第47話 出会い
「こんなに世界が変わってるなんて予想外だわ」
「何かしら変わるだろうとは思ってたけど、予想外だよな」
キャロと共に混乱する頭を抱えながら、すっかり変わってしまった町の外に出ていく。
前住んでいた住居は、当然もうなくなっていた。
変な組織が用意してくれた新しい家があるけど、何だか真っ直ぐ向かう気にはなれなかった。
町の様子も全然違うし、知り合いもいない。
知らない機械とかがあって、発展しているようだが、それがさらに拍車をかけている。
居場所がないように思えてからか、自然と町の外に足が向いていた。
すると……。
小さな喰の姿があった。
比較的平和になった世界でも、あれはいるらしい。
壁の進行は止まってるから、喰さえなんとかなれば完璧な平和が手に入るんだろうな。
と、未だに世界にはびこっていた蝕を眺めていると、それに追われている少年少女を見つけた。
年齢は十歳くらいか。
町の連中とは違う服装に身を包んでいる。
他の国の人間だろうか。
この時代なら、レストリアを含むいくつかの国は何の制限もなく自由に行き来できるらしいし。
などと、考えている場合ではなかった。
「はわぁっ、私そんなに美味しくないですよぅ。食べないでくださーい!」
「姉ちゃん、叫んでる暇があったら、走れって!」
桃色の髪をした少女と、黒髪の少年が必至の形相で逃げている。
もちろん喰から。
ふやけていた頭に冷や水を物価っけられた気分だ。
でも、慣れ親しんだ感覚に高揚感と安心感を覚えてしまう。
「キャロ!」
「ええ!」
長い間冬眠状態であっても、なまってはいないようだ。体が動いて、護身用に持たされた装置で武器を顕現させる、見たことのない型のガンソードを勘で操り、蝕へ攻撃を放った。
打算とか計画とかよりも、目の前で大変な目に遭っているのを見たら体が動いていたのだ。
爆炎の弾が蝕に命中し、遠くへ吹っ飛ばす。
「テンペスト・シザー」
そしてキャロが風の魔法で敵を切り刻んでいった。
逃げ続けていた子供たちは安堵したようにへたりこんだ。
近づいていくと、涙目で震えながら礼をいうために立ち上がった。
見かけによらずしっかりしてるな。
「あ、ありがとうございますぅ。助かりました」
「兄ちゃん達ナニモンだ。凄かったな今の。ていうか、何だあれ、炎がバケモノをぶっとばしてったけど」
見慣れない服に、魔法への無知。
服はともかく、魔法を知らない人間がこの世界にいるわけがない。
彼らはおそらく、異界から紛れ込んだという人間達だろう。
名まえを聞くと、少女はスズネ、少年はユキタカと言うらしい。
ユキタカがスズネの事「姉ちゃん」呼びしてたが、別に兄弟とかではないらしい。
知り合ってから一日も経っていないとか。
(ほぼ他人じゃねーか)
で、ユキタカの友達の少女アリスが変な連中に連れ去られたのを助けるために、スズネが巻き込まれ、二人で怪しい連中を追いかけていたら別の世界にきてしまったいたのだという。
頭を抱えずにはいられない状況だな。
目の前の子供たちは俺たちの世界の被害者なんだから。
キャロが小さな声で話しかけてくる。
「オルタ……。私、この子達助けようと思う」
「キャロ。でも、それは」
「だって、見捨ててはおけない。大丈夫、今度は絶対に」
「……」
ばれたらどんな事になるか分からない。
俺達はまだ、この世界の事よく知らないのだから。
でもここでキャロンの望みを突っぱねるのはしたくない。
俺だって、好き好んで関係のない人間を巻き込みたかったわけではなかったんだから。
不安を抱えつつも、俺達はスズネとユキタカを保護する事にした。




