天使の休息
===転送===>観客席
「ふぅ~・・・ただいま!」
勝利のメッセージが出たと同時に観客席に転送される。ここでようやく試合が終わった、という実感と共に力が抜ける。やっぱり戦いの緊張感っていうのは何時まで経ってもなれないなぁ。
「よう、お疲れさん」
私が戻ってくると同時に私達のリーダーであるアルクがねぎらいの言葉をかけてくれる。
「・・・」
「・・・どうした?」
・・・アルクは緊張感とか無縁なんだろうなぁ。戦いの最中も良く笑ってるし。まあ、頼りになるからそれで良いんだけど・・・
「お帰りなのです!」
「良く戦ったのだ」
「お疲れ様です」
続けてアーニャちゃん、アヴァン君、アスター君が声をかけてくれる。アルクが集めた【アークガルド】のメンバー。皆優秀で良い人達ばかり・・・たまにぶっ飛んだ事する子もいるけど。勿論、筆頭はアルク。
「ありがとう・・・あれ? アルマとアシュラちゃんは?」
同じく【アークガルド】のメンバーのアルマとアシュラちゃんの姿が見えない。とは言っても二人もトーナメントに参加してるわけで、この場に居ない以上は多分・・・
「二人とも試合に呼ばれたよ。アテナが戦ってる途中にな。途中までしか応援できなくって残念がってたが・・・まあ、仕方が無いよな」
試合が組まれる都合上、他の人が試合中に自分の試合が回ってくることもある。現に私だってアルクの試合中、と言ってもほとんど終盤だったけど、に自分の試合が来てしまった。
「ほら、あそこでアルマの試合がやってるぞ」
そう言ってアルクが指差した先を見る。
・・・そこには相手選手を氷漬けにするアルマの姿が。
「・・・」
「・・・」
なんともいえない顔になる私たち。
「・・・あ、あっちでアシュラの試合もやってるぞ」
また別の試合を指差すアルク。
・・・その先には確かにアシュラちゃんが・・・相手選手をボコボコにしてるけど。
「・・・」
「・・・」
「・・・なんかアシュラがすいません」
なぜかアスター君が謝ってくるけど、アスター君は何も悪くないと思うわ。・・・こちらこそアルマがなんかすいません。
「ま、まあ、あの様子なら、あの二人も順調に勝ち越すだろう。やったな!」
アルクが空気を変えるように言う。
確かにこれで【アークガルド】のトーナメント参加者は本選第一回戦も突破したことになるわね。って、そういえば・・・
「ということはアルクはラングさんに勝ったのね?」
「ん?・・・ああ、そうか。アテナは俺たちの決着が付く前に試合が始まったんだったか。・・・ああ、俺が勝ったぞ。」
・・・そう。最後まで見れなかったのは残念だったけど・・・勝ったのなら良かったわ。・・・けど、ラングさんが負けちゃったのならロゼちゃんも残念がってるだろうな。
「いえ、それほどでもありません。勝負である以上、必ずどちらかは勝ってどちらかは負けますからね」
「ロゼはドライだなぁ・・・まあ、言ってることは間違ってないね」
「と、このように本人もあまり気にしていないので・・・」
そう言ってきたのはロゼちゃんとラングさんだった。
・・・そう言ってる割に二人とも元気が無いように見えてしまう。やっぱり負けてしまうのは悔しいだろうし、応援してた人が負けてしまうのは・・・悲しいと思う。
特にロゼちゃんはラングさんをかなり真剣に応援してたし・・・憎まれ口も叩いていたけど。
「・・・」
そんな二人に対しさすがのアルクも何も言わない。
・・・違った。アルクは・・・クレープを食べていた。・・・もうちょっと敗者を労わって・・・いえ、ラングさんを敗者扱いするほうが失礼かも。とにかくアルクはいつも通りだった。
「それより、アテナ君が戦った相手・・・リグシオンだっけ? 彼の使っていたスキルに興味があるねぇ」
「そう、それです。アテナさん、実際に戦った感想などをお聞かせ願えますか?」
・・・先ほどまでとは打って変わって目を輝かせながら質問してくるロゼちゃんとラングさん・・・ああ、この二人、似た物同士なのね。
私はしばらくの間、二人から質問攻めにあったのだった。・・・できれば休ませて欲しいんだけど・・・
===視点切替===アルク
「戻りました」
「ただいまっす!!」
試合を終えたアルマとアシュラが戻ってきた。こういうと失礼だが、アテナが相手をしたリグシオンに比べて二人の対戦相手は・・・そこまで強くなかったようだ。
10分前に転送されていった二人がもう戻ってきてしまった。
「・・・アテナはどうしたんですか?」
ラングとロゼさんに質問攻めにあって困惑しているアテナを見ながらアルマが尋ねてくる。
「リグシオン・・・正確には奴が使ってた・・・【死霊術】? っていうスキルに興味津々なんだと」
「・・・なるほど」
確かにあの【死霊術】ってスキルには俺も興味がある。
単に骨の兵士を作りだすスキルだったら、それほどでもなかったが、アテナの【魔法】を跳ね返した骨魔術師といい、最後にした自爆といい・・・中々侮れない。
力押しで強力な【魔法】をぶっ放すアルマや、何も考えず敵をぶん殴るアシュラだったら・・・もしかしたら負けていたかも知れない。
「・・・今、何か失礼なこと考えていませんでしたか?」
「滅相もございません」
・・・何時ものやり取りはいつも通りスルーしよう。・・・俺だったら? 俺は真っ先に大将首を狙うタイプだから。
リグシオンはおそらく【魔法】職タイプの後衛タイプだろうな。多分一人よりパーティを組んで戦った方が真価を発揮するだろう。骨の兵士たちを壁役に、【魔法】が来ても反射、足りない部分は仲間達が補い、骨たちの自爆でトドメ・・・ベルバアルの奴、良い仲間がいやがる。
「【死霊術】も気になるけど、彼が最後に使おうとしたあの指輪も気になるね」
アテナに質問攻めにしていたラングがいつの間にかこっちの会話に入っていた。アテナとロゼさんも来ている。
「そうね、それは私も気になった・・・私は自爆系の【魔道具】だったと思うんだけど・・・アルクはどう思う?」
俺? 俺はそうだなぁ・・・
「俺もそうだったと思うぞ? まあ、強いて言えば、この試合で引き分けになっても意味が無いからHPを1だけ残してダメージを与える、とかだったんじゃないか?」
骨たちの自爆に本人の自爆・・・かなりの奇手だが、敵を倒すという一点に対してはかなり有効だ。今の試合は1対1だったから分からないが、もしパーティ戦だった場合、このゲームはフレンドリーファイヤ無効だから、味方を巻き込むような自爆をしても敵だけを倒す事ができる。
・・・骨たちならともかく自分を自爆させるのはどうかと思うが。
しかし、あんなカウンター系のスキルもあるとなると・・・今後の試合でも気をつけないといけないな。敵を倒そうとしたら逆にこっちが倒されていたなんてしゃれにもならない。
ピコン。
と、そこでメッセージの着信音が。
・・・俺たちじゃないな。
「おっと、ワシじゃな。試合が組まれたようじゃわい」
どうやらガットに試合のメッセージが来たようだ。
「そうか・・・俺たちの中じゃあガットが最後だな・・・まあ、頑張れや」
「そうだね。勝ち進んで是非僕のリベンジを果たして欲しい」
どうやらラングは俺とガットに当たって欲しいらしい。
「そうじゃのう、ワシがトーナメントに出た理由のひとつでもあるしのう」
・・・フッ、小ざかしい。返り討ちにしてくれるわ!
そんなこんな言ってる間にガットは時間が来た。
「負けるんじゃないよ!!」
「わかっとるわい」
ヴィオレの言葉に答えつつ、ガットは転送されていった。
そのガットが転送された先、対戦相手を見る俺たち。
「・・・あちゃー・・・」
ガットの対戦相手、それは・・・全身真っ白男の・・・カオスだった。
作者のやる気とテンションを上げる為に
是非、評価をポチっとお願いします。
m(_ _)m




