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超魔法少女グレンオー  作者: 窓井来足
第五章
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15/19

第五章「超魔法少女は二人で一人? その3」

前回のラストで。

合体フォームには無事に変身できたとありました。


が、どうやら。

あくまで無事にできたのは「変身」についてだったようで……。

 【第五章「超魔法少女は二人で一人? その3」】


 さて、こうして合体フォームに変身したはずのグレンオーだが。


「おお! これが合体フォーム!? あれ……なんか、世界が大き……じゃない!! あたし、ちっちゃくなってない?」 


 と、変身後の意外な状況に驚く。

 ちなみに。

 自身の大きさについてはグレンオーは自分の視点からだと世界がやけに大きく見ているため当初は世界の方が大きいのかと解釈したが。

 漫画などで自分が小さくなったキャラの反応を見たことがある彼女の経験から。

 すぐに周囲が大きくなったのではなく、自分が小さくなっていると判断したのだ。

 が、しかし。

 そうだとしたら小さくなり過ぎであるとも思ったグレンオーである。

 ちょっと背が縮んだとかではなく、十センチぐらいの背丈まで小さくなっている気がする。

 もしかして、変身ミスで「ミニグレンオー」か何かになってしまったのだろうか?

 グレンオーがそう考えていると。

 背後に何かの気配が!?

 グレンオーは咄嗟に後ろ回し蹴りを放とうとする。

 だが、何せ背が十センチで、しかもどうやら頭身もかなり小さくなっているらしい。

 そんな普段と違う身体で蹴りを放ってもまともにできるわけもなく。

 グレンオーはその場でずっこける。

 そして、そんな様子を彼女の背後から見ていたのは、


「……誰?」


 見慣れないヒーローだった。

 カラーリングやデザインは自分達、超魔法少女に似ているがどう見てもストームではない。

 その目の前に立っているそのヒーローは、通常のグレンオーやストームよりも鎧が複雑なデザインをしていて、しかも背中には翼……あ、


「もしかして、嵐? というかグレンストームW?」


 翼がある事で「Wは〈ダブル〉以外に〈ウィング〉の意味もあったのか? あるいは〈ウィンド〉で風に関係するストーム用のフォームだったとか」という可能性に気が付いたグレンオーは。

 そのヒーローのバックルが自分たちの普段使っているバックルと、先の合体させるための部品を組み合わせた結果できる〈W〉の形になっているという事にも気が付き、目の前のヒーローをグレンストームWと判断。

 そしてそのヒーローも、


「そう! 僕はグレンストームW!! ……多分」


 と返事をしてから、ミニグレンオーを摘み上げ、


「なんか先輩、可愛くなったね。SDのフィギュアみたいで」


 と指摘する。


「可愛くなったって、普段は可愛くないって事?」

「いや、そういう意味じゃなく」


 ストーム的に、グレンオーあるいは桜は普段もある意味可愛いのだが。

 その可愛いはバカキャラというか、アホの子に近い意味である。

 だが流石に先輩にアホとは言えないのでストームは適当に笑ってごまかすことにした。

 そんなストームの内心を知ってか知らずか、いや、知らないのだろうグレンオーは、


「わかってる。冗談だって……で、なんでこうなったわけ?」


 と、話を状況確認に移す。

 とはいえ、尋ねられたストームも、グレンオーがなんか十センチくらいの二・五頭身フィギュアみたいになっている事に関して、事情を知っているわけではない。

 なのでストームは、


「多分僕たちが良く知る、特撮に出てくる合体フォームは〈一つの肉体に二人以上の精神〉なんだけど、このグレンストームは〈どちらかの肉体を強化する代わりに、もう一方は小さくなる〉んだと思う」


 と、推測で現状を説明した。

 ちなみに。

 ここでストームが挙げているような、特撮に出てくるヒーローには、合体して変身する者以外に、何かが憑依するタイプもいるのだが。

 まあ、ああいうのも〈憑依した存在の力も使っている〉から合体の一つとして考えていたりもするのだった。

 これに対して、グレンオーは、


「思うって……根拠はないの?」


 と、質問。

 彼女としては折角の強化フォームに自分ではなく、ストームだけが変身したので、納得できる理由が欲しかったため質問したのである。

 特に根拠があったらどうしようとか、そういう考えがある訳ではない。

 これに対して、あくまで推測で説明しているストームは、


「フーコ達から詳しく説明を聞く前に変身でしまったからね」


 と詳しくは知らないことを正直に伝えつつ、


「でも、多分小さくなった方は〈魔法少女ものによくいる、仲間の妖精ポジション〉のイメージなんじゃないかな?」


 と、新たな推測を口にする。

 これは全く根拠なく、本当になんとなくそう思ったというだけで言っているのだが。

 実のところ、オウリュウとフーコーもそういうイメージで制作したのであった。

 この、ストームが推測で言ったことが、制作者の意図と一致した件について。

「そんな偶然有り得るか!」と思うか。

「なるほど、ストームとオウリュウ達が似たような感性なんだろうな」と考えるかは、読者に任せるとしたい。

 が、これを聞いたグレンオーの方は、


「ボクと契約してとか言いだすあれ?」


 というようなヤツを「魔法少女の仲間の妖精ポジション」として即座に連想する残念な発想力だった。


「……いや、それを例にしたらそうじゃないと言いたいんだけど……」


 というか先輩は、自分がああいうヤツと同類扱いされて構わないのだろうか?

 そいつ、宇宙延命の為に少女を犠牲にしても構わないとか考えているような、少女側からしたら有害極まりないやつなのだけれど?

 と、ストームは思ったが。

 そんなのと一緒にされたくないからこそ、あえて質問している可能性もある。

 ので、ストームはそういう誤解を解くためにも、女の子が変身するアニメに出てくる妖精のうち。

 例えば人の姿をした時にイケメン美男子だったり。

 あるいはのちに変身して戦う側に加わったりするキャラクターを例としてあげようとした。

 しかしこの場合、果たしてどのキャラクターをあげたらわかりやすいだろうか?

 などと彼女が考えている――その時、


「テメェら!! 俺の事を無視しやがって!!」


 と、背後から先ほどの、ヒーローの偽物怪人が登場した。

 というか。

 読者的には、ストームがグレンストームWに変身したあたりから、怪人の存在が無くなっているので。

 こいつ何処に行っていたんだ? という感じである。

 そして、グレンオー自身も読者と同じような感想を持っていたのか、


「そうだ!! あいつと戦っているんだった!!  ……というか、あいつさっきまで何していたんだろう?」


 という疑問を口にした。

 それに対してすぐに、


「ああ、僕がこの姿に変身した際の波動で怯んだところを、ウィングで加速して接近し、回し蹴りを腹に叩きこんで吹っ飛ばしておいたけど?」


 と答えるストーム。

 だが、グレンオーは、


「え? それってどういう……」


 と、何を言ったかはわかっても、どういう状況だかはまるで理解していないという反応を示した。

 さて、ここで。

 一応は読者にわかりやすく説明しておくと。

 グレンオーとストームがそれぞれ合体フォームに変身した際

 ストームはそのまま意識がある状態だったのだが。

 グレンオーは一時的に身体をデータ化した状態で亜空間に存在しており、その後三十秒ぐらいたってからミニグレンオーとしてこちらの世界に現れている。

 そしてその亜空間にいる際には意識がないので、当然、その間に起きたストームと怪人とのバトルについては情報がないのである。

 ちなみに、この亜空間に一時的に転送されるのは。

 オウリュウとフーコが合体フォームの参考にしたヒーローを見た際に。

「片方の肉体が無防備になるのは危険じゃないか? 安全なところにいるならともかく、うちの二人はどっちも戦闘する訳だし」と判断して加えた機能なのだが。

 説明を受けていない超魔法少女の二人は、当然、そんなことを知るはずがないのであった。

 そして、流石のグレンオーもこの空白の三十秒を気づけるわけもなく。

 また、グレンストームWとして、敵の怪人と戦っていたストームがグレンオーが三十秒この世界にいなかった事に気が付けるわけもないので。

 二人の視点から、事実に気が付くのは困難……


「だーかーらー無視してんじゃねぇ!!」


 というか、事実にたどり着くための余裕なんて、超魔法少女側の事情なんて関係ない怪人が許してくれるわけがなかったのだった。


「先輩、詳しくは後だ!! とりあえず安全なところに」

「う、うん……よし!!」


 ストームから指示を受けたグレンオーはとりあえず、空を飛んで空中に避難する。

 勿論、彼女が空中に浮かべるのは先に説明したように今の彼女が〈魔法少女ものの妖精〉をベースにしているからである。

 ただ、そうだとしても。

 空を飛ぶという非現実的な事に特に抵抗を感じない辺り、グレンオーはどこぞのプリズマな魔法少女の片方と仲良くできる……かもしれない。

 一方、そういう非現実的だったり、説明を受けていないような超常的能力の使用に抵抗がある青い方であるストームは、


「いや、確かに魔法少女ものの妖精とかなら飛べるのも多いし、フーコ達が普段飛んでいるからできる可能性は高いかもしれないけど。だからといって何も迷わず普通に飛んで逃げるとか……」


 と思っていたが。

 思いながらも、斜め前方から接近してくる怪人に何気ない様子で裏拳を叩きこむ。

 その、戦う事より考える事の方が重要だと言ったようなストームの様子に、


「て、テメェ。俺の事を適当に……」


 と、批難の声を上げる怪人。

 だったが、それに対してストームは、


「いや、だって。君は今の私の、グレンストームWの前には力不足じゃあないか」


 と、あっさりと返す。

 余りにあっさりと返されたので怪人も、怒る前に、


「な、なんだと!?」


 と、素直に驚いて反応した。

 だが正直、既に強化フォームになり、その後すぐに怪人を一撃で吹っ飛ばして壁にめり込ませたストームからしたら、最早、彼は強敵でも何でもないのである。

 ので、余裕ぶったストームは、指を左右に「チッチッチッ」といった感じに振ってから、怪人を指さして、


「だって、新フォームが登場した際の敵怪人は、登場後はそのフォームの力を見せつけるためのかませになるからね」


 ズバリ、言ってしまった。

 勿論、そんなことを言われた怪人はまた怒りで頭の中が沸いてきた。

 のだが、


「テメェ、ふざっ……ぐっ!!」


 怪人が文句を言い終わる前に、ストームは怪人にアッパーを喰らわせて上空に吹き飛ばす。

 そしてアッパーした勢いのまま特に意味なく、その場で一回転したストームは、気障なポーズをとりながら、


「どうもこの作品はあまり戦闘シーンの描写に重さを置いている訳じゃないみたいなんで。さっさと倒させてもらうよ」


 と、何やらメタな発言をしながら、バックルにグレンストーム用のピンク(厳密にはマゼンタ)とシアン、二色のチャージジュエルを差し込み、操作する。

 そして、


「Full Charge!! GUREN―Storm Screw!!」


 という音声がバックルから流れると同時に、ストームは上空に飛び上がり。


「これが、紅き颶風(ぐふう)を纏いし我が力……受けるがよい!!」


 と中二病的台詞を言った後、周囲に魔力による()()()()()()バリアを張りながら錐もみ回転して頭から、先ほど吹き飛ばした現在落下中の敵に突進する。

 そして敵と自身が衝突する際に、


大魔導(だいまどう)秘奥義(ひおうぎ)! 紅魔蒼嵐(こうまそうらん)桜撃破(おうげきは)!!」


 と叫んだ。

 ちなみに。

 映像的演出上だと、敵と交差した瞬間に画面が白く発光し。

 敵がダメージを受けているのを背景に、前景にいるグレンストームWが中二っぽい「目のあたりを片手で隠し、指の隙間から覗くようなポーズ」を取っているようなものになり。

 具体的に敵と衝突した際に何が起きているのかわからないのだが。

 実際には敵に衝突した際に纏っていたバリアの魔力を敵怪人に叩きこみ、内側から魔力を膨張させて破壊しているのである。

 また、この技名は実際にはバックルから流れた通り「グレンストームスクリュー」であり、先ほどの中二病臭い、漢字多めの技名はストームが勝手に言っているもので。

 当然〈大魔導〉でもなければ〈秘奥義〉でもない事は一応補足しておきたいと思う。

 と、技に関してはともかく。

 これを受けた怪人だが。彼は、


「ちょ、ちょっと待て、まだ俺は……ってかこの作品、怪人が咬ませばかりな……グワアァァァァ!!」


 と、おそらくは先のストームの台詞に影響されてか、メタな発言をしてから爆発四散した。


「まあ、この作品。大体一話に一回、新ヒーローか、新フォームが出ているからね」


 ストームは怪人の断末魔に対してさらにメタな発言で返す。

 そんな彼女の発言を聞いて、


「もしかして、メタな発言が多いのって、相手が()()リオンの偽者だから?」


 などと言いながら登場したのはグレンオーである。

 が、別にその質問に対しての答えをグレンオーは求めていた訳ではない。

 ので、彼女はストームの発言を待たず、すぐに、


「早く、ストームが変身解除してくれないかなぁ……」


 と言い出す。


「なんで?」

「なんかこっちから変身解除はできないみたいで。多分、そっちが解除しないとあたしはいつまでも小っちゃいままというか」


 そう。

 グレンストームシステムの解除は、ヒーローとして戦っている方のを優先しているため、基本的には小さくなっている方、つまり今回の場合ならグレンオーの方では解除できないのだ。

 なので、今回、途中までは自分が怪人と戦っていたはずなのに、新フォームや、必殺技のようなオイしいところをストームに持っていかれたグレンオーとしては。

 さっさとミニグレンオーから元に戻り、何か最後に良いカッコをしたいのだが。


「なるほど……よし」

「うん」

「しばらくこのままにしよう」


 一方の、ストームは折角自分が変身した強化フォームの様子をもっと確認したいし。

 何より、先輩がちんまい姿になっているのが可愛くて思わず頬ずりしたくな……じゃなくて、面白いので、しばらくこのままにしたいのだった。

 が、当然このストームの反応にグレンオーは、


「なんで!?」


 と疑問を持つ。

 だが、一方のストームもグレンオーがそう反応すること程度なら予想できるので、


「いや、解除した際に何か問題があったら困るからね。一応、フーコかオウリュウに確認をとってからにしないと」


 などと、すぐに変身を解除できない理由を言い訳で返した。

 そして、こう言われたグレンオーは。

「そういえば、オウリュウどこに行ったのだろう?」とあたりを見回す。

 少し前のシーンになるが、先のフーコがストームの元に現れた場面で、オウリュウがフーコにグレンオー側の情報を送っていると書いたように。

 グレンオーが一対一で偽メタリオンとの戦闘を開始した際、オウリュウはその様子を見ていた。

 そしてこの際、グレンオーは戦闘中にオウリュウと会話をしていた訳ではないが、それでも自分の周囲に彼がいたことまでは目で確認している。

 ――のだが。

 自身が小さくなった前後でオウリュウがいなくなっている。

 と、いう事にグレンオーは今更気が付いたのだ。

 勿論、彼女が今更気が付いたのは、自分が小さくなったり、その後怪人とストームが戦い始めたりというのがあって、そちらに集中していたからである。

 決して、オウリュウの事をどうでもいいと思っているという理由ではないのだが。

 それはともかく。

 果たして一体、オウリュウは何処に行ったのか。

 ――実は。

 ストームが駆け付ける少し前あたりで、オウリュウはフーコが心配になったので、入れ違い的にそちらに行っている

 のだがその際、オウリュウはストームが入ってきたのとは別の出入り口から出て行ったので。

 彼女と鉢合わせになる事はなかったのである。

 そして現在、オウリュウはフーコを説得して、グレンオー達の方に駆け付けようとしている。

 ………………のだが、


「もしかして、フーコの事が気になって、あっち、さっき僕がいた建物の方に行ったんじゃあないかな?」


 と、ストームが言い。

 そしてそれを聞いた早く元の大きさに戻りたいグレンオーが、


「よし、それじゃあちょっとあっちに確認取りに行ってくるか」


 と、彼らに会おうと移動してしまい。

 更に小さいままのグレンオーが心配なストームが、


「ちょっと先輩、いくら敵を倒した後だからって、そんな恰好で一人で行かないでくれたまえ」


 などと後を追いかけて行ってしまったので。

 結果的に再び入れ違いになってしまったのだった。

 そして、この〈お互いを探して入れ違いになる〉という事は、この後一時間半程続いたのだが。

 それをここで描写しても単にくどくなるだけなので、やめておくことにしよう。


 ――ちなみに。

 この後、桜、嵐、オウリュウ、フーコの四人での反省会で。

 今回味わった、戦闘時に分断された際の情報共有の難しさから。

 仮に二つの精神が一つの身体に入ったら、合体する前にお互いの持っていた情報の違いから、まともに闘えなくなる可能性があるので。

 グレンストームのシステムを〈エネルギーだけ一人に送る形式〉にしたことは評価されたものの。

 そもそも何故、超魔法少女のスーツあるいは装備に通信機能がないのかが指摘され。

 開発面での今後の課題となった

 ……のだが。

 残念ながらこの小説はあと一話しかないので、作中でその機能が完成することはないのであった。

一応、最初に超魔法少女を企画した段階では。

通常フォーム。暴走フォーム。合体フォーム。

の3つだったのですが。


今思うと、ミニフォームがあるから、4種類だなぁ……なんて。

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