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Episode 2 : 王太子殿下と出会う




4日後。




ついに、王太子アマウリーが現れる日がやってきた。




この4日間、公爵家は相変わらずだった。お父様は笑顔、お父様はお母様に叱られ、まだ家族で夕食を共にしておらず、お兄様と私は家庭教師の勉強をしていた。



今日、早朝、王太子殿下を乗せた馬車が我が家に到着した。

あれはまばゆいばかりに豪華だった。



太子が屋敷に入ると、公爵の家族は丁重に迎えた。ちなみに、お兄様は今日は不在だった。何かの知識を学ぶために、早く王立図書館へ出かけたのだ。私が気を失って以来、お兄様は何かを成し遂げようと決意しているようだった。



それから、お父様、お母様、そして太子殿下は応接間へと進んだ。太子は一人でここに来た、高位の騎士らしき数人に囲まれていた。


私は王子の向かいに座り、テーブルには高位お菓子とお茶が並べられていた。両親は少し離れたところから様子を伺っていて、まるで私たちがお互いを知る機会を作ってくれているかのようでした。



=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=



会話は順調に進みました。太子殿下は社交的で明るい印象でした。私も前世で培った知識を駆使し、頭をフル回転させてニューロンをすべて使て優雅に返答しました。


すべてがうまくいきました。殿下が微笑み、私も微笑み返しました。



殿下の笑顔を見て、ふと「本人のアデレード」はこの出会いをきっかけに殿下に恋をしたのだろうか、と思いました。

彼女は私のように前世の記憶を持っておらず、かなりバカでもあったので、もしあの時もうまくいっていたのだろうか、と。でも、太子殿下は優しい人だから、きっとアデレードのペースに合わせて会話を進め、彼女を置き去りにしないだろう、と思いました。




今、私は7歳、王子は8歳。前世の基準で言えば小学生の年齢です。


どんな愛が芽生える?


前世では、私は異性の友人に恋心を抱いたことがあります。当時、私は今よりもっと幼く、確か5歳くらいだったと思う。


でも、私がそうなってしまったのは、テレビで放送されていたアニメを通して、恋愛に関するロマンチックな考え方に強く影響を受けたからなんです。振り返ってみると、前世の私は本当に幼い頃から知的に発達していた(大人になってからの知能は平均的だったけど)。幼い頃からアニメのシーンを理解し、愛という概念をロマンチックに捉えることができたのです。


しかし今思えば、そんな子は私だけだったと思う。


同年代の子どもたちは、まだ周りの世界を少しずつ学んでいる段階なので、そんなことは理解できなかっただろう。




幼い頃から盲目的にロマンチックな愛を信じていたことが、後に私に多くの苦難と悲劇をもたらした。


だがそれはまた別の話で、ここでは語らないでおこう。




アデレードとアマウリー様の愛の話に戻るが、ここには愛など全くなかったと思う。私以外の同年代の子どもたちは、ロマンチックな愛について何も知らないのだと私は信じている。





考え事にふけっているうちに、太子様の手元近くにあった最後のエクレアに手を伸ばしてしまった。

うっかりトレイに手をぶつけてしまい、左に滑って殿下の目の前のティーカップに触れ、お茶を半分ほど太子殿下のシャツにこぼしてしまった。



(しまった!)と心の中で思い、太子殿下に謝罪の言葉を準備したその時、突然……



「雑種、一体何をしやがったアァァ!!!?」



太子殿下は飛び上がり、腕を勢いよく振り、お菓子の一部を地面に落としてしまった。まるで虫けらを見るような目で私を見ながら、怒鳴りつけた。


え?



「....」




「何か言え、貴様!一体どんな卑劣な企みを企んでいるんだッ!」




すぐに謝ろうとしたが、予想外の展開にショックを受け、口が動かなかった。


この変化、妙だと思いませんか???


以前と比べると、彼はまるで別人みたいだ。これは、4日前に私が触れた多重人格の話題を急に思い出させた。




事態が手に負えなくなってきたのを見て、お父様はすぐに私を助けに、


「王太子殿下、先ほどの不注意につきましては、娘に代わってお詫び申し上げます。もしよろしければ...」


「黙れ!お前に喋る許可は与えていない。これ以上口を挟む者は力ずくだぞおッ!」



太子はお父様が言い終わる前に遮り、黙らせた。お母様は無表情で父の傍らに立っていたが、眉間にしわを寄せていた。




「お前のようなクズは、他人に不幸をもたらすだけだー。」


「さっきの会話、貴様、偽善的な言い方は腹立たしかった!俺を操ろうとしただろおお、この残酷な奴め。あの時は冷静を保とうとしたのに、今度はこんな姑息な手段に出るとはいったいッ!」


「こんな状況でも!泣いたり!苦痛を見せたり!怯えたりしない!!やはり思った通り、お前は感情を持たない冷酷ケダモノだ。」


太子様は私を敵意のこもった目で睨みつけ、罵詈雑言を浴びせた。

そして、容赦なく私を侮辱し続けた。



一体何が起こっているのか、私には全く理解できなかった。なぜこんなことが起きているのだろう?彼の発言によると、先ほどの友好的な態度は演技らしい。王族は演技が上手いのは知っているが、これはさすがにすぎすぎィではないか?


それに、なぜ彼は私をこれほどまでに憎んでいるのだろう?

もしかしたら、さっき、私がうっかり彼の怒りを買うようなことを言ってしまったのかもしれない。


しかし、アマウリーの核となる性格特性は優しいはずではないか?これは一体どういうことなのだろう?



ちょっと待って、落ち着いて状況を分析しよう。私には二つの仮説がある。



ガッガガッガ


ズズズッ



考えている最中、右側から地面が割れるような不気味な音が聞こえた。

太子様の罵声にかき消されそうになったものの、その音はかなり大きく聞こえた。




思わず音のする方へ顔を向けると、お父様の腕と手が異様な姿で目に入った。


長袖のスーツは肘から下が破れ、肌はもはや人間のものではなく、砂のような色の、ひび割れた粗い物質に変わっていた。


手の甲からは無数の鋭い土色の棘が上向きに生えている。棘のようだが、もっと太い、先史時代の人々が動物の皮を削ったり髭を剃ったりするのに使っていた、鋭いオブシディアンの破片に似ているように思えた。


そう、お父様の手の甲から、鋭く土のような土色のオブシディアンの破片が生えているのだ。




お父様の傍らでは、お母様が両手で彼の腕をしっかりと掴み、自分の体に押し付けながら、少し後ろに引っ張っていた。まるで、今にも飛びかかって、何かよくわからないあの凄まじい能力で殿下を殺してしまうかもしれない父を抑えつけているかのようだった。



お父様は一体どうやって攻撃するのだろうね?手の甲に次々と棘(鋭いオブシディアン)を作り出し、それを手裏剣のように投げつけるのかなぁと思った。




ん...お母様がお父様に触れた。しかも、二人は互いの腕をしっかりと抱き合っていた!


これは、めったに見られない光景だァった!!


二度と見ることのできない、壮観な光景ですゥ!!


まさに啓示です!!!Revelation(レベレーション)!!!



眩しいほどだった。


私は頭の中で息を呑み、微笑んだ。


もちろん、現実世界ではこんな顔をするわけにはいかない。太子様をさらに怒らせるだけです。



でも、両親がこんなにもロマンチックなことをしているのを見て、嬉しくならずにはいられなかった。本当に滅多にないことだ。

王子様にお礼を言うべきだろうか?



あ、忘れている人もいるかもしれないが、お父様がお母様を愛しているのか憎んでいるのか、お母様がお父様を愛しているのか憎んでいるのか、私にはぜんぜん分からない。


二人とも理解不能で、私には全く理解できない。


でも、この短い、心温まる光景を見て、私は信じられないほど幸せになった。




さぁ、不穏なコトに戻る。父の両腕が恐ろしい武器と化すこと以外にも、同じくらい恐ろしいものがある。


それは母の顔に浮かぶ笑みだ。


この混乱の中でも、母は相変わらずレディーらしい微笑みを浮かべている。

いつもより少し明るい笑みだ。


だが、なぜか私はその笑みに不気味さを感じる。




「%&^%$$^&%」


癒し両親の一休みの後、私は王太子殿下の方を向いていた。

彼はまだ私に悪態をついていた。

そこで私は思考を続けた。




王太子の性格がゲームと異なる理由について、私は二つの仮説を立てた。



一つ目の仮説:私の行動の一部が原作のアデレードの行動と一致しないため、バタフライ効果が生じ、王太子が誰かと出会うか出会わないかが変わる。そして、あの人物こそが、ゲームの王太子を優しい王子にする上で決定的な要因となるのではないか。


例えば、彼はごく普通の子供として生まれたが、ある善良な人に助けられたことで、それ以来、常に他人を助けたいと思う優しい人間になった。


もしバタフライ効果が起こり、その善良な人が現れなかったら、全てが軌道を外れてしまうだろう。


別の例として、もしバタフライ効果によって彼が激悪人と出会い、その人が非人道的だったとしたら、彼はトラウマを負い、人間への信頼を失ってしまうだろう。



どんな例でも思い浮かべることができるし、すべてはこのように説明できる。

そしてその理由、いつもは私だ。

なぜなら、前世の記憶のおかげで、ゲームの世界とは異なる行動をとれるのは私だけだからです。



でも、おっかしいなぁ~、私は何もしていないかも。運命に逆らった唯一のことは、お母様に明るく歯を見せて笑んだことだけだと思う、あははは。




第二の仮説:この世界は乙女ゲームの世界とは全く異なる。

共通点はキャラクター名と地名だけだ。だから、ゲームとは異なる性格の人がいるのも当然だ。

しかし、私はこの仮説をあまり信じていない。理由は、お父様がゲームに出てくるバルニエ公爵にそっくりだと思うからです。たぶん。




次、殿下が会ったばかりなのに私をあれほど憎んでいる理由について。


かぶん彼の新しい性格が「偏執的、疑り深く、人間不信」だからかもしれません。そのため、彼は他人を疑い、常に敵と決めつけ、言葉の些細な部分さえも悪意のあるものとして誇張する傾向があります。

そして、私に向けられた憎しみと偏執的な疑念は、太子様がこの屋敷に来る前から存在していたのだと思います。


彼は私の両親が悪人で組織的に腐敗しているという噂を耳にしたか、あるいは知ったのでしょう。しかし、証拠がなかったため、両親たちを有罪にすることはできませんでした。


そのため、彼の心の中では常に憎しみがくすぶり続け、偏執的な性格によって増幅され、その憎しみの全てを公爵の娘、彼の婚約者として指名された子に向けさせたのです。


彼はあの子を、人を面白半分に傷つける邪悪で策略の娘だと妄想していたのでしょう。




よし、状況分析はこれで完了です。

疲れ果てていた。思わず両親に癒し枠を求めたが、そこで恐ろしい異変に気づいてしまった。



お母様からは禍々しいオーラが漂っていた。

耳まで届くような満面の笑みを浮かべ、不吉な「ふふっ」「へへー」という笑い声を漏らしていた。


これはまずい。このままでは、両親が二人で乗り込んできて王太子をズタズタに引き裂いてしまう。

止めなければ、流刑というゲームが終わる前に、我が家は王室暗殺の罪で処刑されてるぞォ。



そう決意した、お母様の目を真っ直ぐに見つめた。私の目は自信に満ちていた。そして、母にウインクし、拳を握りしめて胸に手を当て、親指を心臓に突きつけた。



私の意図を察したかのように、お母様は不気味な笑いを止め、いつもの無表情に戻った。セーフゥー。



よし、今は私の番。この王太子の相手は私がする。


「殿下、おっしゃりたいことは理解いたしました。どうか少しお聞きください。きっと有益な情報となり、殿下の貴重なお時間を無駄にすることはないとお約束いたします。」

「ほうー、やっと口を開いたか、クソ娘。よい、話せ。どう弁明するつもりだッ?」


「陛下、ご許可いただきありがとうございます。しかしながら、私といたしましては、何事も正当化するつもりはございません。陛下の仰せはすべて真実です。我が一族は国の汚物、癌のような存在です。陛下がここで私を殺したいというお気持ちはよく分かります。しかし、それは正しい選択ではないと存じます。なぜなら、我が一族とその才能は、現在もなお国にとって非常に必要とされているからです。また、我々はかなりの勢力を築いており、今粛清を行えば、王国は必ず危機に陥るでしょう。

ですから、陛下が王権を行使して我々を抑え込む方が賢明だと考えます。これは、将来の王位継承争いにおいて、陛下の勢力の評判を高めることにも繋がります。つきましては、私との婚約をご提案いただき、同時に、これまで以上に厳重な監視体制を敷いていただければ幸いです。そうすれば、私はもはや誰に対しても残酷な行為を働くことはできなくなります。私の行動が厳しく監視されれば、誰とも連絡を取ったり、誰かを利用して悪事を働くこともできなくなるでしょう。」




「っ!なぜ……… お前は…………だけど」




王太子は何か言おうとしていたが、うまく言葉にできないようで、しばらく待つしかないようだ。

ちなみに、私の計画は、私だけを絶対的な監視下に置き、誰と接触しても必ず報告させるというものだった。

しかし、それは私だけに限定される。両親や兄は相変わらず好き勝手に怪しいことをしている。だが、この王太子は偏執症のせいで私に異常なほど執着しているようで、私以外の誰にも関心を示さない。なら良いでしょう。



「もしかして、お前は俺と同じ…いや、そんなはずはない。いつものように俺を騙そうとしているだけだ。」



「俺と同じ」ってどういう意味?いや、私は偏執症じゃないから、きっと同じじゃないですですゥ。

そして彼は「いつものように」と言った。初対面なのに、まるで幻覚を見ているかのように、現実と幻想を混同しているようだった。


彼の想像の中では、私は何度も彼を騙していたらしい。あ~、いい考えがある。ヒロインが彼のルートで使った有名なセリフを言ってみよう。もしかしたら今回も効くかもしれない。



「アマウリー様、ご心配なさらないでください。ご自身の判断を信じてください。たとえ状況が悪化しても、理想を貫き通せば、必ず乗り越えられます。」



王太子は私の言葉に驚き、そして歪んだ笑みを浮かべた。


私も丁寧に微笑み返した。




と、彼は両手を額に当て、爪を頭皮に押し付けようとした。まるで爪を突き刺そうとしているかのようだった。その動作は2分間続いた。その間、部屋は静まり返った。



そして、手を下ろしながら、ただ一言、「アデレード、お前との婚約を受け入れる」と言い残して去っていった。



(....)


ん?ちょっとわかりにくい。まぁ。


終わった!人生で一番長い朝だった。頭を使いすぎたせいで頭痛がしてきた。すぐに寝よう。



私はものすごい速さで自分の部屋に駆け込み、可愛らしいけれど動きにくいドレスを着たままベッドに倒れ込んだ。




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