表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境海の不思議探偵リリィーナ『夜の遊びの国』  作者: ゆめあき千路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/65

(六十一)魔法玩具店の日常へ

 トイズマスターは、多次元管理局で最後の報告を済ませた。それから白く寂しい通りへ戻って来ると、我が家の前で、足を止めた。


 凝った木彫りの魔法玩具店『カラクリ』の看板が頭上にぶら下がっている。

 この風景が、なんとも懐かしい。この木製看板を自作したのは、もう何十年も昔のこと。白く寂しい通りに店を構えると決めた時に、決心を彫り込んだ。こうしてよくよく観察すると、縁飾りの金色模様が剥げかけていた。

「そろそろ寿命だな。塗り直しをしなくちゃ」

 しばし感慨に(ふけ)っていると、

「るーっぷっ、ご主人さまーっっっ」

 いきなり店のドアが開いて、シャーキスが、頭からトイズマスターに突っ込んできた。ぬいぐるみだから、ぶつかった衝撃は柔らかく、トイズマスターはシャーキスを胸に抱きしめた。


「やあ、ただいまシャーキス。心配をかけてすまなかった」

「るるるいーっぷ、よくぞご無事で!」

 シャーキスはしゃくり上げていた。黒ボタンの目からは涙こそ出ないが、濡れたようにツヤツヤと輝いている。シャーキスはトイズマスターのシャツの胸に、頭をギュウギュウ押しつけた。

 トイズマスターは、ふるふる震える背中を軽く叩いてやった。

「リリィーナに知らせてくれて、ありがとう。長いこと留守にして、本当に悪かったね。君が留守番してくれたおかげで、店はそのままだ」


 シャーキスは黒いボタンの目にトイズマスターの顔を映し、何度も首を上下に振った。

「ええ、ええ、長い長い、お留守でした。お店は休業していましたが、お部屋もアトリエもいつも通り、きちんと片付けてあります。それから、エクメーネにお夕食の注文もしてあります。いつもの塩鮭(しおざけ)定食おひつご飯付き」

「やあ、嬉しいな、ありがとうシャーキス、それじゃあ夕食前に、さっそく新しい仕事にかかろう」

「今日くらい、ごゆっくりされては?」

「命の恩人のラリゼル姫に、すてきなオモチャをプレゼントしたいんだ」

「それなら喜んでお手伝いします」

トイズマスターはシャーキスを左手で抱え、自分の店のドアを開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ