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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【大学生編】機械仕掛けの姉妹
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姉の抱える悲しさを

「はいはい!みんな集合したね。」

ガイドのマクミランが声を張り上げた。

「体験コーナーはどうだったかな?ちょっと感想を聞きたい。あっ、トイレに行きたい人、今のうちね!」

何人かがトイレのほうに向かった。

「じゃあ、君!どこのコーナーに行った?」

「えっと、宇宙服を着るコーナーと、無重力体験コーナーに行きました。」

「おおっ、ちなみに何の宇宙服着たの?」

「えっと、移民用の宇宙服と、あと国連宇宙防衛軍の制服を着ました。」

「着心地は?」

「うーん、動きにくかったです。」

「そうか、そうか。」

「まぁ、それは慣れですね。」

センカの言葉にマクミランが悲しげに頷いた。

「じゃあ、君は?」

「僕は、操縦シュミレーターに挑戦しました。」

「どうだった?」

「1号機は少しできたんですが、零号機は全くダメでした。」

「ははっ、それは仕方ないよ。ゼロを操縦できるのはこの人たちだけなんだからなね!」

マクミランが変な顔をしたので、中学生たちはまたどっと笑った。



「よし、みんなそろったね。」

マクミランが再びみんなを見渡した。

「これから見るのは、太陽系辺境防衛戦争の展示だ。さっきとは違う、もっと悲しい場所だ。辛くて苦しくなったら、遠慮なく声をかけてほしい。」

中学生の間に一気に動揺が走る。センカとユウキは黙って展示へ向かった。

まずは辺境移民たちに関連する展示だ。被害を受けた星から集められた遺品の数々。多くがまだその星の簡易倉庫に保存されているか、遺族や関係者に渡されているが、一部はこうして展示されている。

穴が開き、血が付いたヘルメット。ボロボロになった壁掛け時計、血が付いた何かの集合写真、粉々になった家具。ユウキは1つ1つの星の説明を丁寧にした。

「この星は全員避難するはずだったんだが、予定が合わなくて残った人が何人かいた。彼らは皆亡くなった。生き残った人も、星が壊されてしまったから、どうするか悩んでいた。地球に戻るか、冥王星で暮らすか、移民星を再建するか。随分悲しい議論が行われたんだ。」

元辺境移民再建協会の会長の言葉は重い。ユウキはなるべく、その持ち主たちの明るいエピソードを披露したが、それが一層もの悲しさを高めていた。





「これは、戦艦オリオンの、たぶん航海図の1つね。」

今度は戦艦オリオンの展示だ。まるで艦内がそのまま再現されたかのような不思議な展示空間に、センカは時々言葉を詰まらせた。

「これは、ああ、懐かしい。戦略局の壁に飾ってあった、というか貼ってあった絵。なんで貼ってあったんだろう。」

センカは1つ1つを丁寧に説明していった。

「これは航空隊の使っていた机ね。ひどいでしょ、いたずら書きが。航空隊は何かあるとすぐ机にいたずら書きをしていた。これは……このドイツ語の書き込み、見えるかしら。」

中学生がボロボロになった机に集まった。

「戦艦オリオン航空隊初代隊長、ディルク・バイルシュミットを敬愛しないパイロットなどいない。もしお前を敬愛しないパイロットが現れたら、それは我々の勝利が近いことを示している。戦艦オリオン航空隊2代目隊長、テレーゼ・フェシカ、って書いてある。」

「テレーゼ・フェシカって。」

「あの有名な人よね?」

「ええ、とてもいい人だった。悲しい予言を書く人だなんて、あの頃は知らなかったけどね。」

目をそむけたくなるような展示品の間を、次々と進んでいく。

「これは、A作戦で亡くなった訓練生……いえ、特別青年地球防衛隊の隊員の機体の一部。みんなとほとんど変わらない歳の子たちだった。」

「これ、レープレヒト・バルツァーの機体?」

「ええ、機体の番号がそうなっているから。」

「そうか……。僕は彼らのことをあまり知らない。会ってみたかった。」

「あなたは、K作戦とA作戦の時、冥王星を命がけで守ってくれたじゃん。」

「うん、そうだけど……。」

中学生たちは一層沈んだ顔をした。









見学ツアーが終わり、陽気なマクミランや中学生と別れた。とはいえ、夕食時なので自然とみんなの足は第一食堂に向かう。結局センカたちは中学生を案内しながら第一食堂に向かった。

「ここの入り口からなら外部の人も入れるから、よく覚えておいて。おすすめはこの定食。」

「こっちにはサラダバーがあるからな!」

めいめいトレーをもってカウンターに向かう中、カズヤが1人、姉の元に残った。

「姉ちゃん、あのさ。」

ちょっと寂しげな顔の弟に、センカは首を傾げた。

「ん?」

「いいや、またあとで。」

「ええ、いつでもおいで。」

2人はちょっと笑う。

「おーい、カズヤ!」

「あっ、今行く!」

カズヤがカウンターに走っていく。ユウキがそんなセンカを眺めながらつぶやいた。

「やっぱ、お姉ちゃんなんだな。」

「え、どういうこと?」

「別に、何の意味もないけど。」

「絶対あるでしょ!?」

センカが怒鳴る。再び笑い声に包まれた。


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