第66話 アストラル・データ
話はまだ続いていく。
「それだけじゃないのじゃ。奴等はこの世界を救う方法を知っている」
「何だって」
コスモスの口からもたらされたのは驚くべき話だ。
「うむ、ウチの理論が完成したから、その理論を応用してな。世界のルールを書き換える方法なのじゃ」
「ルールを書き換える?」
話題についていけなくなった。
俺の頭の上は、さぞや立派な疑問符で埋め尽くされているだろう。
「クオンは知っておるじゃろうが、ウチはおぬしらが生きていた時代よりもうんと前の時代の人間じゃ」
「え、そうなのか?」
疑問に思えば、目覚めていたらしいクオンが、布団の上で起き上がりながら答える。
頭痛をこらえるようなしぐさをしながら、こっちに視線を向ける。
「はい、そうです。最初に見た時は目を疑いましたが」
ええと、それはそのまま生きてたって事じゃないよな。
つまり俺達と同じようにコールドスリープしてたって事か?
「ウチは神聖国で、人間のアストラル化によって人類救済を行う計画に携わっておった」
「そういえば、クオンもそんな事に協力してたよな」
「じゃが、その途中で計画の穴に気づいたのじゃ。アストラル化で別の世界に避難しようと思っても、精神体が異世界を渡る衝撃に耐えられんとな。だから、人間の精神を変えられるよう、データ化する事にした」
「データ!?」
「異世界の人間をこちらに呼び寄せて、その人間の精神に寄生する方法、と言えば分かりやすいかの? という事でウチはそっち方面の計画を進める事にしたのじゃ」
「それじゃ他の人間に迷惑かけるところは変わんないだろ」
それでも、とコスモスは続ける。
「今の状況よりはよほどマシじゃろう。何のかかわりもない異界の人間を役目に縛り付けただけではあきたらず、道具として使役しておるのじゃから」
確かにその計画なら、一時期こっちの世界にいるだけで、ちゃんと元の世界に帰してやれるんだろうけど。
「……、その人間アテはあるのか?」
「ここにおるぞ」
「えっ?」
視線の先には、二人の少年少女。
クオンと一緒にやってきていたらしいスズネとユキタカがいた。
コスモスはスズネの方を向いている。まさか。
「はい、まあ。あはは。安心してください。オルタさん達が住める場所は私がしっかり探して見せますから」
なんて言っていいのか分からなくなる。
そんな事急に言われたって、感情が追いつかねぇよ。
それに……こいつは、まだ子供だぞ。
決意に満ちた表情でやる気をのぞかせるスズネを見るが。
色んな意味で不安になった。




