第51話 救援
俺達は業務用の貨物列車に乗せてもらって移動していた。
過去の時代にはほとんど製造されていなかったので、普及していなかったが、この時代では珍しいものでもないらしい。
通り過ぎる景色の速さにテンションが上がりそうになるが自重。
(スズネたちにように並んで窓に張り付くのは、いくら俺でも恥ずかしいしな)
これから行うのは、新しいメンバーと守るべき人間とともにやる、初めての重大任務。
しっかりと装備を整え、何度も作戦や行動について確認しあった。
「地図、結構変わってるな」
そのさなかに地理を把握するために地図を見たのだが、見慣れた地名がほとんどない。
それどころか地形が全く変わってしまっているところもあった。
「私たちが眠ってる間に何があったのかしら」
「今度過去の新聞でも探して読んでみるか」
とにかく過去の情報があまり役に立たないことはよく分かった。
頼れるのは戦いの腕だけらしい。
地理や地形情報を頭に叩き込んでおくのは、今後の課題だ。
意識を切り替えて目の前のことに集中しよう。
救援先の村は厳しい状況だった。
あとほんの数分辿り着くのが遅れていたら、蝕に蹂躙されていたかもしれない。
でも、俺達は間にあったようだ。
列車から降りて、というか飛び降りてすぐ先頭に突入した(通り過ぎた列車は、喰の群れの中に止めるわけはいかないので離れたところに停車している)。
踏ん張っていた自治組織と協力して、民間人を列車のほうへと誘導していく。
運転している人間には、万が一俺たちが全滅するようなことがあったら構わずその場を離れろとつたえてあった。
飛び降りた中で、一番すっとんでいくのはマルガリータだ。
「野郎ども、続けぇぇぇ!」
「「「おおおおおおおお!」」」
巨大な戦斧を顕現させて勢いよく振り回している。
直接戦っているところを見るのは初めてだ。
(かなり経験を積んだ猛者みたいだな)
行動に迷いがなかった。
俺たちも負けてはいられない。
「らぁぁぁぁ! くたばりやがれっ!」
「ライトニング・コール!」
村の中になだれ込んで来ようとしている蝕を蹴散らしながら、くずれかけた防衛線を整えていく。
スズネやユキタカも同じくだ。
「えーい! やあっ!」
「うりゃああっ! とどめっ!」
思い思いの武器を振り回して、迫りくる脅威たちを殴り飛ばしていった。
新米二人も善戦している。
「さあっ、これで、おしまいです! エクスポロージョン!」
「エクスプロージョンだって! スズネの姉ちゃん」
愛用の武器ハンマーで爆発を起こしながら突っこんでいくスズネ。
それに突っ込みを入れるユキタカは、俺と同じソードがんで敵を威嚇。
互いの死角をカバーしている。
村を取り囲んでいた蝕はあっという間に全滅した。
蝕の亡骸の処理とか負傷者の手当とかやるべき事はたくさんあったけど、周囲んl空気が軽くなったような気がした。
戦闘が終わったと見てか、列車に避難していた住民達が現れて、口々にお礼を言ってきた。
「ありがとうございます、あなた達がきてくれなかったらと思うと」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」
「本当に助かった、もう駄目かと思ってたんだ」
新米傭兵であるスズネ達はその様子に嬉しそうにしていた。
「えへへ、それほどでもぉ。ありますがっ!」
「姉ちゃん、謙遜するなら最後までその姿勢貫こうよ」
将来が楽しみでもあるが、素直すぎる性格が少し心配だ。




