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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【大学生編】機械仕掛けの姉妹
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戦略第1課長の弟

1人の少年が、テラポルトスのLSSE本部施設を歩いていた。戦略局と大きく書かれた壁の前を通り抜ける。

すれ違う職員は皆、止めようとするが、彼の胸に光るバッジを見てみな手を止めた。そしてひそひそと噂話を始める。

少年は長い通路を通り抜け、その出口に立つ。

第一発令所。

その広大な吹き抜けには、アラート音が鳴り響いていた。


「全職員に告ぐ!第2種戦闘態勢!」

ハシモトショウタ太陽系防衛軍最高司令官の声が響き渡る。少年は目の前で1人の女があちこちにてきぱきと指示を出しているのを眺めた。

「ヒルタ宇宙軍とリンネルーア軍に通達!隕石回避のため、戦闘行動をとる、と。」

「はいっ!」

女の周りは不気味な光に包まれている。おそらく彼女の立体ホログラム映像が、あちこちで共有され、彼女もまた他の者の姿を見ているのだろう。

「緑の星と鉄の星への伝達完了!了承を得ました!」

「ありがとう。戦略第2課長!」

「地球上の各国政府に通達しました。今のところ反論はありません。」

褐色の髪の背の高い男が告げる。

「ありがとう、ゲープハルト課長。宇宙移民自治政府への通達は?」

「プロセルピナシティには連絡した!第3課長の俺が許可する!」

黒い髪の男があちこちに指示を飛ばしながら叫んだ。

「こちら戦略局!」

ウエキセンカ戦略局戦略第1課長が通信機に向かって叫んだ。

「全宇宙に通達完了!」

「戦略第1課長、了解した。」

ショウタの声が響く。

「第3軍アステロイドベルト部隊!」

「こちら第3軍司令官クラモトだ!アステロイドベルトでは間に合わん!」

「こちら情報第3課、火星防衛団に協力を要請しました!」

「こちら戦略第1課長!念のため、月防衛団にも協力を要請して!出撃はしないまでも、月と火星は平等であるべきだわ!」

「こちら戦略第3課長、宇宙移民自治政府として了承した!」

アサヒユウキは自分が役職を兼任しすぎていることを怨みながら叫んだ。

「こちら第1軍第2航空隊です。所定の位置につきました。」



宇宙に進出したせいで、大気に守られない場所が増えた。

こんな隕石の飛来一つが、大きな被害になりかねない。LSSEや太陽系防衛軍のやっかいな仕事の1つでもあった。

少年の目の前で、隕石対策の戦闘行為が続く。航空隊により細かくされた隕石が地球の脅威にならないと確認されるまで、厳戒態勢は続いた。


「全職員に告ぐ。ご苦労だった。通常業務に移行。」

「通常業務に移行、だそうだ。」

センカはショウタの言葉を復唱すると、あたりにいる職員を見渡した。

「今回の隕石に関する報告を関係者に通達しなければならないな。それが終わったら今日は解散!」

宇宙移民自治政府プロセルピナは了解した。」

ユウキがにやりと笑った。

「各移民星には連絡しておこう。」

「関係各国へ連絡か、結構めんどうくさいんだよ。」

ユリアン・ゲープハルトはやれやれという顔で部下に指示を出し始めた。

「姉ちゃん、報告書の存在忘れてない?」



ふとあたりが静まり返った。職員という職員が出入り口を見つめている。そこには学生服姿の少年が立っていた。

「どうせ報告書ができるのは明日になるから、そうしたら送ればいいわ。」

センカはにっこり笑った。

「嫌なこと思い出させないでくれるかな、カズヤ。」

「そうやって油断したら絶対ミスするよ、姉ちゃん。」

2人はそういってふふっと笑った。

「まさかあんたがここまで来てくれるとは思わなかったわ。日本政府の中学生テラポルトス研修プログラムだっけ?」

「そう。姉ちゃんに言われた通り、受付で研修ツアーの観光客用のパスから家族用のパスに変えてもらった。そしたら、中まで行けるように、パスを特別に変えてもらえたんだ。」

「そう、でも勝手に行動してていいの?」

「うん、最初のオリエンテーションの後の休憩時間でさ。これから資料館を見て、夕食は第1食堂だって。」

「へー。」

「他にも、明日からはヒルタ語やリンネルーア語の講座とか、職員養成学校での一日体験入学とか、いろいろやるんだって。」

「あんたよく参加したね。」

「無理やり学校で応募させられたんだよ。ま、姉ちゃん最近ほとんどこっちに帰れてないし、久しぶりに渡すものあるーって父さんもうるさいし。」

「わかった。宿舎は?」

「観光客用のB-27棟の302号室。」

「まっ、うちに来てもいいよ。」

「ほんと?」


「あのーお二人さん?」

突然ゲープハルトが声をかけた。

「残りの通信業務は僕がやっておきます。いま急ぎでやる用事もないので、センカさんは研修プログラムの学生のガイドでもしたらどうですか?母国の中学生でしょう?」

「本当に申し訳ないわ。」

「構わないですよ。その代わり何かあった時はすぐに来てくださいね。」

「そうさせてもらう、ありがとうゲープハルト課長。」

「いえいえ。」



2人の姉弟が歩いていくのを見送りながら、ユリアンはつぶやいた。

「あれが噂の、ウエキカズヤくんか。」

「そうですよ。あいつの弟です。」

ユウキはにやりと笑った。

「こりゃひと騒動だ!」


カズヤ君、久しぶりの登場です。笑

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