第65話 フィーの力
「生贄となったアーシェはそれに気づいてしまったが、身動きの取れない自分ではどうする事も出ない。だからフィー達に助けを求めたのじゃろう。フィーには……あやつには、離れた場所にいる者の考えを読み取る力があるからの」
初めて聞いた、そんな話は。
あいつにそんな力があったなんて、知らなかった。
「疑問が解けたぜ。それならそうと言ってくれれば良かったのに」
「察してやれ、なのじゃ? あれは賢くあるが、まだ子供じゃぞ? やつにもやつの事情があろう。それに、話をしようと思った時には時間切れだったと言っておったの」
「あ、そういやそうだったな」
大地をパージする作戦で時間が決められていたから、俺達はあの場からすぐにはなれる必要があったのだ。
気になる事を言っていた、というのは分かっていたけど確かめる時間が無かった。
それで、虚無に落ちたフィー達はコスモスに助けられたのだろう。
「話は分かった。じゃあ今回もフィー達はそれで動いているのか?」
「それと、異世界から攫って来た人達を保護する為にじゃな」
「……やっぱり、他の世界の人間にまで苦しみを押し付けるのは間違ってるよな」
あらためて、自分たちがしていることがひどい事だと自覚する。
俺達だって望んでこんな世界に生まれたわけじゃない。
理不尽な環境に苦しんでる人間の一人だ。
でもだからって自分達が幸せになるために、別の世界の人間に苦しみを押し付けるのは駄目だ。




