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Episode 4 : この話は何 ①





鱗は石膏のように白く、柱のように太い4対の脚からは長く湾曲した爪が生えていた。巨大で細長い体は無数の背びれに覆われ、尖った尾は平たくなっている。

馬鞭4本分にも及ぶこの体は、紛れもなく巨大な爬虫類の体だ。



しかし、よく観察すると、いくつかの異常が見られる。



顎はサメの歯のように密集しており、口から突き出ている。他の一般的な爬虫類とは異なり、必要に応じて歯を覆う唇がない。


鼻の両側からは、ナマズのような長い触手が何本も突き出ている。しかし奇妙なことに、これらの触手にはそれぞれ小さな口があり、そこは歯がびっしりと並んだ列で埋め尽くされており、裏面のどの部分も覆われていないところはなく歯だらけ、まるで蛭の口のようだ。


コウモリのような巨大な翼を持ち、翼の骨を覆う薄い膜には無数の血管が浮き出ている。



そして最も驚くべきことに、額には3本の角が生えている。これはこの世界の常識を覆す進化上の特徴である。



そのため、伝説によれば、これは神々の創造物であり、愚かな人類を抑止するために神々が作り出した武器である。



それはドラゴン。




なお、この白い石膏のような鱗を持つドラゴンは、氷竜である。ドラゴン科の中でも最も一般的な亜種の一つだ。理由は不明だが、氷竜の数は他のドラゴン種の20倍も多い。そして常に一箇所に集まる。それは、一年中寒さが支配する世界の果てである。



氷竜は知性を持ち、人間の言葉を理解しているようだ。しかし、何らかの存在に操られているようで、人間と意思疎通を図ることは稀である。人間が彼らの言葉を記録できた数少ない機会も、しばしば支離滅裂で、たとえそれらを集めてつなぎ合わせても、人間は彼らのメッセージを理解できない。


通常4匹の群れで現れ、基地から特定の領域へ不定期に飛来し、そこにあるすべての生物を滅ぼしてから去っていく。


伝説に記されている通り、愚かな人類を戒め、絶望をもたらすためだけに生まれたのだ。



人間は基地の近くに多数の監視所を設置し、常に監視を続け、4匹の群れが出発したことを即座に報告することで、彼らの動きを予測し、被害を軽減しようと試みてきた。しかし、ほとんどの場合、効果がない。




そして今、ここに、3本の角を持つ巨大な白い竜が数台の馬車に引かれている。


それは竜の死骸であり、死んでいる。


目は大きく見開かれているが、瞳孔は空虚だ。


体には数カ所、血である紫色の染みがついていた。この罪深い生き物は紫色の血を流している、この世のどの聖職者にとっても忌まわしいものだ。



周囲の群衆の歓声の中、車列は進んでいった。



最も高く、最も目立つ場所に立っていたのは、端正な顔立ちと白髪の青年だった。


彼は王国の王太子である。傍らには、聖女、騎士、そして魔導士がいた。




この一行は、歴史上前例のない偉業を成し遂げた。


ドラゴンの群による攻撃を撃退することだった。


彼らは1匹を倒し、3匹に重傷を負わせ、撤退させたのだ。





この奇跡が実現したのは、何よりも聖女であるヒオリ様の功績です。



根元が黒く染まった茶色の髪と、黒い瞳を持つ少女。


彼女は稀有な才能の持ち主で、膨大な量の聖なる魔力を宿し、常識を覆すような新たな魔法を次々と生み出していた。


噂によれば、聖女様の得意とする魔法の一つは、聖なるエネルギーを巨大な十字架の形に具現化し、それを近接武器として用いることだったという。



彼女の尽力のおかげで、この一行は絶望を象徴する存在、氷竜と互角に戦うことができたのだ。



人々は彼女を愛し、崇拝した。彼女を中心人物とするカルト集団さえ出現し始めていた。





=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=





王室の研究者たちに希少な氷竜の死骸を引き渡した後、



勇者一行は解散し、それぞれ別の道へと向かった。



慣例に従い、勇者達を称える盛大な宴が催されるはずだった。



しかし、彼らは全員、あることを実行しようと事前に申し合わせており、協力して国王を説得し、表彰の行事を7日間延期してもらうことにした。





=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=





豪華な部屋で、聖女ヒオリと騎士団総長の息子が向かい合っていた。

彼は彼女と共に竜と戦った者であり、父親のコネではなく、自らの力で第三聖団の騎士団長の地位に上り詰めた、勇敢で高潔な男だった。




聖女は戦いが終わったらここで会い、大切なことを話すと彼に約束していた。

彼女ははっきりと口にはしなかったが、騎士は彼女が何を言おうとしているのか確信していた。

それはまさに彼が待ち望んでいた言葉だった。




二人は、ロマンチックな夜のために作られた、赤く輝く魔法石の薄明かりの中で向き合った。〈と、ある研究による、この光は視力に極めて有害らしい。良い子はマネしないでね。〉



聖女は口を開いた。騎士が望んでいた通り、彼女は彼への真の気持ちを告白した。それは、愛という浪漫の感情だった。

聖女は、学園で共に学んだ時からずっと、彼だけを愛していたのだ。



騎士は彼女の言葉に心を動かされ、聖女を強く抱きしめた。そして、彼女の耳元で、自分も同じ気持ちだと囁いた。ずっと彼女を、彼女だけを愛していたのだと。



そして二人は情熱的なキスを交わした。物語はハッピーエンドを迎えるだろう。二人は幸せな結婚をするだろう……



グサッ



聖女は、騎士にキスをしながら、片手で彼の首を強く掴んだ。しかし、もう一方の手には、まるで光でできているかのような、光り輝くナイフを握りしめていた。いや、それは光ではなかった。人間の理解を超えた物質、宇宙エネルギーから結晶化した物質だった。



聖刃は騎士の胸を貫き、心臓を直撃した。



この武器は、聖女ヒオリがしばしば作り出す巨大な十字架と同じ素材でできており、その貫通力は想像を絶するものだった。どんな鎧も、まるでパン生地を切るように容易に切り裂くことができた。単に鋭いだけでなく、素材の構造そのものに作用し、触れるものすべてを破壊した。



聖刃が心臓に達したことを悟った聖女は、手のひらに魔法陣を発動させ、ナイフ全体を白い物質へと変化させた。その物質は騎士の胸の中へと完全に入り込んでいた。



そして、爆発した。




爆発によって騎士の心臓は完全に破壊された。しかし、それだけではなかった。白い物質は全身に広がり、血管を通って他の重要な臓器にも到達し、それらを機能停止させた。こうして騎士は、理解もなく即死した。



死体は床に倒れ込んだ。



聖女はそれを無関心に見つめ、再び呪文を唱えた。彼女の傍らに黒魔術陣が現れ、そこから醜悪な生物が現れた。緑色で、手のひらほどの大きさだった。



召喚されるやいなや、それは騎士の胸の穴へと這い込んだ。

しばらくすると、死体は痙攣を起こし、まるで生きているかのように立ち上がった。

目ん玉は緑色に変わったが、身体自体の動きは滑らかで、運動機能や認知機能に障害の兆候は見られなかった。



ヒオリはその光景を見て、邪悪な笑みを浮かべた。





=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=





そしてヒオリは、王太子と魔導士ー宰相の息子ーにも同じことをした。


どうやら彼女は3人全員に同じ約束をしたようだ。


いつまでもあなただけを愛しますっても。ハグも。情熱的なキスも。


1日目:騎士、2日目:王太子、3日目:魔導士。


かつては強く正義感にあふれた3人の男は、今や虚ろな緑の瞳を持つ操り人形と化した。





=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=





2日後。




騎士団総長の息子は、国の南端で大規模な魔獣侵攻が起きていると父を騙した。彼は巧妙に情報を捏造し、反対者や疑念を抱く者を権力で黙らせた。その結果、精鋭騎士団の大部分が王宮から遠く離れた南へと派遣された。



王太子はヒオリの命令で、すべての城門を開放するよう命じられた。それは、多種多様かつ膨大な数の魔獣が投入された、王都に対する大規模な襲撃であった。しかも、それらの魔獣はなぜか、ヒオリのあらゆる命令に大人しく従っていたのである。宰相の息子自身もこの攻撃に加わっており、その卓越した魔力は恐るべき脅威となっていた。





すべては順調に進み、魔獣の大軍は王宮の衛兵を圧倒した。混乱は王宮を席巻し、城門を破壊した。


この隙をついて、ヒオリは王宮に潜入した。


彼女は道中で遭遇した騎士たちを次々と無力化していった。目的地は、王宮内の非常に縁起の良い場所に立つ柱だった。王宮にはそのような柱が全部で20本あった。




ヒオリは聖なるエネルギーで十字架を作り出した。両手でそれを握りしめ、力強く柱に振り下ろした。



十字架は砕け散ったが、柱は無傷だった。

黄金の膜が柱を包み込み、ヒオリの聖なるエネルギーをも凌駕する神々しいオーラを放っていた。



ヒオリは武器が破壊されたことに驚きを見せなかった。彼女はこの黄金の防御膜の存在を事前に知っていて、〝とりあえず、一発殴って試してみよう~〟としているだけだ。


何気ない様子で、腰の横にある袋から、小さな包みを取り出した。中には漆黒の球体がいくつか入っており、鼓動するたびに深紫色の波紋を放っていた。



ヒオリは球体に向けて呪文を唱えると、球体は瞬時に空中に浮かび上がり、そのまま柱へと直撃した。衝突直後、強大な衝撃波が巻き起こった。



防御膜は消滅したが、球体も消え去った。



そしてヒオリは、純粋な力だけで容易に柱を破壊した。




=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=



すべては順調に進み、ヒオリは15本の柱を破壊した。



彼女はそれぞれの柱の位置を正確に把握していたようだった。





16番目の柱を破壊するために球体を準備していた時、突然背後から何かが飛んできて彼女の肩に直撃し、深く突き刺さった。




それは、まばゆいばかりの碧色の刃を持つ大剣だった。


月光の聖剣――王国最強の騎士にのみ受け継がれる武器。


ヒオリは腕で剣を引き抜こうとしたが、びくともしない。そこで彼女は呪文を唱え、無理やり体から剣を押し出した。そして、自身の優れた聖魔力を用いて、傷を完全に癒すための基本的な呪文を素早く唱えた。




大剣が飛んできた方向から、長身の中年の男が音もなく近づいてきた。




幽銀の鎧を身にまとったその人物は、王国最強の騎士、騎士団総長だった。


彼は、目の前の現実が信じられないといった様子で、驚きの眼差しをヒオリに向けた。


彼はヒオリの行動について問い詰めた。ヒオリは挑発的な言葉で応じるだけで、自分のことは何も語らなかった。



対話が不可能だと悟った王国最強の騎士は、大剣を手に呼び戻し、戦闘態勢に入った。




ヒオリは彼の意図を察し、神聖な素材で聖なる十字架を創造した。


彼女がこの能力を頻繁に用いるのは、それが彼女自身が生み出した唯一無二の能力だったからだ。


聖属性はあらゆる属性の中で最強と言われている。


しかし、これまで聖属性を用いた者は皆、超支援魔法としてしか使用できなかった。致命傷を癒し、あらゆる呪いを浄化し、1個師団の速度を倍増させることはできたが、攻撃に用いることは決してできなかった。



そのため、聖なるエネルギーを具現化し、それを武器として用いるヒオリの能力は奇跡だった。歴史上、誰も成し遂げたことのない偉業だった。


十字架を握りしめ、相手の次の攻撃を阻止する準備をして、意図的に十字架を破壊、聖属性の物質による爆発を解放しようと計画した。それは騎士の視界を奪い、あるいは混乱させる効果があったはずだ。そして彼女は、その一瞬の隙を突いて反撃に出た。



ザシュッ


背後から誰かが彼女を斬りつけた。直後、彼は背後から彼女の首を掴んだ。大量の魔力を注ぎ込み、柱に付着した黄金の物質と全く同じ性質を持つ膜を彼女の全身に作り出した。


それは、ヒオリがしばらくの間、魔法を使うことを阻んだようだった。



間髪入れずに、暗殺者もどきは彼女の急所を次々と突き刺した。一突き一突きは完璧で、決定的だった。そしてヒオリは即死した。


幽霊のように現れ、この残虐な行為を行ったのは、この王国の王様だった。



=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=


エンド・オブ・【この話は何、その1】


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