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超魔法少女グレンオー  作者: 窓井来足
第六章
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第六章「禁断のベルトのゆくえ その1」

さて、ここで。ついに、闇の魔法少女が登場!!


……いや、普通に。ここまでに一回登場しているのですが。

いつ登場したかは、まあ読めばわかるかと。

 【第六章「禁断のベルトのゆくえ その1」】


「たまちゃん、あんた魔法少女でしょ?」


 黄昏時。

 世界が紅く染まりゆく中で、桜は髙高(たかこう)の屋上に呼び出した魂輝に、いきなりそう告げる。


 ☆ ☆ ☆


 前回、二人で一人な合体怪人を倒した桜と(らん)はその後。

 自分達が探している闇の魔法少女は魂輝(たまき)であるとして動くことを決め。

 文芸部長である嵐が、部員である魂輝にSNSで「最近部活を休みがちなので心配している。悩みがあるなら話を聞きたい」という内容を送ったところ。

 魂輝からは「悩みどころか、実は面白いネタを手に入れたんですよ。まあ、先輩達はとっくに知っていると思うんですけれど」と返事が来た。

 これを受けて、桜と嵐は「魂輝もこちらが彼女の正体にうすうす気が付いている事を察したのでは?」と推測。

 そして、その面白いネタの話がしたいとして、翌日に放課後の屋上で会うことにしたのだが……


 ☆ ☆ ☆


 話し合いの開始早々、嵐が事前に交渉は自分に任せるようには言っていたにもかかわらず、いつものように桜が切り出したのであった。

 とはいえ勿論。

 嵐も今までの経験から桜が相手を呼び出してすぐに、そういった率直な話を出だすことも当然予想はしていた。

 ので、別段嵐としても計画が狂ったという事はない。

 強いていうならば文芸部部長として、部員に威厳を示す場面が奪われたという問題はあるが。

 桜は桜で、文芸部OGにして名誉部員なのである。

 よって、ここは現部長が名誉部員に、その肩書にふさわしい名誉ある仕事を譲ったという事にしよう。

 と、嵐はとりあえず自分に言い聞かせたので、そういう意味でも特に問題はなかったりする。

 さて。そういう事情はともかく。

 問題は、そう問われた魂輝である。

 今までならば。

 こう言う展開の場合、問われた相手は、大体動揺していた……のだが。

 今回。

 魂輝は。

 口元に笑みを浮かべながら。


「なんだぁ。もうその件ですか? もう少し色々話たかったのになぁ……あ、初めまして桜先輩、噂は聞いていましたが、実際にお会いできて光栄です」


 などと、特に慌てる様子もなく、淡々と口にする。

 今まで桜から魔法少女か確認された二人は単に恥ずかしいという事だけでも動揺していたのに、魂輝は悪事が暴かれたというのに堂々とした態度。

 これは、諦めたことによる開き直りというものか。

 それとも、このまま魔法少女二人を返り討ちにするだけの自信があるのか。

 桜と魂輝の様子を傍で見ている嵐はそう考える。

 そして、また。

 魂輝の所属する文芸部の部長は現在、あくまで自分である。

 いくら名誉部員である桜に話を切り出すという仕事は譲ったとはいえ、部員が部活を休んで悪事を働いていたことに対しての対応を、ただただ桜一人に任せるわけにはいかない.

 とも考えたので、嵐は、


「君は部活動を嘘をついて休み、怪人なんて生み出して一体何を企てているのかね?」


 と、魂輝に問う。

 勿論、先の桜の質問に対しての返事で答えた魔法少女というのが全く別の件。

 例えば魂輝の趣味が魔法少女のコスプレだったとか。

 ネットでバーチャル魔法少女をしているとか。

 更に考えれば桜達とは全く違う形で本物の魔法少女にスカウトされて活動しているとか。

 そういう意味であり、怪人発生に関わっている魔法少女ではない可能性もまだゼロではない。

 だが、もし仮にそういう意味だった場合は、怪人を生み出すというよくわからない話には、よくわからないといった対応をするはず。

 その場合はこちらも人違いだったと説明をし、怪人の事はネットゲームの話だとでもして、話を切り替えればいいのである。

 そして、嵐としては。

 部活を休みがちになっているとはいえ、一応は部員である魂輝が敵の魔法少女であっては欲しくはないため、そういった別の意味で魔法少女だというような発言をしたという方がありがたかった。

 のだが、魂輝は、


「えー。だってせっかくカッコいい怪人を自分で作れるんですよ? そんな力手に入れたら、試したくなるじゃないですかぁ?」


 と、明らかに桜達が探している魔法少女であるとしか思えないような対応をした。

 しかもその様子は、まるで新しい玩具を買ったからちょっと部活をさぼってましたぐらいの感じである。

 これは。

 彼女は単に自分の楽しみのためだけに怪人を生み出すクレイジーな奴なのか。

 それとも、口ではそう言っているだけで本当はもっと邪悪な計画があるのか。

 どちらにしてもここで止めなければ被害が広がるだけだ。

 そう思い、桜、嵐双方、万が一の為にそれぞれ変身ベルトを装着。

 だが、それとほぼ同時に聞きなれた音声で「Summon  Jewel!!」の声が。

 更に、その直後、魂輝の姿も消えていた。

 そう、魂輝は魂輝でベルトを装着し、虹華夢幻郷(こうかむげんきょう)に怪人を召喚、自身もジュエルの持つ能力でそこに向かったのだ。

 さて、これに対して。

〈サモンジュエル〉を所有していない桜たちは〈サモン〉という名称からそれが怪人召喚のジュエルと推測はできても、本来なら何故突然魂輝が消えたかは理解できない。

 はずなのだが。

 流石にこの展開だと、異世界で怪人を引き連れた闇の魔法少女と戦うのだろうというのは、特撮ヒーローあるいはアニメなどのお約束として予測がついたので。

 桜は、


「よし、最終決戦だ!! 魔導填身(まどうてんしん)!!」


 とグレンオーに変身して、敵の待つ虹華夢幻郷のバトルフィールドに飛び込んでいく。

 嵐もまた何も迷わずに、


「現部長として、部員の面倒は見なければな……魔導填身!!」


 とストームに変身して後を追ったのであった。


 ☆ ☆ ☆


 さて。

 敵を追って、二人がたどり着いたのは。

 以前先輩であるシンと修行をしたあの採石場だった。

 桜としては最終決戦なので、いかにもなアジトっぽいところでまず戦った後、場面の切り替えでこういう採石場に移動する展開を望んでいたので、少し残念だった。

 が、よく考えたら、魂輝はあくまで桜たちの世界に住んでいるので、虹華夢幻郷にアジトなどを持っている訳がない。

 仮にこっちの世界で暗躍していたとしても、この短期間ではアジトを所有するだけの時間はないと気がつき、そういう展開にならないのは仕方がないと諦め。

 とりあえず目の前の状況を確認する。

 そこには。

 いかにも悪のボスが座る玉座……とは、お世辞にも言いにくいパイプ椅子――多分、こうなる事を予測して、文芸部の部室から事前に持ってきたやつ――に、脚を組んで座った、どう見ても特撮ヒーロー風な、この作品ではおなじみの雰囲気な魔法少女と。

 彼女を守護するかのように傍に立つ、桜たちがかつて倒した六人の怪人が存在していた。

 ちなみに。

 此処までにこの小説で登場した怪人以外に、本来ならば嵐が一人で活動中に倒したネガティヴハートなど。

 小説では登場していない怪人もいるのだが。

 それらが召喚されていないのは偶然である。

 決して、再生怪人集合の時に、読者の知らないヤツがいたらおかしいとか、そういう筆者(わたし)の都合ではない。


「さて、先輩方……いや、この場合、私の方が魔法少女としては先輩だからその呼び方はおかしいのでしょうかね? ここからが私のステージです」


 緑と紫の鎧の魔法少女はそういいながらパイプ椅子から立ち上がり。

 手に持った、自身の足元から顎位の長さのあるロッドをグレンオーとストームに向け、


「さあ、私の可愛い(しもべ)達よ、お行きなさい!!」


 と、周囲にいた六人の怪人――鍵とシャッターの怪人、自動販売機の怪人、ギャルゲーの怪人、カニの怪人、サラリーマン風の怪人、カップ麺の怪人――に命令する。

 ちなみに。

 前回の半分こ怪人は「言いたかないが 連チャンはキツい」という理由で今回は登場していない。

 が、それはあくまで魂輝の趣味であって、別に何かの事情で召喚しなかった訳ではない。

 まあ、実は召喚したくでもできないのだが、魂輝はそれをまだ知らないのである。

 さて、それはともかく。


「何が『私のステージ』だ!! むしろこっちのショータイムだ!!」


 とよくわからないところに言葉を返しつつ、ファイティングポーズをとるグレンオー。

 一方、ストームは、


「くっ、しかしこの数。流石に同時に六体は……」


 と不安を口にする。

 実のところ……というよりここまで読んだ読者ならわかるように、魔法少女の戦闘力はネガティヴハートより圧倒的に高い。

 何故なら、彼女たちは本来ならあくまで「自然発生する怪人を駆除する」ための存在であり。

 スポーツの試合として戦っている訳でもなければ、敵の方に「魔法少女に勝つために自身を強化する」という考えもないからである。

 例えるならば、里に降りてきた熊を駆除する人が熊と互角の戦いをしては意味がなく、装備や人数で一方的に処理できるようにするのは当たり前。

 また、熊はあくまで人間の里に降りてしまったから人間と敵対することもあるだけで、最初から人間を狙っている訳ではないから、対人用の用意など当然しない……みたいな話になる。

 のだが、今回のように敵が「誰かの指揮の元に集まって、しかも魔法少女を狙って行動」の場合、その常識が通用しない可能性があるのだ。

 なのでストームは、果たして六体をどう相手するかを考え、そしてこの採石場のような平坦な場所では地形を利用した戦いは難しいと判断し。

 最終的に前回登場した合体フォームを使用することにした。

 一方のグレンオーは「どうせ再生怪人、弱いでしょ」となめてはいたものの、前回、自分が合体フォームに変身できなかったので、ここでまだ使っていないグレンストームXに変身したいという気持ちがあった。

 ストームとしては現状は危機なので、本当ならば既に性能が把握できているグレンストームWの方を使用したいのだが、ここでまたWだと先輩が納得しないだろうという事も理解している。

 ので、


「先輩!! 今こそグレンストームXを使う時だ!!」


 とグレンオーに指示して自身のバックルをグレンストームX用に組み換える。

 そして、そしてそれを受けてグレンオーも、


「よっしゃあ!! 行くぜグレンストォームウゥゥゥ・エーックス!!」


 と言いながら同じように、ただしストームとは逆のデザインになるように自身のバックルを組み替え、組み替え終わるが早いか、


「超・魔導合体!(まどうがったい)!」


 と、前回ストームがその場で決めた強化フォームへの合体変身時のセリフを高々に叫んだ。

 ちなみに、グレンオー的にはもっと別の変身時の掛け声も考えたりしたのだが。

 一度決めた掛け声を途中で変えるのは彼女の美意識が納得しなかったので、前回の掛け声を本採用したのである。

 この辺り、桜が勝手に名乗った〈超魔法少女〉が世間に知られてしまったので採用したオウリュウとある意味では似たこだわりなのかもしれない。

 が、それはともかく。

 グレンオー、ストーム双方が「合体フォームそれもグレンストームXを使用したい」と思った状態で、バックルを組み換え、操作したため。

 組み替えられた二つのバックルから、ほぼ同時に「SUPER Change GUREN―STORM X!!」という声が。

 それとともに、まずストームの身体が発光し、亜空間に転送され。

 そしてストームのつけていたベルトのバックルはグレンオーの元に転送、彼女のバックルと合体してXの字を作る。

 するとグレンオーの姿もまた変化し……背中にXの字型のウィングを持ったグレンストームXになったのだった。


「おお! これが合体強化フォーム!! 前回は見ていただけだから早く変身したかったんだ」


 と言いながら自分の腕や足を確認するグレンオー。

 とはいえ、最初に彼女がグレンオーに変身した時と違い、ここには鏡のように使える、窓ガラスや水面などがないため、彼女自身はその全身を確かめることができない。

 なので、グレンオーは「そうだ、自撮りして確認」と判断したのだが。

 直後に「しかし、変身後用のスマホみたいなモジュールあったかな? あれば前回みたいに連絡が取れなくなって困るとか、無いはずだし……」と悩み始めたのだった。

 すると、そんな彼女の背後から。


「先輩!! そういうのは後にしてくれたまえ!!」


 とストームの声が。

 グレンオーが振り返ると、そこには、SDのフィギュアみたいな見た目になったストームの姿があった。

 グレンオーはそんなストームの容姿を見て「前回、ストームも言っていたけど、確かにかわいい見た目だよなぁ。こんな感じのフィギュアとか、作れないかな?」と思ったが。

 それを言ったらストームに戦いに集中するように更に注意されるだろうから、


「あ、そうだった。敵に囲まれてピンチなんだった」


 と、意識を戦闘に戻す。

 ちなみに。

 敵の怪人六人がこの場面で襲ってこなかったのは。

 彼らを操っている魂輝もまた特撮のオタクであり、こういう隙をついて袋叩きにするのは〈作品〉としてみた場合に美学に反すると判断したからである。

 仮に、ここにいた六人の怪人が、特に誰かの意思に従っている訳ではなく、自身の感情に従って暴れる普段のネガティヴハートだったならば、むしろグレンオーはピンチだったかもしれない。

 指揮官がいたせいで、むしろ超魔法少女側が有利になるというのは、先に言った「指揮に従って襲ってきたら不利」と矛盾する展開だが。

 まあ、理論と現実が矛盾することはたびたび起こることだ。気にしない方がいいだろう。

 さて、話を戻すと。

 こうしてグレンオーはグレンストームXとなり、さらに敵に向かってファイティングポーズをとった。

 ので、戦いが開始される……と、思ったが。


「ちょっと、先輩方。そんなグダグダな状態で最終決戦とか、ふざけているんですかぁ? もう、仕切り直しですよう」


 と言い出したのは魂輝である。

 それを聞いて。


「仕切り直し?」


 と首をかしげるグレンオーと。


「まさか、何か策が……いや、一旦逃げる気か?」


 と警戒するストーム。

 だが、魂輝は、ネガティヴハートに。


「はい、みんなー。元の位置に戻ってー」


と指示し、そしてさらにグレンオーにも、


「ほら、先輩も元の位置に戻って。あ、変身はそのままでいいですから」


 と指示する。


「え? あ、ああうん……」


 急な、そしてやや強引な指示に、罠という可能性を疑うことを忘れて、従うグレンオー。

 そして、指示されたところにグレンオーが戻り、ファイティングポーズを取り直すと。

 一旦わざわざパイプ椅子に腰かけてから、ゆっくりと立ち上がり、


「フフフフフフフ……ハーッハッハッハッ!! 愚かな超魔法少女、グレンオーよ!! 例え更なる強き力を身に纏ったといえど、この私、闇魔法少女ガイストに勝てると思っているのかね?」


 などと力強く言い放ってから、怪人たちに、


「さあ、私の可愛い僕達よ、お行きなさい!!」


 と命令し、これまたさっきと同じように手にしたロッドでグレンオーに向ける。

 これに対して、


「勝つ! そのために私たち超魔法少女は存在する」


 などとどこかの少年漫画のキャラクターの台詞を真似して言った、グレンオーは。

 まず最初に接近してきたシャッターと自販機二人の怪人を、


「だぁーだだだ、だだだっだだっアァァァ!!」


 と叫びながら、超高速の拳の連撃(ラッシュ)で撃破。さらに後ろからギャルゲーとカニ、さらにサラリーマン怪人三人も、


「ウリヤァァァァ――ッ!! グレンオストーム・スラッ――シュ!!」


 とソード・グレンマルによる斬撃を叩き込んで倒す。

 そして、残った一人、カップ麺怪人も、


「テリャアーッ!! グレンオストーム・スピンキーック!!」


 と適当に叫びながら叩き込んだ右の中段回し蹴りで、あっさり爆発四散させてしまった。

 魂輝……いや、本人が自称するところによればガイストが、怪人たちに指示を出してから、最後の一人を倒すまで、わずか三十秒未満のことであった。


「何故だ、私の復元怪人は完璧だったはずなのに……」


 あまりにあっさり、怪人軍団が倒されたので、困惑するガイスト。

 それに対して、


「確かに、お前の復元怪人は完璧さ。でも、超魔法少女は進化してるん……」


 と言おうとしたグレンオーだったが。

 その前に、


「いや、完璧じゃないからね。復元怪人」


 という指摘の声が。

 その声の方に振り向く二人。

 するとそこにはオウリュウとフーコがいた。


「完璧じゃない? どういうこと?」


 先のオウリュウの言葉に、そう質問するグレンオー。

 それに対して「吾輩が答えよう」と、対応したフーコは続けて、


「そもそも、吾輩たちが何故、魔法少女の変身システムにネガティヴハートを生成するシステムを加えたかといえば、本来なら自然発生する怪人を安全なところに召喚し、被害を出さずに倒すためである。だから、怪人召喚は無限に行えるわけではなく、あくまで誰かのネガティヴな感情によるエネルギーを基にしてしかできない」


 と今更のように、失われていたベルトで怪人召喚ができる理由を明かす。

 というよりこれは、ストームは知っていたのだが、グレンオーは別段疑問に抱かず、聞きもしなかったので知らなかった情報の一つで。

 小説内で触れられなかったのも、あくまでこの小説がグレンオーがメインの話だからである。

 が、それはさておき。


「で、今まではネガティヴな感情を見つけたら、それを利用してガイストは怪人を生み出していたようだが。この採石場は現在使われていないので、あまり人が来ない。つまりネガティヴな感情が少ない場所なので、怪人の基となる材料が少ない。だから、ここで召喚しても、大して強くない怪人しか生まれない。おそらく――」


 と、説明を続けるフーコ。

 だが、その時。


「こうなったら、私自身がっ!!」


 と話を遮りながら、ガイストがグレンオーに襲い掛かる。

 が。


「えい」


 という軽い声とともに放った、グレンオーの拳を一発受けて、ガイストは、


「うげっ」


 と声を上げて、その場に倒れてしまったのだった。


「……え? あたしそんなに強く殴ってない。っていうか、仮にも魔法少女なんだから、あれぐらいなら耐えられるはずじゃあ……」


 それに驚いたグレンオー。

 彼女としては、後輩を言葉で説教して改心させるヒーローでありたかったので。

 最終的に殴り倒したというのはパワー馬鹿というか、怪力ゴリラみたいな印象が残りそうで嫌なのだ。

 が、この様子を見たオウリュウは、


「大丈夫だ桜君。単に疲れて気を失っただけだ」


 と説明。

 冷静に考えれば気を失った時点で大丈夫でも何でもないが。

 それを聞いたグレンオーはヒーローものや異能力バトルもの基準で大丈夫なのだろうと解釈し、納得する。

 一方、この様子を、さっきから黙って見ていたストームは、


「たまちゃん……じゃあなくて、ガイストは何故気絶したのかね? それに怪人が大して強くなかったとはいえ実際に召喚はできていたんじゃあ……」


 と質問を二つした。

 この質問、前者は勿論、部活の後輩を心配してのものだが。

 後者は、先ほどストームがグレンストームを使うと判断したのは「通常の強さの怪人が六体ならピンチ」だと思ったからであり。

 ネガティヴハートは負の感情を材料に生まれると知っていたストームは「怪人が召喚されている以上、強さも普段のものだろう」と判断したからなので、弱い怪人が召喚された事が気になっており。

 おそらくガイストが気絶したのは、さっきの怪人が弱かったからというのに関連があるのだろうと判断したからであった。

 さて、この質問に。


「気絶したのは精神エネルギーつまり、魔力切れだよ。しばらく寝れば大丈夫」


 と答えたのはオウリュウ。

 そして、


「さっきの怪人は、厳密にはネガティヴハートではなく、一度生み出した怪人のデータを基に、彼女の魔力を使って作ったものだったのだろう」


 と説明したのはフーコである。

 これを聞いたグレンオーは、


「そうか。つまりあの怪人はネガティヴハートみたいにネガティブな感情で作られたものではなくて、あたしたちの装備みたいに魔力を使い作り出したものってことか」


 と納得。

 ストームも。


「本来、人間サイズのものを魔力で六体作るのは困難。その上、それに意思を持たせて行動させるのはより負担がかかるはず。それで一体一体は見た目は怪人と同じでも、実際には中身がなかったということだな」


 とすぐに理解した。

 ちなみに、更に補足すると。

 グレンオーやストームのアーマーや武器、バイクは単に魔力だけで構成されているのではなく。

 使用者の魔力を媒体に、亜空間にある材料を組み合わせて生成している事や。

 今回の怪人がやけにおとなしかったのは、思考は可能でも、複雑な会話を理解し、対応できるだけの知能はなかったからというのもあるし。

 先に前回登場した半分こ怪人について「実は召喚したくでもできないのだが、魂輝はそれをまだ知らない」と書いたのも。

 魂輝の残りの魔力と、亜空間にある材料で召喚できる怪人は六体が限界だからというのがあったりもしたのだった。

 と、まあ。そんな事情はともかく。

 こうして、グレンオー達は無事に闇の魔法少女を倒し、ベルトを取り返したのだった。

 が、まだいくつか肝心なことが抜け落ちており……。


(続く)

さて、とりあえず敵のボスを倒したわけですが。

本当に彼女を倒しただけで話が終わるのか。


もちろん終わるわけがなく……(その2)へ続く!!

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