二日目
===ログイン===>【アークガルド】クランホーム
おはようございます。
今日も今日とて朝の早めからログインしております。
さすがに休日の朝は眠い・・・かと思ったがログインするとなぜかすっきりシャッキリ、眠気がなくなるのであら不思議。
そんなわけで体調・・・体調? 精神調? はばっちりなのでトーナメント二日目も頑張ろう!
と、行きたい所なんだが・・・
「だう・・・」
・・・アウルが拗ねている。昨日、アーテルだけ召喚して自分が呼ばれなかったのが不満らしい。もしくは【豪剣アディオン】や【攻鎧アルドギア】を使わなかったからか。・・・最近、この二つ以外の装備を使ってるとアウルが拗ねるんだよね。
「よしよし、良い子良い子」
そんなアウルの頭を撫でる俺・・・ではなくククリだ。彼女がアウルの頭を撫でながらあやしている。
ククリは【アークガルド】のメンバーではないのだが、時々遊びにやってくる神様である。・・・神様が遊びに来るってどういうこと? と聞きたい人もいるかもしれないが、どういうことなのかは俺が聞きたい。・・・残念ながらその答えをくれる人はいないがな。
唯一分かっているのはクランのメンバーや【眷属】たちと、もう違和感も無いくらいに一緒に遊んでいるという事くらいだ。
「大丈夫、きっと今日は出番があるよ! ね、おにいちゃん!!」
・・・ああ、あと俺のことをおにいちゃんと呼ぶことだな。いつも元気一杯で愛らしい笑顔を見せてくれるのはおにいちゃんも大変喜ばしいです、はい。・・・こういうのも妹萌えって言うのだろうか。
「ああ、そうだな」
・・・実際の所、召喚するかどうかは対戦相手次第なのだが・・・呼ばなかったらますます拗ねそうだ。今日の対戦相手、頑張ってくれ!!
「まあ、今日も食べ物一杯置いて行くからそれでも食べながら気軽に待っていてくれ」
「わーい♪」
「だう♪」
ククリは勿論のことアウルもご機嫌になった。・・・フッ、子供はちょろいな。そんな二人をやれやれと言った感じでアーテルが見ているが・・・目がちらちらと山済みされたお菓子のほうに向いている。・・・アーテルもまだまだ子供だな。
さて、ホームの様子も確認した事だし、会場の方に行くか。
他の連中はこの場にはいないが、今日は現地集合なのでその内集まるだろう。
===移動===>【人間界】トーナメント特設会場
「・・・結構朝早いのに人がいるなぁ・・・」
会場周辺は既に多くの人で賑わっていた。
皆暇なのか、と思わなくも無いがそれはそっくりそのまま俺にも跳ね返ってくるので口には出さないことにする。・・・まあ、昼夜逆転して生活している人もいるだろうし、24時間賑わっているのも悪いことじゃない・・・と思う。
「さて、まだ時間があるな。ちょっと寄り道を・・・あ」
「・・・」
その辺りをぶらぶらしようと歩き始めた矢先、一人の男と出くわした。全身真っ白男の・・・カオスだ。
「・・・」
カオスは・・・串に刺さったおでんを食ってるようだ。・・・見た目はおでんだが、俺が知ってるおでんより三倍ぐらい大きい気がするが。
「・・・」ハグハグ
・・・当のカオスは真っ直ぐ俺を見据えたまま暢気におでんを食っている。
うーむ・・・なんで俺は野郎なんぞと見詰め合わなきゃならんのだ。しかし、先に目を逸らしたらこっちが負けた気分になりそうだ。・・・ここは目力を込めて、おう、どっか行け、という視線を送るしかないな。
俺はメンチを切る不良のような心境でカオスを睨み付ける。
すると俺の目力が聞いたのかカオスが・・・なにやらごそごそしだした。
「・・・ほれ」
カオスが【収納箱】から取り出して俺に差し出したのは・・・おでんだった。
「おでんが食いたかったわけじゃねぇよ!!」
どうやら俺は不良にはなれないらしい。
・・・
「へい、らっしゃい!!」
「おっちゃん、タマゴとがんもどきをくれ」
「・・・ちくわとはんぺんを」
・・・なぜか俺とカオスは近くにあったおでん屋(ホント、なんであるんだ?)でおでんを注文していた。
さっきと言ってる事が違う?・・・しょうがないじゃん、目の前であんなに美味そうにおでん食ってる奴がいたらこっちだって食いたくなるだろ?・・・カオスの奴は終始無表情だったが。
ねじりハチマキの似合う屋台のおっちゃんが出してくれたおでんは・・・やっぱり巨大サイズだが味がしみてて美味かった。
「それで、【あア亞あア亞】のカオスさんよ」
「・・・その呼び方、やめろと言っただろう。クランの名前は【カタストロフィ】に改名した」
「・・・お前、破滅願望でもあんの?」
「むしろそれを振りまく側だな」
・・・こいつと戦った奴は破滅するってか? ・・・あぶねぇ奴。
「・・・それはそうと、何故お前とおでんを食わねばならんのだ?」
「理由はない! しいて言えば俺の前でおでんを食ってたお前が悪い・・・あ、おっちゃん、大根くれ」
「あいよ!」
やれやれと肩をすくめるカオス。・・・それはそうとこのおっちゃん、キャラになりきってるな・・・見た目といい、動きといい、味といい・・・できる。
「意味がわからん・・・ちくわぶとロールキャベツを」
あれこれ言いつつお前も頼んでるじゃないか。・・・実は一人で屋台に入るのが気まずかったというのは黙っておこう。
「そういえばカオス、本選には勝ち残ったのか?」
ただ黙って食うのもあれなので雑談程度に話しかける。
「ああ」
「・・・予選の感想は?」
「・・・正直、仕組まれた感が否めないな。少なくとも手ごたえのある奴はいなかった」
・・・こいつと戦った相手選手たちが聞いたら草葉の陰で泣き出しそうだな。まあ、こいつの戦いを見る限りずばりそのまんまなんだろうが・・・やっぱり並みの奴じゃあこいつの相手は務まらんらしい。
「そういうお前は随分目立っていたじゃないか」
・・・やっぱ目立ってたのか、俺。なぜか第一試合に3連続で選ばれたからな。・・・やっぱり仕組まれたのか?
「目立った奴なら他にもいただろう? おめーを含めて瞬殺決めてる奴らも結構いたし」
「だが、どいつもこいつも全力ではなかった。お前も含めてな」
・・・やっぱりそうか。俺が言う事じゃないがどいつもこいつも実力を隠してやがる。・・・予選での戦いは参考にはなっても当てにはならないかもな。
「・・・それにしても試合の組み合わせが運営によって決められているのなら、明らかにお前は狙い撃ちされているように見えるが・・・何をやらかしたんだ?」
「失礼な事抜かすな」
俺が何をしたっていうんだ・・・少なくとも運営に目を付けられるようなことはした覚えはないぞ・・・何もしてないよな?
「・・・お前と一緒にいた女二人が原因か?」
「・・・なに?」
何を言ってるんだ? こいつ。
・・・女二人って・・・まさか・・・
「・・・どの二人のことだ?うちのクランにいる女性は4人だぞ?」
【眷属】を入れたら6人だ。・・・ラグマリアやミコトちゃんはアンドロイドと【精霊】だけど。・・・あれ?アーテルたちモンスター組って性別ってあったっけ?
「・・・ククク、一瞬で動揺を隠したのは見事だが、今の反応・・・心当たりがあるようだな」
・・・確かにアテナとアルマは二重人格の同一人物。リアルでは肉体が一つしかなく、二つの人格が共有しているが、ゲームの中ではそれぞれの人格が別々に行動することが出来る。
もっと言えば二人ともαテスター運営・・・かどうかは分からないがこのゲームの会社の親族であることは間違いない。二重人格な事も含めて運営がマーク・・・いや、気にかけるのも分かる。
だが、そのことを俺になんの関係がある? 百歩譲ってあの二人に何らかの待遇や接触があったのならわかるが・・・俺に飛び火してくる理由は無いはずだ。
「・・・お前・・・何を知ってる?」
「知らんな。だからこうしてお前に確認している」
・・・嘘だよな。何か知っていなきゃあの二人が関係するなんて予想にならないはずだ。
「・・・その確認のために昨日から機会を伺っていたのか?」
「・・・ククク、やはり気がついていたか」
昨日からコイツがちらちらとこちらを伺っていたのは気が付いていた。他の連中は誰も気が付いていなかったみたいだが・・・だからこいつを強引におでん屋に誘ったんだが。
・・・だが、答える気はなさそうだ。
「・・・トーナメントでお前をぶっ倒したら答えるか?」
俺の言葉にカオスは・・・わずかに口角を上げた。
「・・・何の事か分からんが、敗者に選択権は無いだろうな。・・・おっさん、シュウマイとタコ焼きを持ち帰りで包んでくれ」
おいおい、何言ってんだコイツ。・・・ここはおでん屋だぞ。
「あいよ!!」
・・・あいよ?・・・おでん汁の中にシュウマイとタコ焼きが浮かんでいる、だと?
あまりの衝撃に俺が呆然としている間に、カオスは屋台のおっちゃんから物を受け取ると、金を払って早々に出て行った。
「おい!・・・ってもういねえ!!」
屋台から一歩外に出た途端にカオスの姿は消えていた。・・・あいつ、マジで転移系のスキルとか持ってんじゃないだろうな。
・・・仕方が無いな。・・・トーナメントで出くわしたらボコボコにしてやろう。
「頑張りなよ! あんちゃん!!」
屋台のおっちゃんの良い笑顔が微妙にむかついた。・・・そのシュウマイとタコ焼き、俺にもくれ。
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