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緑の星の代理の女王

戦艦アルタイルと戦艦ベルダーナは、緑豊かな星リンネルーアに降り立った。水と緑に恵まれた世界に、地球人は懐かしさを、ヒルタ人は憧れを覚えずにいられなかった。

やがて代表団の王宮への招待が決まり、チームゼロの面々は久しぶりに正装姿に身を包んだ。

厳重な警備の元、チームゼロの8人を含む地球側の代表団12名と、メイル・ノトメイアを含むヒルタ側の代表団12名は、巨大な王宮の応接間に通された。


美しい植物で飾られた応接間でしばらく待つと、1人の女性が、数人ほど連れたって入ってきた。彼女は玉座の前に立つと、ゆっくりとお辞儀をした。それから静かに語り始めた。

「あなた方のことは、あの子からいろいろと聞きました。」

まだ若い女性は代表団を見渡す。

「水の星地球の皆様、鉄の星ヒルタの皆様、ようこそはるばるおいでくださいました。」

「こちらこそ、突然のご訪問になってしまい、申し訳ありません。」

「ご厚意に感謝いたします。」

センカとメイルが代表して言葉を述べた。

「あなたがウエキセンカさんに、メイル・ノトメイアさんね。」

女性はそっとつぶやくと、再び代表団を見渡した。

「私は、王と王妃とその王女の代理たる女王……リーヒ・リンネルーアと申します。」

リーヒ女王の言葉に、センカは引っかかった。

「代理たる女王……とは?」

「ええ。」

女王は話をつづけた。

「あなた方にお話ししなければならないことがあります。レイアの両親、つまりこの星の先代の王と王妃のことです。」

リーヒ女王の話に、一同は言葉を失った。




この星では、代々星を治める王が、最高の戦士でもあった。

宇宙開発も進んだある日、人工的に作った宇宙ステーションが、攻撃をうけた。敵は正体不明の機械の塊だという。レイアの父であり、リーヒの兄であるリンネルーア王ルトーヒと、レイアの母でありルトーヒの妻であるレイピアは、最高の戦士として戦闘機に乗り込み、『敵』の元へ向かった。

そして圧倒的で無慈悲な力を見せる『敵』に敗れ、宇宙の塵となってしまったのである。


当時王継承者のレイアはまだ幼い子供であった。そこで廷臣たちは会議を開き、一度まだ若い王の妹リーヒに王位を継承することを要請した。

彼女はレイアと兄ルトーヒの権利を侵すわけにいかないと反対したが、このままではリンネルーアが混乱に陥ることが明白であった。

そこでリーヒは、代理の女王としてなら即位することを引き受けた。レイアが20歳になるまでの時間だけ、代理を務めると宣言したのである。


こうして、王の妹から代理の女王となったリーヒ女王は、『敵』を必要以上に刺激しないように厳命した。問題の宙域は立ち入り禁止にし、リンネルーア軍も近づくことを許さなかった。『敵』も深追いをしなかったので、惑星リンネルーアはとりあえず平和になった。しかし一方で『敵』の解析も続けさせてはいた。

また、リーヒ女王は、将来の女王であるレイアを厳しくも大切に育てた。最高の女王として、最高の戦士として。


しかし両親を失ったレイアは、次第に心を閉ざすようになった。そして15歳になり、戦闘機を乗りこなすようになると、儀式や政治、勉強を放り出して、戦闘機スプレプトを乗り回すようになった。そして禁止されていた『敵』への復讐の機会を狙っていたのである。

叔母であるリーヒはそれを何度も止めたが、レイアは何度も飛び出した。こうして、『敵』を攻撃中に不時着する羽目になった時、センカとメイルに出会ったのである。





リーヒ女王は、賢明な人であった。さっそく「緑の星」リンネルーアと、水の星地球、鉄の星ヒルタの交流のために力を尽くしてくれた。

国民への説明、新たなルールの作成、法律の改正、と難題ばかりであったが、どれも丁寧に進めてくれた。

地球側も、戦略部長のセンカを中心に、テラポルトスと連絡を取り合いながら作業を始めた。緑の星の情報を持ち帰る準備、これから交流を続けるためのできるだけの準備をしてしまわなければならない。それぞれの担当分野を中心に、チームゼロは作業に悩殺されていった。

ヒルタ側も、ヒルタポリスと連絡を取り合い、様々な作業を進めてくれていた。




「だいぶ進んだわね。」

リンカが伸びをしながら言った。

「ああ。緑の星の技術には恐れ入ったよ。」

コウスケがそう言いながらタブレットをショウタに見せる。

「このエネルギー理論、すごいよな。」

「ああ、地球のエネルギー問題解決の参考にもなるかもしれない。もっと詳しく情報を集めたほうがいいな。」

「リーヒ女王は、いろいろな技術者をこれから派遣する方針だそうだ。わくわくするね。」

タケルが建物の写真を整理しながら言った。戦艦アルタイルの食堂には、外からの柔らかな日差しが降り注いでいた。

「興味深いのは、リンネルーア人の特徴ね。彼らはわずかだけど、葉緑素を持っているの。つまり光合成ができる。彼らは植物のような特徴をわずかだけど持っているのよ。」

ハルカがタブレットを見ながら微笑んだ。

「地球人はとにかく水が必要でしょう?で、ヒルタ人は鉄分のようなミネラルが重要なの。体のつくりはほとんど同じだけど、そういったところが微妙に違うのよね。」

ハルカが面白そうにタブレットを眺めるのを、トウキが興味深げに眺めている。

「それはそうと、みんな、帰りの航海計画にも目を通しておいてね。」

「備品の申請も早めにお願いしたいな。」

スズナもにっこり笑う。

「で、センカどうしたの?さっきから浮かない顔をして。」

スズナが少し心配げにセンカをのぞき込んだ。

「レイアのこと……。」

センカはつぶやいた。

「あの子と、あれ以来会っていないのよ。」




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