第62話 ジャン・ミナト
「俺が横にいるのに名前を聞かねぇってのは、失礼にならねぇか?」
「あ、ああ悪い」
気になる事が多すぎたのと、コスモスのキャラ変が大きすぎたので、すっかり忘れていた。
コスモスの横にいる男を観察する。
まとう雰囲気は軽そうだが、戦いの経験があるもの特有の感じがある。
髪はこげ茶で、一房だけ赤く染めてある。
上着にはなんだかよく分からない、ドクロとかクロスだとかの銀色のアクセサリーがついていた。
長い前髪を背後に流すためのバンダナには、海賊旗みたいなマークがある。
見た事のないタイプの容姿だ。
肩をすくめた見知らぬ男は、一歩前に進み出て、こっちに右手を差し出してきた。
「俺の名前はジャンだ。ジャン・ミナト。ワケあって、住むとこがなくなったもんだからここに居候させてもらってる。特に何か目的があるわけじゃねぇからモブだと思って気軽に接してくれ」
おそらくこいつがコスモスを盛大にキャラ変させた原因だろう。
それでモブは無理がある。
とりあえずこちらも手を差し出して握り返す。
「はぁ……。えっと、俺はオルタ。オルタライズ・バンカーチェイスだ」
「こじゃれた名前だな。じゃあ、オルタって呼ぶぜ。お前もジャンで呼べ」
「お、おう」
ジャンはそう言って、片手をひらひら振りながらどこかへと歩いていく。
妙に気安い男だった。
まあ、変に警戒されるよりはいいが。
キャロやクオン辺りは距離開きそうな正確だな。
二人とも、警戒心高いからな。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、うっとりした顔のコスモスが話しかけてくる。
「ミナトはな、ウチがお嫁さんに行く男なのじゃ。ウチがばりばりお世話して、オシドリ夫婦になる予定なのじゃ」
「まあ、えっと……がんばれ?」
「らじゃ、なのじゃ。良い働きを期待しとるぞ?」
よく分からん会話だったが、コスモスはミナトに惚れてるという事でいいのだろう。
そして、機会があったら恋が進展するように協力しろ、という事?
で、良いんだよな。
そういうのよく分かんねぇから、推測するしかないけど。
ああいうのがコスモスみたいな人間を変えたのか、ただものじゃない事だけは確かだな。
癖が強そうだ。




