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魔道戦記  作者: taka@
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第5章 剣技授業

グレイグ魔騎士防衛学校の闘技ドームでは、今、魔騎士学科の剣技の授業が行われている。


校舎の10倍程もある大きなこのドームは、強力な結界が張られているため中からの魔法攻撃はもちろん外からの攻撃にも防衛力が高い。


そのため、この付近に住む人達は有事があった際、このドームを避難場所としていた。


当然、中で鍛練中の生徒が誤って壁を攻撃したとしても壁はびくともしない。


現在は、フレイの魔騎士学科が実戦型の剣技の授業のため、その壁に幾度となく、魔法攻撃がぶち当たっている。

壁に当たると激しい火花と共に魔法攻撃は消えた。


フレイは、自分の好きな型、ラグナソーラを構えながら

フリスレスの攻撃を凌いでいた。


「やっぱ、フレイのその型は魔法攻撃には強いな」

フリスレスが言いながら、魔法攻撃を諦め、練習用の剣を大きく振り上げた。

剣技での威力が絶大なデンプシソーラの型だ。


とたんにフレイはラグナソーラの型を解く、そして間髪を入れずに地面を蹴り、フリスレスとの間合いを一気に詰めた。


何?!

とフリスレスが思った瞬間、フレイが右から左へ剣を薙いだ。

ガキンと、フリスレスの防御アーマーに、フレイの剣が当たり、激しい音を立てた。

フリスレスが、後ろへ吹っ飛ぶ、そこをフレイは一足で間合いを詰め、上から下へ剣を振り下ろした。


ガキン

再び、金属音がする。しかし今度の音は先程よりも高かった。

フリスレスが剣でフレイの剣撃を受けたのだ。


ほう。やるな。フレイ。

ラグナソーラで、守り主体の戦いをすると思いきやすべての型を解き、最速で攻撃をした。

剣技の講師を務めていたカーロス・デュメイが密かに思う。


しかし、それを一発は食らったが、次の剣撃で反応し見事受けたフリスレスもかなりのセンスを持っているな。

と、カーロスが再び思う。

フリスレスが、フレイの腹を蹴り、後ろへ吹っ飛ばす。

続いて剣を振り上げ、一気にフレイとの間合いを詰める。

二度目のデンプシソーラの構えだ。


そして、一気に剣を振り下ろす。

フレイは、態勢を崩しつつも剣で攻撃を受け流した。

それでも剣の威力は凄まじく、左に体が流され態勢が崩れた。

フリスレスが今度は右から左へ剣を一閃する。

それをフレイは態勢を崩しつつも何とか距離を取り、交わす。


そして距離を取ったフレイは再び剣を構える。

今度は、剣を持っている右手を大きく引き、右足も大きく引いて、体勢を低く構えた。まるで肉食動物が、獲物に襲いかかる瞬間のように、低く低く構える。

一撃で相手を葬るように開発された型、ドライブソーラだ。


それを見たフリスレスはデンプシソーラの型のまま

ピタッと動きを止める。

確かドライブソーラは突きの一撃必殺の型だったよな。

スピードが早く一撃で相手を倒す事が出来る反面

失敗すると、突き終わりに大きなスキが出来る。

そこを狙うか?

フリスレスはそう思いながら、ジリっと半歩間合いを詰めた。


周りでは、他の生徒がフレイ達と同じように、剣技による実戦型の鍛練を行っていた。

そこかしこで、魔法攻撃が消え去る火花が飛ぶ。

まるで小さな打ち上げ花火がそこらじゅうで弾けているように見える。

その中で、フリスレスとフレイはそこだけ時が止まったように間合いをとったまま動かない。


遠くで火花が弾けるものもあれば、近くで弾けるものもある。

3発、4発と、二人の頬を掠める火花が散る。

それでも二人は動かない。


と次の瞬間、二人の間合いの間を誰かが放った火の魔法の火柱が横切った。


火柱が通りすぎるか過ぎないかくらいのタイミングで

フリスレスが全力で一歩踏み出し剣を振り下ろした。


剣は綺麗な弧を描く。


は、速い!

カーロスがそう思った瞬間

フレイも、真っ直ぐ一直線に剣を突き出す。

一方は綺麗な弧を描き、一方は綺麗な直線を描きながら

剣が交錯し相手の身体に触れる。

 瞬間、そこらじゅうで瞬き合っている火花とは比較にならないほどの閃光が二人の間から放たれた。

それは、小さな爆発にも似ているが、色は真っ白で常人であれば目が潰れるのではないかと思わせるような激しい閃光だった。

その閃光に、カーロスは少し目を細める。

閃光は、一瞬で儚く終わったが、その後、くすぶっていた緩い光りは長い線となり消えた。


そこに二人は居なかった。


周りで鍛練をしていた生徒達もその尋常ではない光りと音に鍛練もそっちのけで、光を放っていた場所を見ていた。


カーロスは目をつぶり、右手で頭を抱える。


 またか。


 入学してから4回目だ。


 カーロスが思う。

そして、光の線が伸びていた左右の先端方向を見る。


一方には、フリスレスが、もう一方には、フレイが倒れていた。


その近くで鍛錬をしていた生徒がフレイとフリスレスに近寄る。


「カーロス・マスター気絶しています。 」


フリスレスとフレイを見に行った生徒の2人がほぼ同時に声を上げた。


「だろうな。誰か2人を医務室まで連れていってやってくれ」

カーロスが言いながら、背を向ける。


アーマーがこれほど警戒シグナルを出すとは……。

将来、この二人はこの国でも相当の騎士になるかもな。

カーロスが密かに思う。


アーマーには余りにも激しい攻撃で相手のアーマー及び命に危険が及びそうな場合、警戒シグナルが発せられる。

それが先程見た光で、アーマーの防御力を超え、相手に怪我をさせるほどの力や、自分が怪我をするような力は、余程、能力がないと通常は発せられない。


この学校でも、一年に一回出るか出ないかだった。

そのシグナルは発せられた瞬間に、アーマー着用者を気絶させ、

吹き飛ばす。


この場合、両方の力が強すぎたため、両方に反発するように警戒シグナルが発せられたのだ。


二人は、生徒が持ってきた担架に載せられドームを出ていった。


それを見届けるとカーロスは一度皆を見渡し

「さあ、授業を再開しようか。」

と静かに言った。


丸い円形のベッドに、フレイが寝かされている。

その横では同じくフリスレスが寝かされていた。


午後の陽光が、カーテンの間から差し込む中

二人は、全く体勢を変えず、そこに寝ていた。


前では保健スタッフがいそいそとベッドの間を行き来し、何やら、ベッドの脇にある画面タッチ式のパネルを触って、ベッドの調子を確かめていた。


またフレイと、フリスレスか

とその保健スタッフは思う。

顔は全面マスクで覆われているのでどんな顔をしているのかは分からないが、背は小さく、細い身体をしている。

マスクからはみ出た白髪は、この保健スタッフのこの学校での歴史の賜物であると同時に信頼をおける証と言っても過言ではなかった。


しばらくして、フレイは目をこすりながら起きた。

ゆっくり身体を起こす。

頭がズキンと痛む。


なんだまた気絶したのか。

フレイが思う。

そして、左右を見る。


そこにはいつも通りの医務室の風景があり、いつも通りの静けさだった。


ふと、横のベッドを見てみた。


フリスレスが背の高い子供のように眠っていた。

フレイはフッと短い笑いを出し

もう一度左右を見た。


静かすぎるような気が……。


その医務室では今一切の音が聞こえてこなかった。

もしかすると、機械音やフリスレスの寝息など、細かい音は聞こえていたかも知れないが、なんというか、人がいれば分かるような気配みたいな類いのものが全く感じられなかった。


それはまるで嵐の前の静けさのようだった。


フレイ自身も微妙に感じる奇妙な感覚が、脳の本能を司る部分を刺激していた。


なんだこの感じは、これが胸騒ぎと言うものか?


フレイが思った瞬間に突如さざ波のように、医務室の前を人が通る音が聞こえる。


一瞬にして、先程の静寂が破られる。

そのさざ波は少しずつ大きくなっていく。


とその瞬間、医務室のドアが開いた。


そして、さっきまで一緒に授業をしていた

小太りのドラブルが転がるように入ってきた。


ドラブルは息が上がっている。


「どうしたんだ。ドラブル。」

とフレイがベッドの上で言った。


ドラブルは息を整えるのも忘れ

「た、大変だ!」

と言い、一度大きくゴクリと唾を呑み込む。

その音がこちらまで聞こえてきそうだ。

そして

「校内の池で、く、首なし死体が見つかったんだ。」

と言った。


フレイは、ドラブルが何を言ったのか一瞬分からなかったが

少しずつその言葉の意味を理解するにつれ、驚愕を禁じえなかった。


フレイは無意識に見開かれた目を、フリスレスの方へ向ける。

フリスレスはいつの間にか起きており、フリスレスも驚愕の表情を、フレイに向けていた。

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