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アーク・ライズ 地平線から昇る太陽を夢見て  作者: 仲仁へび
第四幕 輝きを放つ世界

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第77話 アーシェ復活



 光明の本部。最奥部に辿り着いた俺達は、すぐにその音魔法の発生源をつきとめた。

 それはスズネ達と同じくらいの少女だった。


 ユキタカが心配そうな表情で走りよろうとする。


「アリスだ! アリス! もう大丈夫だからな。俺達が解放してやるから」


 それを慌ててスズネが止めた。


「はうあっ、操られてるんですよ! 近寄っちゃダメです!!


 同じように操られていたキャロが視線をわずかにおとして、唇をかんだ。


「こんな子供まで利用していたなんて」

「ああ、ひでぇ話だ。でももうこれで、こんな非道な事をさせずにすむ」


 クオンがアリスという少女にむかって音魔法を放つ。

 するとアリスが倒れて、建物内に断続的に響き渡っていた戦闘音が止まった。


 キャロがあたりを見回して呟く。


「これで、終わったのかしら」

「だと良いんだがな。こういう時に姿を見せそうなボスの姿が見えないのが不穏だぜ」


 尻尾巻いて逃げていればいいのだが、まだ何か企んでいたとしたら困る。

 コロンゾは狡猾な人間だと思っている。


 こんな事で素直に負けを認めるとは思わなかった。


 それはともかく。


「今のうちに、連絡をとっておかねばなるまい。できるときにやっておくのじゃ」


 これまでの戦闘でおいてきた面々のことが気になった。


 フィー達もマルガリータ達も無事でいるといいんだが。


 通信機をそうさしていると、そこにフィー達がやってきた。


 多少けがはしてるみたいだったが、無事のようだ。


「制圧したんですか?」

「いや、もぬけの殻だ。どこにいるんだろうな」

「困りましたね」

「そういやマルガリータ達はなんでここにいるんだ? いつの間に知り合ってたんだよ」

「オルタさんたちより早くこの時代で活動してますからね。いろいろあったんです」


 あてが何もない時代だからな。知り合いもいないし。

 案外、俺たちと同じような理由だったりして。


 いろいろ言いたいことも、知りたいこともあるが後だ。

 このまま話し込んでなんていられない。

 これからどうするか。




 考え込んでいると、キャロが部屋の隅をじっと見つめていることが分かった。


「どうしたキャロ」

「ここからユミィアの力の残滓を感じるのよね。操られてるうちに敏感になってるみたい」


 彼女は、そのまま立ち上がって部屋の壁を調べる。


 手をかざしてさっと払ってみると、そこに塗料が塗られているのが分かった。


 用意がいい事には、コスモスがハンカチを差し出す。


「ありがと。よいしょっと」


 さっと拭いてみると、ガラス製のパネルのようなものが現れた。


 王冠のマークと、国旗。


 あと一から九までの数字のが。


「これって俺たちの国のマークじゃないか?」

「そうなのかしら。じゃあこの王冠って」


 王様に関するパスワードを入れろって事か?


 俺とキャロは顔を見合わせる。


 といっても、よく知らないんだよな。


 顔は何回かあわせたことあるんだけど。


 首を傾げていたら、横から手が伸びてきてクオンがいくつかの数字に触れた。


 すると、隠し扉みたいなのが開いていった。


「えっ、クオン。何で知ってるのよ」

「あなたたちが眠っている間に、その……いろいろありまして」


 なぜか赤くなって目をそらすクオン。


 何かを察したらしいキャロが、頭を抱え始める。


「後で愚痴に付き合ってあげるわ」

「す、すみません。いえ、謝るのもおかしなことですが」


 気になるけど、聞いちゃいけない部類のガールズトークって奴だろうか。


 やれやれと肩をすくめるコスモスに、手をポンとしているスズネは何かしっているのかもしれない。


「あの国の王族の遺伝子は心の底から女好きらしいようじゃな」


 あ、なんか俺でも分かった気がする。







 そんな気の抜けるやりとりの、細長い通路を歩いていくと、とある部屋にたどり着いた。


 たくさんのポッドが並んでいる。


 その中には、顔も知らない者たちが並んでいたが……。


 その中には、彼女の姿もあった。


 誰にも言えない。

 内緒の話だけど、夢にまで見ていた。


 もう一度、ずっと話がしたいと、そう思っていた。

 仕事の合間に少し話しただけで永遠の別れなんて、納得できなかったから。


 でも今度は、現実で言葉を交わせる。


 開閉したポッドから起き上がる彼女は、長い眠りを感じさせない表情で微笑んだ。


「オルタさん、キャロンさん。お久しぶりです!」

「アーシェ! 良かった。目が覚めたのね!」

「アーシェ。元気そうだな!」

「お二人のおかげです」


 会いたかった人間の一人。

 長かった友人との再会が、やっと果たされたのだ。



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