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アーク・ライズ 地平線から昇る太陽を夢見て  作者: 仲仁へび
第三部 立ち止まらぬ世界

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第44話 休暇






 いつか、あの戦いは過去のものになるんだろうか。


 終わったものとして考えるには、あまりにも辛すぎた。


 派遣されてきたものたちは作戦後すぐに帰っていったけど、俺たちとの温度差がひどかったな。


 赤の他人と戦うのとは、わけが違うんだ。


 組織ではもくず屋の世話になってるやつもいたから。







 キャロは、朝ごはんの用意をしている間に、睡魔に負けてしまったみたいだ。


「ごめんなさい、みんな」


 テーブルの上につっぷしているキャロがうなされてる。


 俺は久しぶりにエプロンをつけて台所に立った。


 自分の家なのに、どこに何がおいてあるのか分からないので、時間がかかったが、簡単な料理なら作ることができた。


 スクランブルエッグと焼いたハム、後はコーヒーとトーストだ。

 あとは、やさいを混ぜたスープを温めなおした。


 先日もらったものが、大量に保管してあるから、キャロが作り置きしておいてるんだよな。


 昼食をテーブルに並べるとキャロが目をこすってるところだった。


「オルタ?」

「まだ眠いなら、俺の部屋で寝てるか?」

「い、いいわよ。そんなの逆に眠れなくなるから」


 起きたキャロは、いったん顔を洗いに洗面所へ。

 

 その足取りは若干ふらふらしている。


(あんまり眠れてないみたいだな)


 あの一件が地味に響いてるみたいだ。

 間接的とはいえ、知り合いを手にかけた事によって、キャロの精神が不安定になっているのかもしれない。


(危なっかしくて目を離してられないな)


 あの元気だったキャロが追い詰められている姿を見るのは胸が痛くなる。


 キャロの精神状況は限界が近いのかもしれない。


 だから、俺は戻ってきたキャロに向けてある提案をした。


「なあ、キャロ。ちょっと仕事を休んで二人でどこか遊びに行かないか?」

「えっ」

「だってここのところずっと大きな仕事ばっかりだったろ? たまには息抜きしたってバチは当たらないさ」

「そうかしら、でも……。自分で言うのもなんだけど、私たち主戦力でしょ? みんなの負担が増えるんじゃないかしら」


 普段はあまり意識してないけど、俺達の実力は組織内でも結構上にある。


 抜けたらいたい、というのはわかっていたが。


「まあ、そこらへんは、クオンに頼んでなんとかなるだろ」

「人任せじゃないの」


 それはそうだが、クオンだってこっちでそこそこなれただろうし、この間見たときは知り合いも多そうだった。


 決して無茶すぎる頼みとはいいきれないはず。


「だからさ、もしスケジュールが空いたらだけど、どっか一緒に出掛けようぜ」

「ん、分かったわ。空いたらだけど」







 そういうわけで、俺が発案した突発的なお出かけ計画はスタートした。


 関係各所に根回しするのは大変だったが、なんとか休みをとることに成功。


 二、三日ほど、ホームタウンを離れられることになった。


「カリス=ドールとかファッションの町って感じでよさそうじゃないか?」

「それより、オート=ギアラの方がいいんじゃない? からくりだって、あんたこういうの好きじゃない」


 二人であれこれ考えながら、旅行本片手に言い合うのは、普段の生活にはない、楽しさがあった。


 旅行道具なんかもいろいろ揃えたりして、購入先では冷やかされたりしたな。


 そんなこんながあって、当日。

 俺達は休暇を申請する事にして、町を離れる事にした。


 キャロと一緒にいろいろな場所を見て回っていき、思いっきり羽を伸ばした。


 たまに迷子になったり、お見上げの事とかお金の使い方で、衝突したりする事もあったけど、結構たのしかった。


 まとまった休みを取るのがひさしぶりだったからだろう。お給金もそれなりにたまってたしな。


 そのせいで、帰ってきた時にマリオンのおっさんや同僚には愚直られたけど。


「誰が代わりに駆り出されたと思ってんだ」なんて具合に。


 反対にいつもは突っかかって来るクオンは優しかった。


「いい喜分転換になったようでなによりです」


 って、いう感じでキャロから紅茶のお土産をもらっていた。


 そういうクオンも以前より性格が丸くなった気がする。


 いい変化だ。


 所属場所が違うようになってからあんまり話さなかったけど、元気にやってるようでなによりだ。



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