トーナメント本選
「あ、やっと来たわね!」
「遅かったですね、アルクさん」
昨日と同じく【アークガルド】【インフォガルド】【アイゼンガルド】で占領しているトーナメント会場の観客席の一角へとやってくる。そこには【インフォガルド】の席取りメンバー(ナナカさんが居たがラングとロゼさんが居ない)と、俺以外の【アークガルド】のメンバー全員が揃っていた。
・・・本来なら俺が一番乗りだったはずなんだけどなー。・・・これもカオスが悪いな、うん(理不尽)。
それはそれとしてカオスとの話で出てきた二人・・・アテナとアルマを見る。
「・・・」ジーッ
「な、なによ・・・」
二人を熱い視線で見つめる俺に困惑している様子のアテナ。
「私達の顔に何かついていますか?」
そしてお約束のボケをかますアルマ。
・・・うむ。ここは俺もお約束で返さねばなるまい。
「そうだな・・・大層ご立派な物が・・・」
そう言って俺は視線を二人の顔から徐々に下へと降ろしていく・・・
「ふん!!」
「えい!!」
「はぐあ!?」
・・・弓と杖で思いっきりぶったかれてしまった。・・・フッ、この俺が避けられないとは二人ともやるじゃないか・・・
「セクハラ禁止!!」
セクハラとは失礼な・・・お約束にお約束で返しただけじゃないか。
「それはお約束じゃないと思いますよ?」
・・・できれば人の心の声を聞くのも禁止してもらえないかね。
「いてて・・・それはそれとして今日の試合、お前らはどう思う?」
「露骨に話題変えてきたわね」
「どう思うとはどういうことですか?」
いまだ警戒気味のアテナと素直にどういうことかを問うアルマ。・・・アルマのほうがセクハラには寛容なのか・・・
「別に許してはいませんよ?」
「だから人の心を読むなっちゅうに・・・昨日の試合の組み合わせ、やっぱりある程度運営が操作していると思うんだ。となると今日の組み合わせも、と思ってな」
「・・・より盛り上がるように試合を組まれるってこと?」
・・・カオスは俺が狙い打ちされていると勘ぐっているようだが、実際には俺以外にも順当に勝ち進んでいるように見える。より正確には予選の段階で強者同士がぶつからないように配慮されていたように見える。あくまで俺が把握している限りでは、だが。
「室長さんは不正はないって言っていたのです。嘘だったのです?」
「確かに決勝より予選の方が盛り上がっていた、というのは運営的にも回避しようと思うかも知れないのだ」
「でも結局の所、実力がないと勝ち上がるのは難しいっすよね? 決勝まで勝ち残るようなプレイヤー同士のバトルが盛り上がらない、なんてことは無いと思うっす!」
「そうだね。単純に不戦敗になるプレイヤーが出ないよう時間をずらすなりの配慮をした結果なのでは無いですか?」
アーニャ、アヴァン、アシュラ、アスターもそれぞれ意見を言ってくる。・・・仮に運営に問い合わせてもアスターが言ったような模範的な回答しか返ってこない気がするな。
「仮に昨日がそうだったとしても今日もそうとは限らないんじゃない? 予選を勝ち残ってきた以上、皆それなり以上に実力があることは間違いないんだしね」
「単純にレベルで比較するだけではどちらが勝つかなんて判断出来ませんからね。本選で当たる相手は全員強者だと思っていれば良いのではないのでしょうか?」
・・・おっしゃるとおり。
・・・やはりアテナもアルマも何かを隠しているようには見えないな。
カオスはおそらく、二人が運営と繋がっていて都合よく対戦相手を操作していると勘ぐったのだのではないだろうか。もしくは俺が目立つように二人に指示したとか・・・
まったく、そんなことあるわけ無いだろうに・・・だが、何故カオスが二人のことを知っているのか不明なままだ。二人の方はカオスのことは知らないようだし・・・まあ、アバターは外見を変更可能だからなんとも言えんが。
やはり奴をボコボコにしてから聞き出すべきだな。
俺が決意を新たにしていると・・・
「おう、早いな。お前さんたち」
「よ! 今日も頑張りなよ!!」
「応援してるわ~ん!!」
ガット、ヴィオレ、ヒューナス・・・【アイゼンガルド】のメンバーがやって来た。
「よう、ガット。・・・今日も勝ち残れるんだろうな? あっさり負けちまうと【アイゼンガルド】の名が泣いちまうぞ?」
「ぬかせ。ワシは元々戦闘職じゃないわい。・・・まあ、やわな装備の奴に負けるつもりは無いがな。お主こそワシの作った装備を出し惜しみして負けるんじゃないぞい」
俺とガットが悪態をついていると・・・
「やあ!」
「・・・おはようございます」
気合の入った様子のラングと・・・なぜか顔色の悪いロゼさんが現れた。
「よう・・・ロゼさんはどうしたんだ? バブルが弾けた社長みたいな顔して・・・」
「・・・どういう顔してるですか、私は」
要するに不景気な顔ってことだ。俺の問いに答えたのは・・・ラングだった。
「ハハハ・・・いやなに、どうも僕以外の【インフォガルド】からのメンバーなんだけど・・・組み合わせが悪かったみたいでね・・・皆予選落ち」
・・・勝負は時の運とも言うが・・・本当に運が悪かったのか運営の采配なのか判断に悩むな。
「・・・まあ、当たった相手が本当に強かったらしいから仕方がないんだろうけどね。ほら、あのカオスって男とか【双星騎士団】のリーダーとか、ね」
・・・カオスの奴は予選の相手は手ごたえがなかったと言ってたが・・・黙ってよう。
「まあ、そんなわけで残ってるのは僕一人なんだよねぇ・・・だから僕が頑張らないと、ね」
・・・つまりロゼさんはリーダー一人に重責を押し付けていることに責任を感じて?・・・それとも部下連中のふがいなさを嘆いているのか?
「いや? 参加賞でもらった【ステータス獲得券】に【スキル獲得券】が羨ましかったみたいだよ?」
「レアリティが低い物ですが・・・私も参加するべきでした」
・・・なんだ、単に参加賞が思った以上に豪華で羨ましかっただけか。まあ、こればっかりは参加した奴の特権だよな。
・・・そういえばこのトーナメントの賞品の内容をまだ聞いていないな。確かトーナメント期間中に発表するとか言ってたが・・・
と俺たちが話し込んでいると・・・空からなんか降ってきた。
『・・・ハイ! 皆さんおはようございます! ポロンです!!』
『ミューズよ♪』
『解説役の室長です』
司会三人組の司会席だった。
空飛ぶ円盤型の司会席に乗った三人が舞台上空を飛び回っている。
・・・よく見ると舞台の数が減ってるな。その分、一個一個の舞台の大きさが倍以上に広くなっている。・・・派手な戦闘を期待してるってことか?
『さあ、今日から二日目!予選を勝ち残った猛者たちによる本選が始まります!!』
『今日からは~1対1の戦いになるからね~』
『昨日以上の激戦になることは間違いないでしょうね』
『それではグタグタしてるのも退屈でしょうし、さっそく開始と行きましょう!!』
・・・今日は昨日のようにオープニングや説明は無いんだな。まあ、昨日だけで十分だが。
『では早速、試合参加者へ~・・・送・信♪』
ピコン
ミューズの言葉と共にメッセージが・・・うん、わかってた。
さっそく内容を確認。
『貴方が参加する試合は本選第一回戦 第一試合です。転送開始まで09:42・・・』
・・・やっぱりな。もう俺は突っ込まない。どうせ皆倒すんだから順番なんて一緒だよな。
「あー・・・アルク・・・」
俺が覚悟と諦めをシェイクしているとラングが話しかけてきた。
「どうした?」
「アルクの試合って・・・第一試合かい?」
「・・・そうだな。陰謀を通り越して嫌がらせの様な気がするな」
そう言うとラングは微妙な表情をしている。・・・まさか?
「実は・・・僕もなんだよね」
「「「「「え?」」」」」
・・・さっそく対戦相手が判明したらしい。
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