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太陽の子供たち ~宇宙に進出した地球人の物語~  作者: さうざん
【高校生編】銃声が守りたかったもの
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暗い部屋に微かに響く機械音。この部屋だけは何度入っても慣れないなと、ショウタは思った。

「LSSE成立のための、君たちの努力は評価しよう。」

「ありがとうございます。」

ショウタは暗闇で頭を下げた。人類宇宙委員会へ、新組織成立の報告をしたばかりであった。

「しかし、チームゼロは局長への就任を見送ったか。」

「ええ。我々が局長になるわけにはいかないと、全員で話して決めたことです。それに、私たちは人類宇宙委員会へ、局長の人選をお願いしたのですが。」

「これが我々の結論だ。」

「では、このまま局長不在ということでよろしいですね。そうなると、第1課の課長を務める、わたしたちチームゼロの8名が、LSSE内で相当の権力を持ちますが。」

「構わない。」

「ありがとうございます。では、局長不在のため、局長代理はそれぞれ第1課の課長が務めること。なお、局長会議は開催されず、局長会議にかけるべき内容は、その下の課長会議によって判断する、ということでよろしいですね。」

「そうだ。」

「君たちに任せるよ。」

「では、そうさせていただきます。」

ショウタは敬礼をする。そしてそのまま部屋を出ていった。







「へー、人類宇宙委員会が特に口出さなかったんだ。」

ウエキセンカ戦略局戦略第1課長は、テラポルトス第一食堂で昼食を食べながら言った。防衛軍では第1軍戦略長とか戦艦ベガ艦長とかいろいろ兼任しているのはそのままだった。

「ああ、ちょっと不思議だよな。」

ハシモトショウタ戦術局戦術第1課長は、牛丼をかっ込みながら頷いた。ちなみに彼は立場上、太陽系防衛軍最高司令官を兼ねている。

「まぁありがたいといえばありがたいんだけど。」

ツツイコウスケ技術局技術第1課長が味噌汁をすすった。彼も防衛軍第1軍技術長を兼任していることには変わらない。

「少し、裏がありそうだけれど。」

シイナリンカ情報局情報第1課長がさらっと言ってお茶を飲んだ。彼女も第1軍情報長であった。さらにYURIKA管理の最高責任者でもある。

「それはそうと、みんな本部の引っ越し作業はどう?」

スギヤマスズナ主計局主計第1課長は、サラダを食べながらあたりを見渡した。

新組織LSSEの発足に伴い、テラポルトス本部施設も大幅に改修された。そのためどの部局も引っ越し作業に追われていた。

「建物の使い勝手も聞きたいところだな。何かあれば言ってくれ。」

ニシオカタケル建築局建築第1課長が、カレーをかっ込みながらにやりと笑った。

当然スズナも第1軍主計長かつ戦艦デネブ艦長であったし、タケルも第1軍建設長であった。

「ところでみんな。明日は高校に行くだろ?ゼロの格納庫も移動することになって、もっと使いやすい場所にしておいたから、場所確認しといてね。」

ニイムラトウキ航海局航海第1課長が、やはりカレーをかっ込みながら、突然思い出したかのように言った。

「さすがに僕らも高3で、大学入試控えてるしな。」

「でも、みんな無理は禁物だよ。」

オオノハルカ医務局医務第1課長が、ヘルシーランチプレートを食べる手を止めて、あたりを見渡した。


「よぉ!」

トレーを持ったカズマとユウキが現れた。

「おやおや受験生が何をしていらっしゃるのかな?」

「仕事。」

タケルが少しふてくされた顔をした。

「ユウキとカズマか。」

ショウタが横の空いている席を指し示す。チームゼロの席はもはや伝説となりすぎて、誰も座る人はいない。それでも昼時はやはり混雑していて、なんとなく詰めて座るようにしていた。

「お前ら2人は結局どうしたんだ?」

コウスケがお茶を飲みながら聞いた。

「大学は受けるのか?」

「一応な。」

「俺も受験する。」

2人はトレーを置きながら言った。

「ユウキは政治とかもっとしっかり勉強したいって言い張るし、俺は技術職に就きたいから、もっと専門知識が欲しくてね。」

「よく言うよ。2人とも大学から講演会とかお願いされるレベルだろ。」

「そっくりそのまんま返しますよ、航空局航空第1課長様。」

カズマは舌をぺろりと出した。

「まぁ民間人の僕らはともかく、君たちは保安隊時代の契約で、大学卒業までは学業との両立を保証されてるんだろ。だったら大学に行ったほうがいいと思うよ。」

「もっとも、カズマとユウキを民間人と呼んでいいのかは疑問だけどな。」

ショウタが2人を見つめた。

「結局、話は引き受けるのか。宇宙移民自治政府代表を引き受けるって話。」

「相当な話題になってるわよ。」

リンカがショウタの言葉を続けた。

「ああ、その話か。」

カズマはユウキをちらりと見た。ユウキが口を開く。

「僕らはあくまでまだ学生だ。ついでに言うと、僕らまだ選挙権も被選挙権も持ってないしね。」

「そこは、宇宙生活基本法とかうまく改正してなんとかできるようにするって。」

センカがにやりと笑った。

「全宇宙の参政権を18歳に設定できるように、小細工の1つや2つしてもいいよ。」

「どっちにしろ、18歳説が有力だけどな。」

タケルが呟く。

「というか、そんな重要なことを軽々しく言うな。事実だけど。」

コウスケもつぶやいた。

「まぁとにかく、僕たちは未成年で学生なので、というか学生続けるつもりなので、大学卒業するまでは代表は引き受けられないということにした。」

「結構、やるだろ?」

カズマとユウキがにやりと笑った。

「もっとも、なんかいろいろ要職は押し付けられたけどね。」

ユウキがお茶を飲んでから言った。

「俺は自治政府科学技術委員長、要するにLSSE技術局技術第3課長。あと第3軍司令官、要するにLSSE戦術局戦術第3課長、などなどってかんじだ。まいっちまうよ。」

「僕は自治政府戦略委員長、まぁLSSE戦略局戦略第3課長。それと第3軍副司令官。なんてこった。」

カズマとユウキは顔を見合わせて笑った。

「もっとも、僕ら受験生だし、どうでもいい業務は大人たちに任せることに成功したんだ。」

ユウキはそう言って、チームゼロを見渡した。

「ということで、これからもよろしくね。」


「ところで、みんなは大学どうするんだ?」

「まァ……。」

「とりあえず全員進学希望だ。」

ショウタがさらっと言った。

「特にハルカは大変だな。」

「医学部志望だから、いろいろとね。」

ハルカが少し笑った。

「そうか。大変だな。」

カズマの言葉に、トウキが悔しげに続ける。

「まったくだ、高校卒業できるかも定かではないのに。」

笑い声があたりを包む。

「まぁ、これから先は大きなイベントないだろ?どっちかっていうと、各部署で頑張りましょうって感じの。」

「うん、そのはずなんだけど……。」

センカは少し自嘲気味のひきつった笑顔をみんなに見せた。

「第1回天の川銀河会議と、天の川憲章のこと、忘れてないよね?今年の12月だよ。」

「つまり。」

リンカの冷徹な声に、一同は震え上がった。

「センター試験1か月前まで、業務に悩殺される日々、っと。」



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