第61話 双子?
とりあえず相手の様子をじっと十秒ほど見つめてみた。けど、消える様子はない。現実だ。
何かの拍子に頭を打って見てる幻とかではなさそうだ。
「随分色々変わってるけど、お前はコスモス……でいいんだよな」
「そうじゃ。おぬしらにとっては短い間じゃったろうに、もうウチの顔を忘れてしまったんか?」
遺憾の意を表明するように腰に手を当てるコスモス。
そういう細かな仕草からも、普通の人間っぽさが出ている。
「いや、さすがにあんな濃い出会い方したら忘れねえよ」
ただちょっと、本当にあの時のコスモスと同一人物なのか信じがたいというだけで。
いっそ双子の片割れでしたと言われた方がしっくりくる。
「兄弟とか血縁者とか、双子かそっくりさんとかじゃないよな?」
「そんな存在がいてたまるか。ミナトがウチを見分ける時ややこしくなるであろう」
ぷんぷんと怒り出したコスモスに、小さく「悪ぃ」と告げる。
知れば知るほど不思議でたまらなくなる。あの理知的でどこか得体の知れない人間離れした少女に、何があったというのか。
初体験の印象が大きすぎた弊害だ。
(まあ、こっちの方が親しみやすいし、話しやすくはあるけど)
違和感は大きいが、こっちが頑張って慣れていくしかない。
改めて周囲を見渡しながら、コスモスに仲間の行方を尋ねる。
「とりあえず俺達を助けてくれてありがとな。クオンはどこにいるんだ? 無事なんだよな」
「当たり前じゃろう。おぬしらは決死の思いで虚無の中に飛び込んだのじゃ、その決意に知識の番人たるウチが応じるのは当然の事じゃろうに」
そのセリフ、突っ込んでもいいやつだろうか?
(前に会った時は百年に一度しか親切働かないとか言ってたじゃんか)
記憶の中の彼女と百八十度違う意見を述べるものだから、再び幻かどうか疑いたくなってきた。
「色々つっこみたいとこあるけど、まあいいや。それよりお前たちに聞かなくちゃいけないことがある」
スズネやフィー達の事を聞こうと口を開くのだが、「おっと、待ちな」とコスモスのそばにいる知らない男に静止された。




