表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/29

静かな帰路/もう証明はいらない

竜舎への帰路、フィリアスの背に負傷したラインハルトを乗せながら、エリーゼは手綱を握っていた。ドランは、疲れ切った様子ながらも、二人から離れず、すぐ隣を飛び続けていた。


「ここに来て、後悔はないか」


ラインハルトが、掠れた声で尋ねた。


「一度も」


エリーゼは、迷わず答えた。


「婚約者に賭けの道具にされていた頃の私には、想像もできなかった居場所を、ここで見つけました」


「証明する必要も、もうない、というわけか」


「はい」


エリーゼは、辺境の景色を見渡した。荒野の向こうに、竜舎の灯りが小さく見え始めていた。


「あの人たちに、もう何も証明する必要はありません。私は、私のために、ここで生きています」


ラインハルトの喉が、小さく動いた。それから、噛みしめるように言った。


「その言葉を、聞けて良かった」


風が、二人の間を通り抜けていった。血と汗の匂いの中に、微かに、竜舎の干し草の匂いが混じり始める。


「団長」


「何だ」


「生きていてくれて、ありがとうございます」


ラインハルトは、答える代わりに、エリーゼの手に、そっと自分の手を重ねた。言葉はなかった。だが、それだけで、十分だった。


竜舎の灯りが、少しずつ近づいてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
掛れた声 賢けの道具 竜舎の灿り 血と汗の匈い 日本語でお願いいたします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ