまずいな。
「【バックステップ】」
咄嗟に距離を取るが、思いのほか勢いよく散乱した粉が・・・少し、俺の腕についてしまった。
「・・・!?」
途端に、体が重くなった。
動けないほどではない。
だがいつも通り動けない。
これはまさか・・・弱体化か!
「・・・ちょっとしかかからなかったみたいね。でも地面に撒いただけでも十分」
・・・確かに地面には先ほどばら撒かれた粉が・・・これを踏んでもアウトなのか。
そしてレディはというと・・・デッカイ注射器を取り出していた。その顔には嗜虐的な笑みを浮かべている。
・・・危ない奴だな、コイツも。
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