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魔術師の原罪  作者: 卓麻呂


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15/20

第14章

GC320.8.25


艦橋に短い電子音が響いた。


シグが素早くコンソールへ視線を走らせる。


「ワープ反応です」


空気が、わずかに変わる。


レオンが顔を上げた。


「……何?」


「規模は単艦クラス」


ノアが補足する。


「出力パターン不安定。位置、まだ収束してません」


レオンの目が細くなる。


「出現予測地点は?」


シグが空間マップを展開する。


予測円が広く広がる。


「現在の予測だと、ここからおよそ87000キロ圏内ですね」


広い。


宇宙規模では近いが、“正確な位置”とは程遠い。


「まだ位置確定してません。ただ——」


シグが表示を切り替える。


周辺宙域に、散乱したマーカー。


「前回到着した艦の残骸がありますね」


艦橋が少し静かになる。


あの事故。


大規模調査艦隊の超長距離直接ワープ失敗。


誰も軽く扱わない。


「しかし」


シグが続ける。


「ピンポイントでそこに出現する確率は、相当低いと思います」


レオンはゆっくり頷いた。


「そうだな」


完全一致なんて、まず起きない。


だが——


「今後のワープ事故の原因にはなり得る」


レオンは表示された残骸群を見つめる。


「フェイズアンカーから10万キロ圏外までは動かしておかないとな」


「ですね」


シグが頷く。


それから、少しだけ表情を緩めた。


「それにしても、今回は何ですかね?」


自然な疑問。


沈黙が一拍落ちる。


レオンは視線をマップから外さないまま答えた。


「……第一陣の何かだろうな」


その言葉に、


ルカが小さく息を呑む。


「ということは……」


事故?


あるいは——


「まだ分からないさ」


レオンは遮るように言った。


「何しろ前例が無い超長距離ワープだからな。一艦くらい無事に着くかもしれない」


「だといいですが」


シグは呟く。


「ワープ来ます」


ルカの声が、少しだけ強張る。


艦橋の空気が静かに張り詰めた。


「座標確定。周辺に障害物無し」


シグが即座に続ける。


表示された予測宙域はほぼクリアだ。


レオンは短く頷いた。


「よし」


全員の視線が前方モニタへ向く。


暗い宇宙空間。


その一点が、


ゆっくりと歪み始める。


「……」


空間そのものが捻れるように揺らぎ、


淡い光が広がっていく。


円ではない。


最初は不規則。


不安定に脈動しながら、徐々に収束していく。


「……」


誰も喋らない。


ただ、見ている。


歪みは次第に滑らかな球形へ近づいていった。


ワープ終端。


安定化プロセス。


シグがモニタを確認する。


「ワープ終端形状に異常は見られませんね」


声が少しだけ明るい。


前回とは違う。


少なくとも、今のところは。


「……お?」


マルコが身を乗り出す。


「これ、もしかしてイケてるやつじゃないですか?」


半分冗談みたいな口調。


でも、


艦橋の何人かが少しだけ表情を緩める。


ノアも小さく頷いた。


「期待できそうですね」


崩壊兆候なし。

位相乱れも小さい。


データだけ見れば、かなり良い。


「……」


レオンは黙ったまま歪みを見つめている。


何しろ公式記録上成功前例のない超長距離ワープなのだ。レオン達だけが知る唯一の成功例として、マナドライブ製造設備だけが無傷で到着している。


最後まで分からない。


だが——


少なくとも今、


あの時とは違うような予感はある。


球形へ収束した歪みの中心で、


何かが、


ゆっくり姿を現そうとしていた。


「……出た」


ノアが低く呟く。


歪曲空間の中心から、


ゆっくりと艦影が押し出されてくる。


崩壊はしていない。


少なくとも、まだ。


「マナの乱れ、ほとんどありませんね」


シグがモニタを確認する。


位相も安定。


エネルギー流出も微小。


異常なほど綺麗だ。


「光学画像、出します」


ルカが表示を切り替える。


メインモニタに、出現した艦の姿が映し出された。


「……」


誰も、すぐには反応しなかった。


「……なんだ、あれは」


最初に声を出したのはシグだった。


映っているのは、


確かにヴィジラント級軍艦である。


見間違えようがない。


だが——


「……」


艦の半分が、無い。


爆発したわけじゃない。


潰れたわけでもない。


“消えている”。


艦体中央から、


まるで精密工具で切断されたみたいに、


綺麗に失われていた。


断面が露出している。


装甲。

隔壁。

内部構造。


全部むき出しのまま。


まるで、


巨大な切断標本。


「……」


艦橋が静まり返る。


誰も目を離せない。


異様だった。


破壊された艦は見慣れている。


でも、これは違う。


尋常じゃない。


「……こんな事って」


マルコが呟く。


自信のない声。


レオンは答えない。


ただ、じっと艦影を見ている。


「……」


艦の断面には、焦げ跡すら少ない。


溶断でもない。


圧壊でもない。


“そこだけ存在しなくなった”みたいだった。


「……こんなの」


ルカの声が掠れる。


見たことがない。


誰も。


「……」


静寂。


その不気味な艦だけが、


ゆっくりと慣性で漂っていた。


GC320.8.28


プラントのラウンジは静かだった。


循環音だけが、かすかに響いている。


周囲は星で埋め尽くされている。まるで宇宙の中に浮かんでいるようだった。

ラウンジの映像投射モードの一つで、外の環境を通常視覚状態で投射する。


セレナはこのモードが好きだった。

セレナはカップを片手に、ぼんやり星を眺めていた。



「……またワープ事故よ」


無表情で呟く。


ミレイは向かい側で、小さく肩をすくめた。


「聞きました。でも、あれ第一陣の艦だろうって」


「そうだけど」


セレナは視線を戻さない。


「超長距離ワープの信頼性、いよいよ怪しいってことよ」


どうやったらあんな状態になるのか。


半分だけになった軍艦。


「……」


ミレイは少し俯く。


「私は」


小さく言う。


「アニマに、人類が触れてほしくないです」


その声は静かだった。


でも、迷いはない。


「いっそフェイズアンカー停止させて、撤収するのが最善だと思ってます」


セレナが苦笑する。


「その気持ちは分かるわ」


本当に。


この星系は脆い。


人類の、飽くなき欲望の前では特に。


「でもね」


セレナはカップをテーブルに置く。


小さく音が鳴る。


「それやったら、私達終わりよ」


ミレイは黙る。


言葉の意味は分かっている。


火星は、この星系に莫大な資源と人員を投入し、すでに多大な損害を被っている。そしてこれからも損害を見越した開発が行われていくことだろう。

茨の道を歩んでいるのである。


「フェイズアンカーの停止だけは絶対認められないわよ」


セレナは淡々と言う。


「そんなことしたら私達の命がないわ」


「……」


ミレイは視線を落とした。


正論だった。


もう後戻りできない。


「だから怖いのよ」


セレナは小さく息を吐く。


「止まれない状態って」


「……」


しばらく沈黙。


「……でも」


ミレイがぽつりと呟く。


「このまま続けたら、もっと酷いことになる気がします」


セレナはすぐには答えなかった。


星が輝く宇宙を見つめる。


「……かもね」


短く返す。


否定はできなかった。


GC320.8.29


リナは端末を閉じたまま、しばらく動かなかった。


頭の中では、先日到着した艦影が消えない。


半分だけになったヴィジラント級。


超長距離直接ワープの成功率は相当低いと言ってもいい。


「……最悪」


小さく呟く。


現状、無人艦による先行調査がスタートしたばかりなのだ。その無人艦もいつ到達するか不明であり、まともに到着するかも未知数である。


今回のワープで無事に到着したものはマナドライブ製造設備のみだ。


「……慎重になり過ぎても困るのよね」


その考えが、じわじわ重くなる。


今まで送った情報は、


星系の情報

居住可能惑星

フェイズアンカー


居住可能惑星という極めて魅力的な情報がある。

地球側は知りたいはずである。ワープのリスクを。

そして火星よりも大胆に動いてもらうのが理想的だ。


少なくともリナにとっては


「……火星と同じ対応だと困るのよね」


超長距離直接ワープのリスク。


こんなの見せられたら、


地球も結局“慎重策”に寄る可能性がある。


コツコツ航路を作る。


段階的進出。


火星との競争になったら多少は早くなるかもしれないけど。


「……それじゃ遅い」


思わず強く言ってしまう。


結局、数十年後になるかもしれない。


そんなの——


「待てるわけないでしょ」


吐き捨てる。


部屋が静かになる。


「……」


分かってる。


焦ってる。


かなり。


「……」


視線が端末へ落ちる。


地球側へ送る次の情報。


その中に、


ワープ関連をどう混ぜるか。


「……」


超長距離直接ワープの危険性についてはワープ航法実用初期から多くの科学者が警鐘を鳴らしていた。

記録にはほとんど残っていないが、実証試験も行ったという話もある。

 そもそも人類の勢力圏はコツコツとフェイズアンカーを設置しながら広げてきたのだ。だからこそ超長距離直接ワープのようなリスクを積極的に犯すことはしてこなかった。ワープ技術が成熟しつつある現在であっても前例がほとんど無いのは当然だった。


ワープの成否は是非とも知りたい重要情報のはずである。


でも——


「……そのまま送ったら、引くよね」


ほぼ確信に近い。


少なくとも、強行派は弱まる。


「……」


指先が止まる。


じゃあ、どうする。


隠す?


いや、それも違う。


後で発覚したら信用を失う。


「……なら」


少しだけ、目が細くなる。


“調整”する。


完全な捏造じゃない。


事実を、寄せる。


危険はある。


でも、


「……制御可能」


そういう方向に。


「……」


自分で考えて、


少しだけ嫌な顔になる。


報告改竄。


完全にアウト。


「……」


でも、


既にリークしている時点で、


今さらだった。


「……難しいけど」


ぽつり。


ワープ事故の情報は重い。


雑に触れば、不自然になる。


専門家も多い。


だからこそ、


「……出来ないわけじゃない」


言葉が静かに落ちる。


例えば、


事故原因を“運用上の問題”に寄せる。


フェイズアンカーとの同期不良。


航路設定。


位相乱れ。


「……長距離ワープそのものが致命的、とは言い切れない」


そう読める形にする。


嘘ではない。


少なくとも、完全な嘘じゃない。


「……」


沈黙。


それから、


リナはゆっくり息を吐く。


「……ほんと、何やってんだろ」


苦笑する。


でも、


止まる気はもう無かった。


GC320.9.3


リナは送信前のデータを見直していた。


いつもの定時報告。


そこに、


超長距離ワープ事故に関する解析情報を混ぜる。


「……」


指先でスクロールする。


位相データ。

ワープ終端ログ。

フェイズアンカー同期記録。


その中に、


“解釈”を滑り込ませる。


超長距離ワープ自体が致命的とは断定できない。


運用次第では改善可能。


そう読める形に。


「……」


慎重に作った。


少なくとも、そう思う。


問題は——量だった。


「……少し多いかな」


小さく呟く。


事故報告はどうしても情報量が増える。


しかも今回は、


“改竄”までしているのだ。


あまり細切れにし過ぎて内容について不自然な疑いを持たれたくない。

少なくともリナはそう考えていた。


「……」


普通なら、もう少し分割する。


それが安全。


分かってる。


「……でも」


ここは重要なポイントなのよ。


今は、少しでも早く地球側を動かしたい。


挑戦の前にハイリスクだと分かったら。


慎重論が出てくるだろう。


「まずは勢いでも動いてもらわないと」


どうせ地球側も最初は失敗する。でも一度動いたらもう止まれない。それくらいこの星系には魅力があるから。


「……」


端末の表示を見る。


増加量は僅か。


本当に少し。


誤差と言えば、誤差。


「……これくらいなら」


口に出す。


まるで、自分に許可を出すみたいに。


「大丈夫よね」


沈黙。


ほんの一瞬だけ、


“やめた方がいい”という感覚がよぎる。


だが——


「……」


リナは視線を逸らした。


データ量を少し調整する。


偽装ノイズを増やす。


周期を崩す。


それでも、


完全には隠しきれない。


いつもより、


ほんの少しだけ重い。


「……」


大丈夫、


そう判断した。


「……大丈夫」


今度は小さく呟いてみる。


言い聞かせるみたいに。


そして、


送信キューへ登録する。


画面が静かに切り替わる。


何も起きない。


警告も出ない。


「……」


それなのに、


胸の奥だけが、


妙にざわついていた。


GC320.9.4


メイは頬杖をついたまま、ログを眺めていた。


目は笑っている。


完全に楽しんでいた。


「……ん?」


指が止まる。


ほんの一瞬。


「このアルゴリズムの署名……」


画面を拡大する。


暗号化パターン。

ノイズの混ぜ方。

周期の揺らし。


「……なんか見たことある気がする」


小さく首を傾げる。


既視感。


気のせいかもしれない程度の。


「……」


数秒後、


メイの目が細くなる。


「あ、そうそう。これこれ」


ログを呼び戻す。


一昨日のデータ。


並べる。


「同じ文字列あるじゃん」


口元がゆっくり上がる。


普通なら、あり得ない。


自動生成なら毎回揺らぐ。


特にこの手の偽装は、


ランダム性が生命線。


「……偶然?」


そう呟きながら、


声はもう半分笑っていた。


「かもしれないけどぉ……違う気がするな〜」


指先が軽く踊る。


比較。

照合。

再構築。


「……ふふ」


出てくる。


癖が。


「誰かさん、焦ってコピペしちゃったのかな?」


少し楽しそうに。


「高度なテクニック使うくせに、肝心なところ雑なんだよね」


そこが逆に人間臭い。


完璧じゃない。


だから見える。


「……」


メイは椅子をくるりと回した。


天井を見上げる。


「これは確実に誰かやってるね」


もう疑いじゃない。


確信だった。


問題は、


誰か。


「……誰かなぁ?」


クルーの顔が頭をよぎる。


OEDの監視プログラムじゃない・・・。


ぜったい、


人間。


少し焦ってる感じ。


「……」


メイの笑みが深くなる。


面白い。


実に面白い。


「色々仕掛けちゃうよ」


その声は軽い。


まるでゲームを始めるみたいに。


次の瞬間、


メイの指が動き始める。


軽快だった。


監査閾値の変更。

ダミーログ。

遅延監視。

偽の空白領域。


見えない罠を、


システムの奥へ静かに埋め込んでいく。


「……さぁて」


メイはペロリと舌を出す。


「どんな顔するんだろ」



メイは端末に頬杖をつきながら、ログの海を泳いでいた。


楽しそうだった。


完全に。


「……誰と話してるのかな?」


独り言みたいに呟く。


通信の痕跡は薄い。


かなり丁寧に隠されている。


でも、


「誰かが外に向けて投げてるのは確実なんだよね」


「……もしかしてOED?」


その可能性も考える。ヴァルグレン長官から内部情報を送るよう指示される。


可能性はある。


あるいは、


地球統合政府?


「うーん……ちょっと地球は困るんだよね」


メイは天井を見上げる。


ただ、妙な違和感が残る。


OEDにしては、


ここまで気合い入れて隠す必要あるかな?

なんか違う気がするんだよね。


「……」


キーを軽快に叩く。


ログを展開。


比較。


再構築。


ノイズ領域を剥がしていく。


「さすがに何送ってるかまでは分かんないんだよねぇ」


そこは慎重。


データは細切れ。


しかも断片化されている。


完全復元には至らない。


「でも」


メイの目が細くなる。


「ココ」


一つの領域を拡大する。


「この暗号化コピペのやつ」


同じ癖。


同じパターン。


そして——


「これだけ少し重いんだよね」


ほんの僅か。


でも確かに。


データ量が増えている。


「……何混ぜたの?」


笑みが深くなる。


指がさらに速く動く。


キャッシュ断片。


メモリ残渣。


テンポラリ。


完全な復元じゃない。


でも、


“痕跡”は残る。


「……ん?」


メイの動きが止まる。


画面を見つめる。


数秒。


それから、


ふっと笑った。


「何これ」


通常なら、


ランダム生成されるはずの文字列。


意味なんて持たない。


なのに。


「……“ワープ事故”?」


ノイズの中に、


文字列が混じっている。


ほんの断片。偶然なんてあり得ないでしょ。


十分だった。


「……ほんと雑なんだから」


メイは椅子に深く座り直す。


「なるほどねぇ」


ワープ事故関連。


しかも、


わざわざ隠して送っている。

ワープ事故関連などはOEDが必要な情報だと思わない。すでに詳細を報告済みである。


「……火星じゃないね」


その目はもう、


完全に獲物を追う目だった。


GC320.9.5

 

プラント管制室。


セレナは端末を操作しながら、メイの話を半分聞き流していた。


「……で?」


メイは椅子を逆向きに跨いで座っている。


完全にリラックスした姿勢。


「誰かが情報リークしてるよ」


セレナの手が止まる。


「……は?」


メイは軽く肩をすくめた。


「リーク先はまだ分かんない。でも、たぶん火星じゃないよ」


空気が少し変わる。


セレナはゆっくりメイを見る。


「どういう事?」


「暇だから色々調べてたんだけど」


メイは悪びれもなく言う。


「たぶん間違いないと思う」


「……」


セレナは眉を寄せる。


メイの能力には謎が多い。高度なプログラム解析スキルも持っている。


「あいつは元ハッカーだ。間違いない」


オスカーは言っていた。冗談半分だったが。 


「地球?」


その言葉に、


メイは少しだけ笑った。


「そんな気がする」


断定ではない。


でも、かなり寄っている。


「ワープの報告っぽいのも入ってたし」


メイは端末を軽く叩く。


「火星相手なら、そんなの今さら送る必要ないでしょ」


「……」


セレナは黙る。


確かに。


火星本星は、事故情報もワープログも共有済みのはず。


わざわざ隠して送る意味がない。


「……どの程度?」


低い声で聞く。


メイは少し考える。


「まだ断片しか拾えてない」


「でも、継続してる」


「しかも結構頭いい人だね」


少し楽しそうに言う。


「隠し方かなり上手いよ」


そこで一拍置く。


「ただ、焦ってる感じ」


セレナの視線が鋭くなる。


「……焦ってる?」


「うん」


メイは頬杖をつく。


「雑になる瞬間あるんだよね」


いつもは綺麗。


慎重。


でも、


急いだ時だけ小さなミスをする。


「……」


セレナは視線を落とす。


艦内の人間が頭をよぎる。


誰が。


何のために。


「目的は?」


「それは副艦長が調べてよ。私はそういうのは苦手だもん」


メイは素直に首を振る。


「でも」


少しだけ笑う。


「地球に何か急いで伝えたいっぽい」


その言葉が、


妙に重く落ちた。


「……」


セレナはしばらく黙ったまま、


静かに息を吐く。


「……艦長には?」


「まだ言ってない」


メイは即答する。


「今初めて話したんだよ。なんたって確信出たのが昨日の事だからね」


少し楽しそうだった。


その顔を見て、


セレナは少しだけ嫌な予感を覚える。


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