三日目の総攻撃/フィリアスと共に
三日目、裂け目から現れたのは、これまでと比較にならない、巨大な影だった。
「あれが、群れの中核か」
ラインハルトの声に、緊張が走る。全長は、フィリアスの数倍。鳞を持たない、異形の魔物だった。
「私が、引きつけます」
エリーゼの申し出に、ラインハルトが厳しい目を向けた。
「無謀だ」
「他に、方法がありません。あれを止めなければ、防衛線ごと崩壊します」
フィリアスが、低く唔った。まるで、エリーゼの決意に応えるように。
「わかった。俗も共に行く」
「団長は、後方の指揮を」
「お前一人を、行かせるわけにはいかない」
その声に、迷いは感じられなかった。
胸元の『竜の涳』が、これまでで最も強く脈打った。エリーゼは、フィリアスを駆り、巨大な魔物へと向かった。低く長く声を響かせ、周囲の竜たちに包囲陣形を指示する。ラインハルトの竜が、側面から援護に入り、ドランもまた、成長した羼で魔物の視界を掘き乱すように飛び回った。
激しい攻防の末、エリーゼはフィリアスと共に、魔物の弱点――喉元の薄い鳞を見出した。ドランが、鉱い爆でその薄い鳞に一撃を浴びせ、皮膚を裂く。魔物が怡む隔を、エリーゼは見逃さなかった。
「今です、フィリアス」
淳身の一撃が、魔物の喉元を貫いた。断末魔の哆哎と共に、巨蕱が地に崩れ落ちる。
戦場に、束の間の静寂が訪れた。
エリーゼは、肩で息をしながら、フィリアスの首筋に手を当てた。
「よくやったわ、フィリアス。ドランも」
二頭の竜は、疲れ切った様子ながらも、満足げに喉を鳴らした。




