第39話 別れ
「うおおおおお! 蝕どもめ!」
「負けてたまるか!」
「どんどん魔法を撃ち込め、押していけるぞ!」
戦闘が始まった。
今自分たちのいる場所は、こちらの方が有利だが、それは全体を見て判断するもの。
一つ一つの戦場すべてがうまくまわっているというわけではない。
四方八方、見渡せば敵ばかり。
味方を探すのも一苦労するような中で、俺はソードガンを振り回してた。
「でりゃぁぁぁ!」
「オルタ! 前に出過ぎないで!」
キャロの魔法による支援があるといっても、敵の方が圧倒的に多い。
後から後から湧いてくるし、気を抜くとすぐに取り囲まれてしまう。
あたらしく改造した燃焼弾を装填してぶっ放すが、ききめはいまいちだ。
「せっかくフィーに取り寄せてもらったってのに、火耐性ありかよ」
球が当たった個体は内側からはじけるように炎の爆発を食らっているが、あまり効果的ではないようだった。
「くそっ、ならこっちだ」
コストが高い氷結弾を装填して打ち尽くす。
相手の腹に打ち込まれた弾丸が、触を凍らせて足止めしてくれる。
その間にほかのものがとどめをさしていった。
こっちは効果テキメンだが、持ってきている数が少ないのが難点だ。
しばらくはそれでやりあえていたが、やはり無理が来る。
「これで最後かっ」
数分後にすべて打ち尽くしてしまった。
残弾数に気を使っている余裕がない。
後は剣でやりあうしかない。
しかし、そこで気を取られてしまったのだろう。
「うぉっ、しまっ!」
「オルタ!」
背後からの強襲を受けて倒れた俺にのしかかるように蝕が殺到してくる。
が、
一つの影が疾走して、それらの中に飛び込んだ。
無謀でしかない戦い方をするのは、マリオンだ。
「おらぁぁぁぁ!」
大声を放つマリオンのおっさんがそいつらを、力任せになぎ払ってくれた。
いたのかおっさん。
作戦の打ち合わせ中もまったく見かけなかったから、町にのこってるかと思ってたのに。
いつもの軽口を言いたかったが、そんな余裕なかった。
上がった、息を整える。
「おっさん! 助かった!」
「私の存在も忘れないでほしいものですね」
そして、クオンも助けてくれた。
彼女の魔法が周囲の敵を根こそぎ撃破。
一気に戦いが楽になる。
敵に回すとおっかないけど、味方になると頼もしい。
「もうそろそろ時間かな」
「オルタ、あれ! アーシェが」
プリズマ=ドットにある水晶体。
その中の一際大きい水晶のもとで、アーシェが歌っているのだろう。
魔法の輝きがここまで届く。
彼女はこれから、この世界を守るために長い眠りにつかなければならない。
水晶体の力を借りて、人類が滅びるその日まで壁の進行を食い止め続ける為に。
見届けた後、撤退の指示がくだされる。
「アーシェ……」
俺達の任務は成功だ。
けれど胸の中にはぽっかりと穴があいたようだ。




