第78話 終焉の原因
目覚めたアーシェによって分かったのは、この世界が壁によって押しつぶされつつある原因だ。
それは遠い昔に起こった戦争が原因だった。
世界中を巻き込む戦争が、人々の不安の心に火を付け、音魔法の素養のある人間が無意識の内に世界の終焉をイメージ、具現化させてしまったんだという。
一度具現化されてしまったイメージは、形になり人々に認識される。するとそれがさらに強固な終焉のイメージを人々に植え付けてしまう。
そうして、終焉のイメージが強化され続けるという負のスパイラルが完成したのだ。
「ですから、そのスパイラルを断つために、人々にこの事を説明し、希望をみせるのが良いんです」
「要するに、皆を元気づけろって事か? えらく簡単な事なんだな」
「そう思いますよね。でも、それが何よりも難しい。頑張れって励まされても、人の感じ方はそれぞれです。親しくない人に軽はずみに言われても、元気の出ない人もいるのではないでしょうか」
「そっか。確かにそうだよな」
俺は自分が困っていた時の事を思い浮かべる。
スズネ達がいなくなった後の事だ。
相談したのは、クオンだった。あれは友人のクオンだったから、立ち直れたのだ。
他の人間に安っぽい言葉で励まされても、立ち直れる自信がなかった。
「だから、説明の最後にこの世界全員が希望を持てるように、音魔法で具現化を行います」
「それって? 何をするつもりなんだ?」
「オルタさんなら、分かると思いますよ。太陽です。この暗く沈んだ世界の空に、人工の太陽を浮かべるんです」




