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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【大学生編】ちょっとした勢力均衡
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やっぱり、いつもの部屋で

「まじ!」

「ほんとなんだよ!」

センカとユウキは、(本当は未成年だが)狂ったように缶ビールを飲み下した。

「まぁまぁ。」

「仕方ないでしょ。」

スズナとハルカがキッチンからなだめるように声をかける。

「ほんとなに!?」

「まずは味方からってことでしょ?」

リンカがふっと笑って言った。

「俺たちも途中で知ってからは笑いが止まらなかったんだぜ。」

コウスケが笑いをこらえながら言った。

「ショウタは……知ってたの?」

「カズマ、まさか、お前もか?」

センカとユウキがものすごい形相で2人の司令官を睨みつけた。

「ああ。そりゃあな。」

「もちろん。LSSE航海局からちゃんと連絡は来てたぜ。」

「当然だ。僕ら軍隊のトップが何も知らないで勝手に戦争したらいけないからな。」

2人は涼しい顔をして言い返した。

「まぁまぁ。はい、おつまみ。」

またチームゼロの10人に家を占拠されたタケルが皿を持ってきた。

「あ、飲み足りない?冷蔵庫にもうないから、あとでこっそり買いに行かなきゃだね。」

タケルはわざと明るい声で話しかけてきた。

「うっせ!」

ユウキが悔しげな叫び声をあげた。

「やりかえさせてもらったまでだ。戦略局のおふたりさん。」

涼しい声でニイムラトウキ航海局航海第1課長が笑いかけてきた。

「トウキてめぇ!」

「いい加減にしてよもう!」

2人の叫び声を聞いて、8人は大きな声で笑った。





世界を巻き込んだ大騒動と外交合戦になった定期便計画だったが、あっさり決着がついてしまった。

テラポルトスVSプロセルピナで公開討論会までやったのだが、やるだけやった後、決着をつける時点で、トウキは最高のサプライズを用意していた。

航海第1課、つまりテラポルトス派と、航海第3課、つまりプロセルピナ派でこっそり合意していたのである。

定期便の管理は、太陽系内部をつなぐものは第3課、太陽系外部とつなぐものは第1課と決まった。ただし両者の連携をうまくとるために、第1課と第3課による宇宙空間定期便会議、を設けることになった。ここが定期便運用の最高意思決定機関となったのである。


つまり、センカとユウキの対決は一切反映されないパフォーマンスとなってしまったのだ。

もちろん対決は穏便に正しく解決された。世界中の首脳陣はあっさり納得した。

が、それまでこの対決ゲームに全力を尽くしていたセンカたちからすれば、面白くない。そういうことだ。


「そもそも君らの目的は、人々の意識を高めること。宇宙を取り巻く問題、特に地球に残った人々と宇宙移民、その2つの種類の人間が『地球人』として『人類』としてまとまる難しさを実感してほしかったんだろ。」

トウキはさらっとワインを飲んだ。(もちろん彼も未成年のはずだ。)

「じゃあ、目的は達成されている。世界は混乱に陥ることなく今日も平和。ぼくら航海局も当初の計画を全うできたし。いいじゃないか。」

「トウキの言う通りだ。センカ、だまれ。」

ショウタが笑いかける。

「そんなに悔しいのか。」

コウスケがちょっと不安げに聞いた。

「いや、そんなことはないさ。な、ショウタ?」

「ああ、本当だよカズマ。この2人、敵に回さなくてよかったよな。」

「え、どういうこと?」

コウスケが尋ねる。

「トウキ、復讐できたと思ったら大間違いだぜ。」

ショウタに声をかけられて、満面の笑みで笑っていたトウキの顔が引き締まった。

「どういうことなの?」

リンカがそっと聞く。

「リンカ、センカのコスモクラウドハッキングしてみな。」

「了解。」

「ああ、だめ!」

センカの叫び声に、また笑いが起きた。

「まぁ、センカとユウキだから、何かしてるんじゃないかとおもったけれど。」

ハルカの言葉にスズナも頷いた。

「どんな報告書を書いたの?」

スズナの笑顔に、センカは力なく笑った。随分恐ろしい笑みだった。

「定期便計画とそれにまつわる外交合戦のついでに、世界中に散らばってた外交問題つぶしておいたのよ。」

「俺も、地上の国々と交渉できたのは大きかった。」

「向うも利用してやろうと意気込んでくるから、扱いやすかった。」

「ひでえことするな。2人とも。」

タケルがぼそっとつぶやく。

「トウキの計画には気づいてたのか?」

「ちょっとだけ、というか別に航海局でなんとかするとわかってたから、勝手に遊ばせてもらってた。」

「まぁ、正直戦略委員会が絡まるべき問題でもなさそう

だったし。」

トウキは呆れたような顔で首を振った。

「まぁそんなところだろうとは薄々思ってたさ。まぁこう盛り上がったおかげで、航海局もやりやすくなったところはあったし、気合入ったしな。」

「さすがだな。」

カズマがぼそっとつぶやいた。

「結局うまくいくんだな。」

「あたりまえだろ。」

ショウタが笑った。

「俺たちはチームゼロだ。」





しばらく騒いでいたが、突然ハルカが席を立った。

「ごめん。明日1限なの。もう行くね。」

「ああ、すまんな。無理させて。滑走路まで送るか?」

「タケルありがとう。でも大丈夫だよ。」

「そっか、気をつけてな。」

「うん、おじゃましました。」

「はいはいー。で、みんなは明日大学大丈夫なの?」

「うん、休み。」

「嘘つけ。」

「はいはい嘘ですよ。課題やらなきゃいけないから、そろそろ帰るわ。」

「おっけー。」

「おい、片付けくらい手伝ってよ!」

こうしてチームゼロはまた、いつもの生活に戻っていった。




これでこの章は終わりです。

外交関係の難しいパワーゲームやりたいなと思っていたのですが、まだまだ発想が足りませんでした。いずれもっと詳しく書けたらいいなと思います。

センカに赤いドレスを一度着せたかったので、ちょっとでも来てもらえてよかったです。あとベレッタ。


では、次の章でお会いしましょう!

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