24、お飾り会長は楽でいい
紅葉に染まりつつあるこの時期俺は1人ポツンと無駄に大きいテーブルを前に座っている。この部屋には歴代の生徒会の写真が飾られており前会長の天戸さん、勿論姉の姿も写っている。
「はぁ、会長しか決まってないってそんな事あるのかよ」
結局大会などで忙しく生徒会メンバーを集める事が出来ていなかったのだ
「書類整理だけでもしてしまおう」
途方にくれる程の書類の山を片付けていると生徒会室の扉が開く、そこには身長は千咲位だろうかポニテールの女の子が立っていた。
「えーと、何かご用ですか?」
女の子は周囲を見渡し口を開く
「貴方だけですか?」
女の子は無機質な声で問う
「え?あ、あぁ俺だけだけど。なに?」
誰?ネクタイの色からして1年生だよな
女の子はため息をつき副会長の席に荷物を置き俺の前にやってくる
「初めまして二宮会長、私1年の畠山千鶴と申します。天戸さんに推薦されて今回副会長をやらせてもらうことになりました。お見知りおきを」
「え?副会長!?君が?」
彼女は怪訝な顔で話し始める
「ご存知なかったんですか?はぁ、あの人は本当いい加減な所がありますね・・・」
天戸さんにぼやきながら目頭を指で摘みやれやれといった動作をする
「会長しかいないという事は他のメンバー決まっていないんですね?行きましょう早く立ってください」
さっさっと行ってしまおうとする畠山
「ちょ、待って行くってどこに?」
彼女は振り向き淡々と
「メンバー集めです、書記は来年の新一年生から決めるので置いておいて、まずは会計です私に知る限りでは会計はあの方しかいません」
畠山に連れられ着いた所は情報準備室
畠山はノックをし部屋に入る
「失礼します、ご無沙汰してます先輩」
「あれー?チズじゃんどしたの?げっ!?二宮何でいるし」
そこに居たのは我がクラスのギャル担当海野
「海野こそ何故!?」
「会長、会計は彼女、遥先輩しかありえません」
突然の事で頭が・・・海野が生徒会に?いやいや無いだろう
「待って畠山さん、海野は一見ギャルだけど後輩に優しくて家庭的な所もあけがそれだけだぞ?」
「地味に褒めんなし、照れるじゃんか」
まんざらでも無いように照れる海野
「会長知らないんですか?遥先輩のパソコン技術を、毎年生徒総会の統計データや学校のネットワーク構築してるの遥先輩ですよ。この方以外に会計にふさわしい人がいますか?」
いやいや、結構初耳な事が一杯なんだけど
「ん、いや構築て、おま、凄いな!でも海野は会計なんてやらないだろ?」
「何?あんた生徒会にあーし入れたいの?いーよ暇だし。生徒会室の方が何かと出来そうだし」
「レスがはえーよ、良いのか結構生徒会忙しいぞ?」
「問題ないしー、てかあんたの生徒会女しかいないねぇ、王国でも作る気?」
「へ、変なこと言うなそんなつもりないわい!」
と言いつつも畠山さんの様子をチラ見してみたり・・・
「私は会長の人間性なんてどうでも良いです、ただ自分の組織するボスですからそれをサポートするだけです」
「武士みたいだなお前は・・・」
兎にも角にもこれで三人、生徒会発足だ。
初仕事は決算と来年度部活、行事の予算決議だ
各部長達が会議室に集まり予算を検討する
サッカー部部長 加藤
弓道部部長 田口さん
俺のクラスの面々もいる
進行は畠山さんだ
「では予算検討に入ります、まず合理的に考えた結果活動において結果を残していない部活に関しては部費をカットし、前例のある部に振り分けたいと思います」
「はぁ!?何言ってんだ!」
「去年はそんな事なかったわよ」
「結果で全部決めんのかよ」
などまぁそうなるだろうなと思っていた事態に陥る
「結果の出ていない部にお金が渡せますか?」
あれだけ反感をかって何故ここまで堂々と出来るのか、強い!この子強いよ!
ここで俺が口を挟む
「あー皆、こんなのはどうかな?結果の出ている部には追加で、出せていない所は取り敢えずそのまま。1年猶予を与えてそれでもダメな場合にカットする。カットされた分は全校生徒に何かしら還元されるようにするからさ、ね?悪くないとは思うんだけど」
それに対し加藤、田口さんが賛成
他の皆もそれならと了承する
「畠山さんもそれで良いね?」
「はい、問題ありません」
会議が終わり一息つく
「皆お疲れー」
海野がお茶を淹れてくれる
「サンキューおかん」
「誰がおかんだし」
「先程は流石でした会長」
「え?あぁありがとう前にもあんな事があったから過去を踏まえてって感じかな」
「畠山さん、結果を見て直ぐに結論を出すのは悪い事ではないけれどちょっと急ぎ過ぎたね」
「私は間違っていなかったと思っていますが?結果が全てです感情論でこのご時世やっていけるとお思いですか?ただ、今回は皆さんは分かってくれなかったみたいですが・・・お先に失礼します」
「いやー言いたい事全部言われたって感じだなぁ」
「あの子はあーゆう感じの子だから、合理主義って言うのかな信念があるんだよねーまぁ団体行動には向いてないけどね。あの性格のせいで結構勘違いされやすいんだよね、冷血、鉄仮面とか言われてさ」
そうなのか、このままじゃいかんよなぁ
家に帰りテレビを見ている姉に相談してみる
「姉さんはさ、生徒会どんな感じだった?」
「ん?どしたの急に?あー会長になったんだっけ?そうだなー私表面上だけで細かい事は他の皆がやってくれてたよ。紗恵子もいたしねー」
参考にならん、ちっポンコツめ
「でも、人って頑張っている所見ると悪者には出来なくなっちゃうのよねぇ」
俺の方を向きニマッと笑う姉
「まっ、がんばんなさい」
そう言いながら俺の鼻を摘む
ある現場を見てしまったのは昼食を終えた後だった、校庭のベンチで1人お弁当を食べる畠山さんに向かって3人で何か言っている。気になってこっそり近づく
「あんたさ、何様のつもりな訳?」
「生徒会がそんなに偉いの?」
「なんとか言いなよ!」
うわぁ、修羅場ってやつか、俺が行っても誰こいつってなるだろうしな・・・
言われている事に対して意に介さずご飯を口に運んでいく畠山さんを見て腹が立ったのか1人が肩を押す
するとお弁当が地面に落ちる
「あ、あんたが無視するからよ!」
ついに畠山さんは口を開く
「貴方達は、徒党を組まなければ何も出来ないの?集団行動なんて自分のお荷物の何者でもないのよ。それを好んでする貴方達は愚かだわ」
言うなぁ、海野が言ってたのこれか・・・
「あんたは1人でもやっていけるものね、優秀なんだから!それに何?友達作りが下手なのを言い訳にしか聞こえないんですけど」
「確かにw」
「うけるーw」
確かに友達作り下手だな、うん。
「優秀優秀って、随分と優劣を決めたがるのね、そんなに自分に自信がないの?よくいるのよ交友の多さででしか物事を測れない人、貴方は恐らくさっきの事で私に突っかかって来てるみたいだけど、そう見られる為の努力をした?努力すらしていない人間にそんな事言われたくない」
「うざっ!もう行こ!」
図星だったのかバツが悪くなり逃げ去る3人組
落ちたお弁当を拾い指で目の当たりを拭っている姿を見る
泣いてる?あの子は普通の女の子なんだあんな事言われるのも言うのも心が痛まないわけが無い
気付いたらおれは声をかけていた
「畠山さん、大丈・・・夫?」
「え?会長?どうしましたか?」
「今泣いてたんじゃ?」
「誰がですか?私は目にゴミが入ったんで拭っていただけですが」
前言撤回彼女は普通の女の子じゃないサイボーグか何かだ
慌てて近寄った自分が馬鹿みたいじゃないか。
「見てたんですね」
「ごめん、盗み見する気は・・・」
「あれが周りからの私の評価です。会長は・・・まぁ天才とか言われた事がないから分からないでしょうが」
「さらっとディスってんじゃねぇよ」
「天才と言われて来た人たちは何もせずに言われるようになったわけじゃありません。努力があったからこそです。何故何もしていない人からあんな事を言われなければならないのでしょう、理解出来ません。」
「分かるよ、俺の周りにはそんな奴らが沢山いるから。でもあれは少し言い過ぎかな」
「何故です?当然のことを言ったまでですが」
「大人になれよ、敵対するとかじゃなくてさ、なんというか無難に立ち回るとか。適応してくんだよ社会に」
「その理屈だと言われ続けろと言われているように思えますが、会長Mなんですか?」
「ばっか、なんでそうなんだよ。同じ土俵に上がる必要はないって事だよ。お前はちょっと論理的に事を考え過ぎなんだよ考えるのは得意なんだろう?なら考えろ、自分の考えを。考え抜いて最善を見つけるんだ、間違えることは罪じゃない人間誰もは間違えるそうやって間違って生きていくんだ。その間違いを正し合って相手の本心が見えてくるんじゃないか?恐れるなよ、間違いを。それに、頑張っている人間を悪くいう奴はいないみたいだぞ」
「その行為が理にかなっているとは思えませんが、私に必要なのはそういう私が無駄と考えている事なんでしょうね。なんだか吹っ切れましたありがとうございます」
畠山さんは不器用ながら皆に歩み寄っていた
畠山さんの努力を見ていた周囲は最初は駄目だったが徐々に皆気付いてくれたみたいでそれ以来、少しづつ彼女への反応が変わっていった。
畠山さんからも以前なような物言いは減ったし、俺には変わらずだが・・・
「あ、会長おはようございます」
「おう、最近上手くやってるみたいだな」
「えぇ、お陰様で。会長」
「ん?」
「ありがとうございます」
「悪いなんて言った?」
「何でも無いですよ」
初めてみた畠山さんの笑顔、彼女はこんな風に笑うのか
「はー、二宮あんたその難聴何とかしたほうがいいよ。あと何人落とせば気がすむ訳?」
海野に呆れ顔で言われ何のことかさっぱりわからん
「さっお仕事しますよ会長、遥さん」
なんだか生徒会が明るくなった気がする、




