↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/24

1-9『婚約者と悪役令嬢(親友)の浮気現場を目撃する伯爵令嬢。』

オレンジ色の髪の毛がフワフワと揺れる。

王宮の中庭で待っているアベルに駆け寄って行った。

「ハァハァッご、ごめん!アベル遅くなって。」


アベルは首を横に振る。

じっーとリルダを見つめたかと思うと、サッとハンカチを取り出しリルダの額などを丁寧に拭い始めた。因みにリルダの好きなクマの刺繍入りのハンカチである。


「アベル、ありがとう。」


アベルはコクンと頷いたかと思うと、今度はリルダを横からサッと抱き抱えた。


「わわっ」と驚くリルダに耳元で「上書きだよ。」そういうとベンチまでスタスタと歩いていた。


急に抱き抱えられたため、リルダの心臓はドクンと跳ねあがりドキドキとした。

(もう、アベルったら…。いつもアベルなんだから!)


(急にこんなことをするなんて。ドキドキするよ!!

んっ…?しかし、アベルはなんか物凄く良い匂いだなー。くんくん。えっ? いやいや違う違う。アベルの匂いを堪能している場合ではないんだよ。…アベル、『上書き』って言っていた。サラナ様を抱き抱えた事言っているんだよね。)


アベルはベンチまで来ると当たり前のようにリルダを膝の上に乗せて座る。


リルダは帝国の女性の平均身長よりも小さく、アベルは帝国の男性の中では大きい方だ。2人の身長差は30cmほどあるためリルダはアベルにすっぽりと収まってしまっている。


アベルに包み込まれたかと思うと少し頭の辺りがスースーし出した。匂いを?嗅がれている…ね?


(いやいや、流石に昼休憩中とは言え職場でこんなにイチャイチャしてはダメでしょ。さっきの2人みたいになってはダメ!)


リルダはササッと滑らかな身のこなしでアベルの膝の上から隣に移る。


「あっ…。」アベルは腑に落ちない様子だ。シュンとし、呟いた。


「例え、相手が女性だとしても。いくら仕事の上で仕方ががなかった行為でも、俺は容易く嫉妬してしまうんだよ。」


色香を漂わせ小首をかしげて訴えてきた。

赤い瞳がウルウルと潤んでいる。まるで大きな黒い犬のようだ。


リルダは辺りを充分に見回してから、アベルの額にそっとキスを落とした。


「続きは帰ってからでお願いします…。」ポンポンと頭を軽く撫でた。


艶やかな髪を撫でるとやわらかく触り心地がよかった。


アベルは確かめるように指先で、自分の額に触れたあと、コクンと頷き、「仕方ないな……好き。」と小さく言った。


(だーー!!色気!)もう一度思わずキスをしそうになるでしょ。


もう一度キスをしたら、確実に止まらくなる!それはダメだよ!


リルダは腰にある皮ベルトで携えていたショートソードを取り出した。


「ハッハッ」ビュンビュンと剣を振り素振りをする。


アベルに言っておいて自分がムラムラしたらダメではないか!煩悩を取り除かなくては!「ヤーッ!」


可愛らしいリルダが、普通の者が素振りをする位では、到底出せないような鋭い音を出しながら剣を振る。


栗色の瞳も鋭く輝いているのだ。

アベルはルビー色の瞳で微笑みながらつまびらかにその光景を見ていた。


素振りで程よく煩悩を取り除いた後、昼食のサンドイッチを2人で仲良く食べたのであった。

♢♢♢♢♢♢



【王宮の地下牢】


暗く冷たい王宮の檻の中に、ジャンとミーナは別々に投獄されていた。


自分達が引き起こした結果だと言うのに、反省は一つもする事なく、ジャンはパニック状態になっていた。


「一体何故こんな事になったんだ?何故?運が悪かったのか何なのか。サラナが書類なんか持ってこなければこんなことにはならなかったんだ。」


うつむきガシガシと頭を掻く。青色の瞳に狂気の色が混じる。


「いや、違うな、違う!あの女だ。あの女がどこででも発情し、その気のない俺を誘惑してきやがったからだ。そうだ、そうに違いない!」

またガシガシと頭を掻いた。

そして、ハタとある事に気がついた。


急にガタガタと震え出し、「俺は、そう大した事をしていないから、直ぐにここから出れるよな?」


「ま、まさか。このまま仕事に戻れないとか…?まさか…、そんな。」


ジャンは急に立ち上がった。青い瞳が揺れている。

唇もワナワナと震え出した。

「だとしたら…マズい。非常にマズい事になってしまうぞ。」


暗い檻の中、立ちつくすのであった。

♢♢♢♢♢♢


一方のミーナは、ミーナも自分がした事に対しては微塵も反省してはいなかった。


「あぁ、やだわ。なぁに、ここは暗いし寒いわ。」

腕を組んで自分の腕をさする。


「最初から最後まで、すました女だったわね。」


サラナの冷たい表情を思い出す。親友の自分が助けてくれと懸命に頼んだにも関わらず無慈悲な言葉を投げ掛けてきただけであった。


「ほんっとうに、何て女かしら。偉そうに。」まぁ、もういいわ。頼りにもならない、利用価値のない奴は、こちらから願い下げだ。


親指の爪を噛み「今に見てなさいよ!痛い目をに合わせてやるわ。」暗闇に紛れた瞳が不気味な色を放った。


♢♢♢♢♢♢♢♢


【文官室】


2人の仕事を一旦引き継ぎしている文官長がある書類に目を通していた。「ん…。な、何だ…?これは。」


何度も何度も計算をし直すが全くつじつまの合わない数字が記載されている。額から汗が、ツーっと流れてきた。


明らかに品物事態の単価や品数と金額が合わないのだ。

そのような書類が幾つも出てきた。

「なんてことだ。」


よくよく見ると、全ての書類はジャンとミーナの筆跡で記載されている。


どうやら2人で巧妙に王宮の金を横領していたらしい。仕事は出来ないのにこういう悪事にはとても頭がまわっていたようだ。


文官長は、机の上で両手の指を組み、そこに額を押し付けた。


また長く深い溜め息をつく。


そして、サッと顔を上げると直ぐに王の側近に連絡をした。


♢♢♢♢♢♢


その後、側近から王に報告され、王からの処罰が下された。


結果…。2人は別々の修道院に送還される事となった。


修道院送りと聞くと軽い処罰に感じるが、決して軽い処罰ではないのだ。


その修道院は特段厳しいところだ。世間とは隔離されたような所に建っている。修道院とは響きが良いと思ってしまう程、実質上監獄のような所だ。


今までの王宮の制服とは全く違う質素な服を着せられ、朝早くからから夜遅くまで作業を強制的にさせられる。


少しでも怠けようものならば、ムチ打ちなどの折檻もある位だ。無論逃げ出すことは出来ない。どんなに泣きわめこうとも、毎日の労働はしっかりせねばならない。


「こんなことなら殺してくれ。」そんな声が聞こえてきそうだ。


♢♢♢♢♢♢


その後、サラナ・カルティアナはどうなったかと言うと…。



騎士達を推していた。すっかり騎士達の魅力に魅せられてしまったようだ。男性でも女性でも、どちらでも構わない。『騎士』と名のつく者ならば、全ての者がとても魅力的に感じるのだ。


見目麗しく騎士服が凛々しい、鍛え上げられた筋肉の上にそれらを着こなしている為、特に良い。姿勢も良い、素敵だ。


また、『騎士道』たる精神も良いし、かと言えば洗練されたマナーも持ち合わせている。

そんな騎士達を尊敬していて、とても魅了されるのだ。


模擬戦があれば必ず見に行き応援をした。

リルダ自身も腹筋や腕立てふせをして体力作りをしたり、護身術程度に剣術を習ったりした。正に生きる活力となっていった。


……と、そんなある日サラナに縁談の話が舞い込んできた。カルティアナ家と関わりあいのある家門の次男である。


そして、なんと王宮の騎士だ。この騎士とは、話したことはなく顔見知り程度であったが、サラナはこの縁談を進めてもらうことにした。


前回は自分の我が儘で、婚約者を決めておいて婚約破棄も勝手にしてしまった為、次は父の決めた相手と結婚をすると決めていたからだ。今回は家門同士の結婚、政略結婚だ。少しの事では婚約破棄は出来ないだろう。


そして……実は顔見知り程度とは言え心の奥底ではその騎士に対する好感度はリルダの次位に高かった。


模擬戦での戦い方や立ち居振舞いが美しく何となく目の端で追いかけてしまうこともあったのだ。


1度失敗しといて楽観的かもしれない。1度あることは2度あるとも言うし…。


未来はどうなるかはわからないけれど、この政略結婚がよきものなるように、育めれたら良いなと思うのであった。


握りしめていた扇子の要の鷹の紋章をソッと指でなぞった。




最後までお読みいただきありがとうごさいます!


少しでも面白いと思われましたら是非ブックマークお願い致します!

執筆の励みになります!このヤンデレで良いのだと自信が持てますので…。


☆→★★★★★感想なども嬉しいです。

宜しくお願いします!



宜しくお願いします!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。