第46話 目覚め
泡のような塊がいくつか目の前を通り過ぎていく。
ここはどこかの水の中なのか。
はるか遠くにある、水面からはかすかな光が差し込んでいた。
俺はそれに手を伸ばすけど。ちっとも届かない。
届くどころか、遠ざかっていく。
きっと、それは俺の体が沈んでいるからだろう。
水の冷たさが思い出したかのように体に伝わってきた。
体の奥底まで、凍えそうなほどだ。
あまりの冷たさに、意識が薄らいでいく。
俺達は、何年か後に目覚めた。
永い眠りから覚めた後は、記憶が混乱していたが、次第に状況を把握できるようになった。
驚く事に世界は滅びていなかった。
人間達も、ゆっくりとその数を増やしている所だった。
けれど、それは俺達が思い描いていた理想の平穏とは、ほど遠い物だった。
技術力の進化で滅びは回避された。
けれど、それは新たな犠牲を前提としたものだった。
当初想定していたよりもはるかに長い年月活動することを余儀なくされたアーシェは、もういない。俺達の先に亡くなっていた。
彼女ともう一度話しができると思っていたのに。
結局、きちんと話ができたのはあのホテルが最後だった。
それだけなら、まだ自業自得だと自嘲していられただろう。
この世界の状況は俺達に予想できない方向にすすんでいた。
生き残った人々はアーシェの代わりになる人間を、別の世界から連れ去って利用していた。
クオンが前に所属していた国家の技術を応用したそれは、別の方面で成功していたのだ。
俺達が気づいた時には遅すぎた。人々はすでに新たな犠牲者を拉致した後だったからだ。
俺達は彼等から当然のように「オマケとしてまぎれこんだ異世界の人間を探し出せ」と命令された。
なんで、知らない間に変な組織に所属している事になってるんだ。
俺たちが眠っていたポッドも、別の場所に移動していたし。




