第9章 カーロスとサンクドの語らい
魔導魔騎士武道会開始のホーンが闘技場に鳴り響く。
カーロスは西にある観客席の真ん中あたりの
講師陣が控えている部屋にいた。
その部屋からは、闘技場がよく見える。
闘技場では、次の魔導魔騎士武道会の選手が集合し、観客に向け手を振っていたり、剣をかざし
各々がアピールをしていた。
カーロスの隣に、〈咆哮する獅子〉の異名を取るサンクド・ツッペリンがやってくる。
「今年は豊作だな」
サンクド・ツッペリンが言う。
カーロスは、ちらりとサンクドの方を見る。
サンクドは、銀色の牙が縁に取り付けられた黒いマスクを着けており、猛獣が大きな口を開けているように見える。
身長は、165CM程と比較的小柄で、体格も一見すると子供と思う程、華奢で小さい。
そして、顔半分を覆う程の大きなマスクは、サンクドの顔のサイズに合っているように見えず、その体躯の華奢さを際立たせているように見えた。
身体は、黒いマントで覆われており、髪の毛は、肩にかかるくらいの長さだ。
「ああ。今年はすげーよ」
カーロスが返す。
「まずは、魔騎士最終年度のシュウトレスに、女騎士のカザフ。この二人は、今まで見てきた学生の中でも、トップ10に入る程強い。
そして、シュウトレスといつも一緒に練習をしているクトレヒト、もし同じ学年にシュウトレスがいなければ、十分に学年トップを取る事が出来る実力があるだろう」
カーロスが続けて言った。
「だな」
とサンクドが言う。
「だが、魔導士学科もすげーぞ」
と続けてサンクドが言った。
カーロスはサンクドの方をまた見る。
「今年最終学年度のジュード、女魔導士のキュリフは、一人で、炎帝ソラスを召喚出来る程の実力をつけているし、カラミヤンは、すでに校外実習で、3度北の森に居る巨大蜘蛛ドラミキュラを倒している」
「ほう。3度もあのドラミキュラを倒しているのか。カラミヤンは」
「ああ」
「さすがに、この学年は歴代最高の年代と呼ばれるだけあるな」
二人は、そんな話をしながら、なんとなく初年度学科の方を見た。
「しかし、初年度学科にも有望なやつがたくさんいるぞ。魔騎士学科で言えば、フリスレス、フレイ、初年度で、魔導魔騎士武道会に選出される事自体が珍しい女騎士のカリン、そして、ソフラが受け持っている魔導士学科では、キュリオス、ダロ、ジャロスが居る」
とカーロスが言う。
「ほう。多いな」
とサンクドが言う。
「ああ。あのフレイは、このサン・イル・トマレイ最高の魔導士と呼ばれるリオン様の息子だし、フリスレスは、フレイとよく練習を行い、あのアーマーの防御力を一瞬でゼロに出来るほどの攻撃力がある。しかも体に似合わずスピードが速い。そして、女剣士のカリンだ。あいつは、男に及ばない力を魔法で補いながら、とてつもないスピードで技を繰り出す。その中でも短剣の技は凄まじいぞ。俺は学年で一番だと思う。」
とカーロスが言うと
「それはすげーな」
とサンクドが言った。
そしてサンクドは、シュウトレスにゆっくり目を向けた。
「だが、さすがに歴代最高の年代と呼ばれるシュウトレス達には、敵わないだろう」
とサンクドが言う。
それを聞いたカーロスは、ダロ、ジャロス、キュリオス、カリン、フリスレス、フレイを順に見つめる。
そして静かに口角を上げた。




