表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境海の不思議探偵リリィーナ『夜の遊びの国』  作者: ゆめあき千路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/65

(五十六)その正体は

 老人の死体の左肩を蹴って仰向けにしたリリィーナは、左足で死体の右肩を踏み押さえて銀の剣の柄を握り、死体から引き抜いた。と、干からびた死体はカサカサと音を立てて、古びた紙のように崩れていった。

――――乾ききっている以外は人間の死体のようだが…………。

 銀の剣を一振りして、リリィーナは玉座に向いた。


 トイズマスター、と、玉座に向かって呼びかける。銀の剣を下げたまま、ゆっくりと玉座に歩み寄った。

「聞こえますか、トイズマスター。わたしは不思議探偵のリリィーナです。念のため、御自身の名前をフルネームでお答えください」

 リリィーナはトイズマスターの反応を待った。


トイズマスターの、右肩に傾けられていた頭が少しばかり上向いた。そして、落ちかかった髪の隙間から、虚ろな目が覗いた。

「……ああ、リリィーナだね。酷い目に遭ったよ。私の名前は第二十三代カラクリ仁左衛門だ。早くこの縄を解いてくれ、気分が悪い……」


「少少お待ちを。確認しなくてはなりませんので、御協力をお願いします。貴方のご職業は白く寂しい通りの、魔法玩具師で間違いありませんか?」

「ああそうだ、私は白く寂しい通りの魔法玩具師だよ」

「店はどこにありますか。住所は言えますか?」

「ああ、私の店は、白く寂しい通りにある。住所は、第ゼロ次元、白く寂しい通り、十番地の一の九の……」

「白く寂しい通りの住所は正解です。あなたは匠の館でわたしと会ったトイズマスターで間違いなさそうだ」

 トイズマスターの言葉を途中で遮り、リリィーナはうなずいた。

 いかっていたトイズマスターの肩が落ちた。

「はあ、早く助けてく……」

 れ、という最後の声は空中で消えた。

 リリィーナが前触れなく、銀の剣を一振りしたからだ。

 トイズマスターの首は、刎ね飛ばされた。

 返す刀で、椅子に残った胴体の左胸を刺す。銀の剣はトイズマスターの心臓をつらぬき、玉座の背もたれにまで突き通った。


 床に落ちた首は転がり、止まった。

 その断面からは血が流れ出ている。

 床に右頬を付けたトイズマスターの首が、カッと目を見開いた。

「なぜ……だ。……なぜ、君が、私を殺す、不思議探偵リリィーナ……?」

 首が喋った。

 リリィーナは首を振り返った。トイズマスターの体を椅子に縫い付けている剣を引き抜くと、振り返りざま、無造作に銀の剣を投擲した。

 銀の剣は、風を切って飛んだ。

 そして、床に転がっている首の顔面中央を刺し貫いた。

 驚きにポカンと口を開けた表情で、トイズマスターの首は標本さながら、床に留め付けられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ