19、得たものの割には代償がでかい
さて、初日も無事?終わりそして何故だか相澤の嫌がらせが酷くなっていて心中穏やかでは無いが2日目の今日、一般開放日で家族が来るのだ。
そう、あれは今朝の出来事だ。
「はぁ!?」
目を覚まし布団を捲るとそこは絶対あかんぜよという所にこいつらは居た。
俺の股の間に器用に2人潜り込んですやすや寝ていた。
こいつら、わざとか。わざとだよなぁ!これ!
「いい加減にしてくれぇー!!」
朝一番に俺の決して届かない叫びが響く。
「あんまり大きい声出さないでよたっくん、頭に響く」
「お兄ちゃん、私達最近出番が少ないからこういうインパクトのある出方をしないと忘れられちゃうのよ。タイトルだって姉と妹なのに全然絡み無いし、学校の女の子達ばかりでだし・・・」
なんかブツブツ言いだしたので無視をする。
うん、俺は何も聞いていない。
「だからって年頃の女の子がこんなことしたらいけません!」
よりによって股って・・・
無理やり2人を納得させ居間に行く
「おはよう〜」
3人揃って母と挨拶を交わし椅子に座ると既に1人座っている
「おはよう、皆」
父である。新聞紙をばさっと広げ格好つけて挨拶をしてくる。
「お父さん、食事中に行儀が悪いですよ?」
母に叱られそっと、新聞紙をしまう。折角格好付けたのに・・・
「それはそうとかな君、今日一日空いてるから皆で遊びに行こうと思うんだけど。
どうかしら?」
「母さん今年は一般開放が無いから無理なんだ、ごめんね」
あんな姿見られてたまるか!
「あらそうなの?残念ねぇ。」
「嘘よ母さん!大嘘!今日はたっくんの晴れ舞台よ!」
ちぃ!姉さんめ、余計な事を!
「まぁ、それじゃあなおさらね」
「お兄ちゃん、メイドやってるんだってさ」
ちょ!おい!何で知ってんだ!
「ほぉ、興味深いな・・・」
興味深くねぇよ!早く出張しに異国へ帰れよ!
「私に似て可愛いんだよ!」
それは俺も同感
「なんと!やるなぁ、奏汰。」
もうどうでもよくなってきた、撮ってくれ。写真でも何でも。好きなだけ。
けどな、俺の体は好きに出来ても、心だけは思い通りにはならないからな。
あれ?これなんか無理やり何かを強要される女の子の台詞じゃないか?
なんてエロゲですかこれ。
以下朝の回想である。
流石というばかりか、この地域でそこそこ有名な啓南の学祭なだけにもう結構な一般の方が集まってきている
まぁ無理も無い、わが校は進学校ではあるがこういう行事にも毎年力を入れているのだ。
今年は異例の3日間学際だけど・・・
初日は生徒だけで行われ、2日目で一般開放。が一連の流れなのだが。
何てったって今年は3日間。2日目の今日、一般開放そして毎年恒例ミスター&ミスコン。
壇上に立ちなんやかんややってもらい、それを見る客と生徒達。
つまり生徒と一般の方々の票で今年のミスター、ミス啓南が誕生する。
因みに選ばれた2人は後夜祭のフォークダンスを2人で踊る伝統があるらしい
あ、別に絶対ではなく断ってもいいらしい、実際去年姉さんが断って俺と踊ったし。
視線がマジで痛かった・・・特にミスターからの目線が・・・
まぁミスター、ミスコンなんて俺には縁の無いイベントだな!
こんな事を考えてしまった俺は後で物凄く後悔する。何か大切なものを無くしてしまう事になるとは
思いもしなかったのである。
フラグって怖いわー
「てなわけで、今年の男コン、女コンは奏汰と相田で決定ね」
悪夢だ・・・
朝のHR、今日開催の男女コンの出場者がまさに今決められ、しかもくじ引きという形で決まってしまった
「が、がんばってね二宮君!」
田口さん・・・
「応援してるよ~(笑)」
楽しんでるようだな海野よ
「俺も司会だし上手くサポートするからな!」
圭・・・
「いっそ女装のまま出たら優勝出来るんじゃない?」
金澤冗談でも辞めろぉ!
「奏汰、応援してるよ」
悠一お前が出れば楽々優勝出来るよ?
「やればいいんだろ!やってやるよちくしょー」
俺は腹を決め男コンを諦める事を諦めた
校内の放送音が流れ会長、天戸沙恵子の声が流れる
「えー皆さん今日は一般の方もいらっしゃるので問題は起こさないでちょうだい。
それと今日の男コンですが、今までの趣旨を変え男子女装コンテストを開催しようと思います。
そういうわけで啓南祭二日目スタート!」
女装コンと聞いた途端俺のクラスは勝利を確信し盛り上がる
そしてこの放送は俺のメンタルを粉々にするには十分すぎる程だった・・・
今日一日ずっとこのまんま・・・か。
2日目我がクラスメイド喫茶は変わらず大盛況。
うちのクラスは顔面偏差値がやけに高いのが多い気がする・・・
店内が急にざわつき何事かと確認しに行く。
二宮家大集合、なんとまぁお早いご到着で。
「え、あれ母親?姉じゃなくて?」
「じゃああっちは父親か、渋いわね」
クラスメイト達がひそひそ話しているのを横目にせめて早く帰ってもらうように全力を注ごうと心に誓う
「来るの早すぎない?」
「あら~かなくん、今はかなちゃんかしら?」
頬に手を当てうふふと微笑む母
「女装しただけで性別まで変わってたまるか!」
「中はどうなってるんだ?本物は履いてるのか?」
俺のスカートをぺラっとめくりだすクソ親父
「次やったらブンナグルゾ!」
圭に必死に抑えられながら警告するが当の本人は笑っていて聞く耳無しだ
「おねぇ・・・お兄ちゃんとても似合ってるよ。」
今お姉ちゃんって言おうとしたよね?ね?
「何度見ても私そのものだねぇ!鏡見てるみたいだよ~。
でもさ・・・」
急に胸をわし掴みされ戸惑う
「顔は一緒なのにおっぱいはそっちが大きいってどうゆうこと~」
胸の格差を知りわんわん泣き出す姉。
「男に負けた・・・」
そもそもパットだし。俺の胸が膨らんだわけでもない。
「確かに梓は関ヶ原みたいだもんな!」
はっはっは、と笑う父
あぁ、どんどん姉さんが薄くなっていく。
やめてぇ!もう姉さんのライフはゼロよ!
「私は大きいのにねぇ・・・何故かしら?」
母の無自覚天然攻撃が炸裂。完全な死体撃ちだ
結局何しにきたのか分からないまま姉が攻撃され4人は帰っていった
「相変わらず嵐のような一家だな」
ポンっと肩に手を叩く圭
あっという間に時間は経ちとうとう女装コン、ミスコンが開催されてしまう訳だが
アピールとか何にも考えてないんだけど、どんなことすればいいんだ?
まいっか、適当で行こう
俺の前の出場者が次々と呼ばれ女装コンが始まろうとしていた。
「皆さんお待たせしました、司会進行は放送部副部長朝倉圭と」
「同じく放送部部長浅井文香が勤めます」
生徒達の拍手喝采で女装コンはスタートした。
出場者紹介の半分が終わり俺の出番が近付いてくる
「いや~女装って見てて面白いけど結構気持ちが悪いですね~、ねぇ部長」
「そうね、今の所ぎりぎり見ていられるレベルでは来ているわね」
どうでもいいが実況が酷すぎる、気持ち悪いはないだろう・・・
「さぁお次は本命中の本命。二宮奏汰君です!」
おぉ!とどよめきが起き女子からのキャーという歓声が上がる
最前列には二宮家、カメラのフラッシュがめっちゃたかれる
格好は出店のメイド服のまま、問題はここから何をするかだ
ここはもしも俺がメイドにされてうれしい事を想像し実行するだけだ!
一旦男を捨てろ奏汰!かなちゃんになりきるんだ!!
俺のどうでも良い特殊技巧ミックスボイスで挨拶をする
「皆私に投票してください♥」
両手でスカートをつまみお辞儀をし逃げるように退場
観客側からは歓声が聞こえ絶対入れるよー!などの声が聞こえる
終わった・・・遂に地獄が
「可愛かったわね、もう彼が優勝でいいんじゃない?」
「もう飽きちゃったんですかー?まだ後控えてますから見ましょうねー」
「わかったわよ、残りの消化試合見てあげようじゃない」
女装コンが終わり優勝者発表の為壇上にまた並ぶ
「第一回女装コンテスト優勝者は、もちろんこの人。2年二宮奏汰。
おめでとう、とても可愛かったわ、梓先輩にそっくりね」
「あ、どうも」
うれしくねぇ~めっちゃ複雑な気持ちだな
「ミス啓南の女コンは最終日の明日行われるので皆さん明日もお楽しみにー」
こうして女装コンは終了した
来年は絶対に出ないぞ!そう心に決めたのだった




