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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】銃声が守りたかったもの
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出航直前

さて、受験生たちは「一応」大人たちに仕事を任せ、学業に専念することになった。はずだった。

しかし第1回天の川銀河会議開催と、そこで採択される、今後3つの星が守るべき天の川憲章の内容、それに伴う太陽系側のルール作りなど、やっかいな仕事が山積みだった。

そのためチームゼロの面々は、ちょくちょくテラポルトスに出向く羽目になっていた。彼らがいないと、やはり回らないのだ。

さらに厄介なのは(?)、鉄の星ヒルタのメイルと、緑の星リンネルーアのレイアからの通信だった。確かに必要な連絡事項も含まれているのだが、半分は技術高専の卒業研究に対する愚痴とか、公務がめんどくさいなどという愚痴であった。それを、公式な通信で平気で言ってくるので、その分仕事も増える。もっともセンカたちも受験のストレスを愚痴っているので、そのへんはおあいこだ。

もっとも、チームゼロは保安隊時代の訓練や辺境での暮らしで徹底的に知識を叩きこまれているので、正直大学入試レベルなどどうでもよい。しかしそれらは生きるための知識であって、試験を解くための知識ではなかったので、チームゼロの面々は常にイライラしていた。


とにかく、こうやって受験勉強と両立させながら、来るべき12月を迎えたのである。








「お兄ちゃん。」

ミノリが少し嬉しそうにスーツケースを準備する。

「いよいよだね。」

「そんなに鉄の星が楽しみか?」

「うん!メイルやレイアにも会えるんでしょ?すっごく楽しみ!」

「そうか。じゃあ俺も支度しなきゃだな。」

ユウキとミノリは声を上げて笑った。

「随分楽しそうね。」

叔母が部屋に入ってきた。

「何か足りないものはない?」

「大丈夫そうです。あとでまとめて伝えます。」

「ありがとうユウキ君。そういえば、今回はLSSE職員としての渡航じゃないのね。」

「ええ。みんなの計らいで、一般人として傍聴席から見ることにしたんだ。そのほうがミノリとも一緒にいられるし。」

「そう、よかったわね。あ、そろそろ夕食ができるから、きりがいいところでリビングに来てね。」

「はーい。」

ミノリは元気よく返事をすると、また荷物を詰め始めた。

ユウキはちらりと携帯電話を見た。画面に通知が来てる。カズマからのメッセージだ。

「おい、あの噂また流れてきたぜ、か。」

ユウキはぼんやり窓の外を眺めた。最近、反LSSEや反天の川憲章、つまり異星人との交流を認めない人々や、LSSEの政策に反発する人たちの動きが活発になっており、かつての辺境移民再建協会、つまり宇宙移民自治政府やその関係者にも接触を図っているのだという。

その噂に乗せられて、騒ぎ立てる者もいた。正直宇宙移民自治政府としてはどうでもいい。あまり騒ぎにしないほうがよいと判断して無視を決め込んでいたが、なかなかしつこいようだ。

「くだらない、噂だといいんだけど。」

ユウキはそういいながら、無意識のうちに銃の入ったケースをさすっていた。










センカとショウタは、夜遅くまで第一食堂の例の席で残業をしていた。残業と言っても、半分は個人的にやりたい作業であったから、正直自業自得だ。出航前日にやるべきことではないと知りながらも、2人はぐだぐだ作業を続けていた。

ショウタは、新しい戦艦、ビントロトリアテロ型宇宙戦艦の戦艦シリウス、戦艦プロキオン、戦艦ぺテルギウスを効果的に運用するためのシュミレーションを、個人的に行った時のデータを整理していた。

「センカ、そっちの作業は終わりそうか?」

「ちょっと待って。」

確か、スーマー・ヤオが集め、まとめて考察した資料を確認していると言ったが、さっきからキーボードの音がうるさい。おそらく何か調べているのだろう。

そこからセンカはしばらく画面を見つめていた。こちらが物音をたてても気付かないくらいだった。

「センカ、そろそろ。」

「あ、うん。そうだね。」

センカは慌てて画面を閉じた。

「明日は朝早い。もう寝たほうがいいな。」

「うん、そうだね。そういえば、今って、日本は深夜かな?」

「たぶん。どうかしたのか?」

「ちょっと家族と話したいなーとか、なんとなく思ったんだけど。まぁいいや。」

「いいのか。」

ショウタはちょっと頬をふくらました。

「とりあえず、居住区に帰るぞ。」

「ええ。」

2人はあれこれ話しながら、居住区の、自分のマンションへ向かった。テラポルトスの上には、星空がどこまでも広がり、そのど真ん中を天の川が貫いていた。


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