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魔道戦記  作者: taka@
17/20

第16章 闘技演武大会 ジャロス対キラン3

「それが……。」

とサンクドが言葉を発した時、サンクドは、ガマから異様なオーラが出ている事を感じとった。


サンクドは一度言葉を区切り

ガマをじっと見つめる。


それと、同様にそこにいたカーロスと、ドン・バッチも異様なオーラを感じた。


ガマの色が変化し始める。


色は次々変化をし、最後には紫色になり、苦しそうにぐわっと鳴いたかと思うと、内部から破裂した。

 粘性の体液が飛び散る。


中からは、ガマの体液でどろどろになったジャロスが現れた。


ジャロスは首を深く下げ、如何にも苦しそうに肩で息をしている。


髪の毛やローブからガマの体液が滴り落ちる。


「ほう」

とサンクドが静かに声を出す。

「マジか」

とカーロスが言い、ドンが低く唸った。


「今のオーラは、なんだ?」

フリスレスが目を見開きながら言う。

「分からない。でも、何か俺達とは異質の物を感じた。」

フレイが言う。

コレブンは、ガマからジャロスが出て来た事に驚いているようだ。

カリンは、何も言わずモニターをじっと見ていた。


「今年の新学生は、面白そうだな」

とクトレヒトが不敵な笑みを浮かべ、

髪をさっとかきあげた。


「うーむ」

シュウトレスが控え室で独りモニターを見ながら声をだす。


キランは、目が飛び出そうになるくらい驚いた表情をしている。


ジャロスは、ガマの体液を被ったままさっきと同じ態勢のまま、ぶつぶつと何かを呟いていた。


「今のは、正直びっくりしたな。

覚醒する時に近いオーラだ。」

カーロスが言う。

「ああ。まさかまだ入学して、3、4ヶ月の生徒があのオーラを出すなんて………。


近い将来、あいつは闇魔法を発現するだろうな。もしかしたら、リオン様以来、学生で闇魔法を発現をするかもな」

サンクドがそこまで言うと一旦言葉を区切り、マスクの牙を仕切りに触り出した。

「そうだな。だが、オーラが出ても発現するまでに時間がかかる場合があるんだろう」

ドンが言う。

「ああ。人によっては、このオーラが出てから、1ヶ月で発現する者も居れば、10年かかっても発現しない者もいる。


現在の研究結果では、発現には感情的な要因が強く働くと言われている。


結局のところ、今のオーラは、ガマとの拮抗した力が、ジャロスの勝ちたい気持ちと相まって、眠っていた潜在的能力が発現したのだと思うが、もしここでキランがガマ一体に魔法を絞り、もっと強いガマを出していたら、ジャロスはガマに取り込まれた後、発現する事なく負けていただろう」

とサンクドが言う。


「つまり、ジャロスの根性があのオーラを出現させたと言う事か」

ドンが自分に言い聞かせるように言った。

「俺の場合は洗礼だったから、強制的に発現されたが、自然発現は色々とややこしそうだな」

ドンが続けて言う。

「洗礼も一緒だろ。洗礼をして発現する者もいればしない者もいる」

「だな」

ドンは、サンクドと会話を終えると、部屋の中に入っていった。

ナッツの入った器に手を突っ込む。

そして、ナッツを3~4個取り出したかと思うとすぐに口へ放り込んだ。

「で、どっちが勝つと思うんだ。」

ドンは、ポリポリとナッツの乾いた音を口から立てながら言った。


サンクドは、闘技場を見ている。

ガマの体液を被っているジャロス、腰を抜かしそうになっているキラン、動かない召喚獣クロコ、その一種異様とも思える闘技場の空気に、会場も静まり返っている。

まるで、何か起こる事を期待しているようだ。


その光景をサンクドが、さっと一瞥すると、

「うーん。キランかな」

と言った。


その時、唐突にジャロスの手から魔法陣が浮かびあがる。

色は赤だ。

そして、ジャロスは、ドロドロになった髪の間から

きっとキランの方を睨むと、手を前に出した。


赤い魔法陣が激しく輝き出す。

ジャロスの口からはもうぶつぶつと言葉は出ていなかった。

 フェーズが高い呪文フレアブレスの呪詛を唱えていたのだ。


「うぉぉぉぉー!」

唸りにも近い大きな声がジャロスから発せられる。

 赤い魔法陣から、チリチリと赤い火花みたいなものが散り始めた。


ヤバい!

 とキランが顔を両手で隠した瞬間

 ジャロスの身体が、突然跳ねあがった。


クロコがジャロスのあごを下から上へ思いっきり突き上げたのだ。

赤の魔法陣が消える。

そして、クロコは跳ねあがったジャロスの身体を今度は、両手で掴み、下へ思いっきり叩き付けた。


ジャロスの身体は地面で大きくバウンドすると、まったく動かなくなった。


クロコはなおジャロスの身体を踏みつけようとする。


キランは、はっと気づいたかと思うと、両手を顔から下ろしながら

「もう、終わりだ!」

とクロコに言う。


すると、クロコは上げていた脚を慌てて下ろす。


ふーっとひと息入れるとキランは掲示板を見た。

ジャロスの欄に残されていた数字が水に流され0になる。


終わった。


試合終了のホーンが鳴った。

キランは、額に浮き上がった汗を拭いながらジャロスを見た。


ジャロスはまだ動かない。


やっぱり只者じゃあなかった。

ガマから出て来たオーラは完全に俺を凌駕していた。


なんて恐ろしいやつなんだ。


結局、ジャロスは、ガマから脱出するのにエレメント<ウィズ・エレメンタルの俗称>をほぼ使い果たし、なんとか勝てたが

こいつに潜在する能力は、かなりヤバい。


勝った気が全然しないな。

そうキランは思い自嘲気味に笑みを浮かべた。


クロコが水柱に包まれ消える。


ジャロスの周りには、救護班とソフラが居る。

命には問題なさそうだが、気絶しているため、担架で運ばれて行った。


その方向をキランは見つめながら、ハイド・アンド・シークを完璧に出せた自分と、キランの底知れない力に不思議な気持ちになっていた。


「ああ、そうそう。結局、光魔法以外で、ハイド・アンド・シークってどう出すんだ。」

と、ドンが聞く。

マスクを仕切りに触っていたサンクドが、手を止め

「あれは、水と風の複合技なんだ。」

と言う。

「ほう。」

ドンが反応する。

「俺達の目は、物を見る時、物が反射する光で物を見ている。

それは知っているだろう」

サンクドが続けて言った。ちらっとドンを見る。

「ハイド・アンド・シークは、光魔法を使い、対象物に反射される光を絶妙に屈折させて、目に焦点を合わせないようにしているんだ。だから透明に見える。しかし、この光魔法の量や、強さなどをかなりの精度で使わなければならなくて、それに時間がとられるため、一瞬、一瞬が命取りになるような実戦には向いていないと言われている。

そしてそれは、今回のように、水と風の魔法でも代用が出来る。

実際、外国ではそれで代用している国もあるが、この水と風の代用は、普通に光魔法を使う何倍も精度が必要になる。

それは、水に反射する光りの量や強さ、風の強さなどを、その場その場によって絶妙に変化させないといけないからなんだが、光魔法よりもさらに実戦に向いていない事から、一部を除いて、儀礼や儀式的な事でしか使われなくなった。


キランは、おそらく依頼実戦でハイド・アンド・シークを目の当たりにし、自分で習得したんだろう」

サンクドはそこで一旦言葉を区切る。

「でも、そんなに早く習得出来るような物なのか」

ドンが言う。

「いや、さっきも言った通り、相当な精度の魔法技術が要るため、すぐに習得出来るよう代物じゃない」

サンクドはまたここで言葉を切り、マスクの牙を撫でながら

「元々、キランは魔法の使用において群を抜いて器用だったが、まさかここまでとは俺も思わなかった」

 と言う。

「今回の学生達は、本当に面白いやつが多いな」

 とカーロスが言った。


一方フレイ達の方は、次の試合がフリスレスだと言う事もあって、今の試合の余韻も残しつつ、ハイド・アンド・シークの謎も分からないまま、頭は次の試合に向いていた。


「フリスレス、次だ。入場ゲートへ」

と、この大会の誘導員を勤めている<火炎の竜剣士>ことナンボジーク・クレイネが、控え室の入り口から顔を出し言った。


ナンボジーク・クレイネは、緑の目に、髪は耳までかかるかかからないくらいで分け目はなく、一見、子供のような幼い顔をしているが、そのオーラが凄まじい事は見ただけで分かる。

噂ではその緑の目は竜を宿している証だと言われている。


「おおーし!いっちょぶちかましに行ってくるわー!!」

とフリスレスが言い、ナンボジークと共に、控え室を後にした。


そして、Ⅰブロック最後の試合が始まる。







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